国慶節に思う。(24)

(★)IPCCとは
IPCCとは、Intergovernmental Panel on Climate Change (気候変動に関する政府間パネル)で、国際的な専門家でつくる、地球温暖化についての科学的な研究の収集、整理のための政府間機構であり、国連環境計画(United Nations Environment Programme)と国連の世界気象機関(World Meteorological Organization)が1988年に共同で設立した学術的な機関である。(Wikipediaより)

この鳩山の演説をそれなりに注意して読んでみると、底の浅さにびっくりする。

その一つは、鳩山イニシアチブの内容だ。

「世界のすべての主要国による、公平かつ実効性のある国際枠組みの構

築が不可欠です。」
とは言っているがその具体的な仕組みの提示は一切無い。

と言うよりも、途上国も夫々削減する努力をすべきであると言った努力喚起の言

葉が無いのである。あくまでも抽象的な表現だけなのである。どうも鳩山は金だ

けを出せば事足りる、などとの「お坊ちゃん」的な発想のようだ。「鳩山イニシア

チブ」の内容を見れば、そのことが良くわかる。
「・・・1990年比で言えば2020

年までに
25%削減をめざします。」
何ぞもその延長線上だ。いまだにその具体策が

見えないのである。


「鳩山イニシアチブ」では四つ程の事を言っているが、そのすべてが金の事だけ

なのである。この地球をまだ見ぬ未来の子供たちのために残すには、先進国

も、途上国も、共に、必死に削減努力をしてゆかなければならないのであるが、

これでは途上国は努力しようなどと言う気が起こらないであろう。こんなイニシア

チブで、果たして達成できるであろうか。その四つの事をおさらいしてみよう。


第一は、先進国は金を出せ。

第二は、資金援助した場合は、その効果を国際的に確認できるようにせよ。

第三に、その資金の活用方法は、透明で効果的で国際的な管理方法を確立

せよ。

第四に、技術的支援には、知的所有権の保護が必要である。


これが「鳩山イニシアチブ」の根幹であるが、穿った見方をすれば、鳩山は先進

国は金を出して途上国を支援すれば、事足りる、と思っているきらいが感じられ

る。もちろんこれらの四つの事は大切な事ではあるが、あまりにも当たり前で、

本当に地球を未来の子供に残そう、と言うほどの熱意は感じられない。あまり

にも軽いのである。


こんな事は大切であることは判り切っているが、「鳩山イニシアチブ」何ぞと言う

ほどの物でもない。それよりも京都メカニズム(11/6の当ブログNO.20参照)の

うち、排出量取引(ET,Emissions Trading)などと言う金融取引まがいの商取

引の改善と言うよりも廃止を提唱してもらいたかったものだ。このETには二つの

疑問点がある、と小生は感じている。


その一つは
ETでは温室効果ガスは一つも減らないのである。他人の排出

枠の余剰分を金で分けてもらうだけなのであり、単に排出されたガスの量が他

人に移転しただけなのである。


その二つは
排出枠の基準の決め方なのである。その割り当てられた排出枠

を守り、また努力して排出枠より少なく排出した場合には、その余裕分を排出枠

をオーバーした企業などに売ることができるのである。しかしその排出枠の基準

の決め方である。果たして公平で公正に決められたものであろうか。これは国際

的にも言えることである。今までにも言及しているが、日本は最も効率的なエ

ネルギーの使用国
なのである。中国やロシアなんぞと比較してもらいたくないも

のだ。


このような疑問の中で、卑しくもイニシアチブなんぞと言うからには、もっと具体的

な糸口となる提案が必要なのである。鳩山イニシアチブとは、「鳩山イニシアチブ

for 幼稚園」なのである。


「世界のすべての主要国による、公平かつ実効性のある国際枠組みの構

築が不可欠です。」
と言う鳩山の言葉よりも、目に見える形で責任ある行動

をとることを約束する途上国
に対しては、日本として資金や省エネ技術の

協力を積極的にする用意がある」
と言った麻生首相の言葉の方が、よほど具

体性と戦略性が感じられるのである。


更に京都メカニズムの最大の欠陥は、中国やインドなどの最大温室ガス排出国

に対する削減義務を課していない事である。鳩山の演説にもその事に言及され

ているが、たとえば「温室効果ガスを多く排出している主要な途上諸国」などと

抽象化せずにストレートに「温室効果ガスを多く排出している中国やインドなど

主要な途上諸国
」と、言ってもらいたかったものである。なんと言っても「まだ

見ぬ未来の子供たちのために」この地球を残すと言うことが、あんたのテーマな

んでしょう。それならしっかりと責任を自覚させる表現が必要ではないですか。


(続く)