国慶節に思う。(33)

鳩山の25%削減の大法螺には全国民がびっくりしたのであるが、更には、我々はどのようにしてそれを実現させるのか戦々恐々としているのである。削減するのは鳩山ではない。我々国民である。鳩山は日本国の首相としてその仕組みを構築し、実際に行動するのは我々国民である。しかし政府は、そのハードやソフトの仕組み、特にソフト面の仕組みの提示はいまだになされていない。一体鳩山は何をしているのか、そんな疑問を強くしているときに次の記事を見つけた。

                              
世界一の国がなぜペナルティを払うのか
鳩山国連演説「25%削減」の舞台裏(上)200911202102
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091120/210271/

                             
細かいデータも切実感もなかった
鳩山国連演説「25%削減」の舞台裏(下)200911202103
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091120/210320/

                            
かなりの長文なので(上)の前書きの一部と(下)の締めくくりを次に載せる。そこにはこのシンポジウムの出席者と民主党の25%の根拠が述べられている。是非アクセスして内容を確認されるとよい。

「・・・・・・
 今、問題になっているのは、この目標を達成できる現実的な可能性と、そのためにはどれだけの負担が必要になるかということ。1世帯当たり年間数十万円の負担増になり、企業の国際競争力も大きく削がれるという見方もある。そもそも、鳩山政権が掲げた数値目標はどのようなプロセスと根拠の下に策定されたのか――。
 櫻井よしこが理事長を務める財団法人、国家基本問題研究所は10月20日に「CO2 25%削減は可能か」と銘打ったシンポジウムを開催した。地球温暖化対策基本法案の提案者の1人である前田武志民主党参院議員日本経団連坂根正弘・環境安全委員会委員長(コマツ会長)電力中央研究所杉山大志・社会経済研究所上席研究員の3氏が出席。櫻井氏が進行役を務めた。             ・・・・・・」

                      
櫻井氏は次のように締めくくっている。

                   
「 ―― 今日は大変深く関わってこられたお立場から前田さんにお話をうかがいました。そして分かったことは、ちょっと言いにくいのですけれども、民主党はほとんど具体的政策を精査することなしに、国際社会にいきなり公約をしてしまった。私たちはその数字に、今、直面をさせられているということです。

 日本は何とか国益を損なわない形で、できればこれを日本の躍進につなげる形で、取り組んでいかなければならないわけです。それには相当の知恵と技術と国際政治力が要るということはお分かりいただけたと思います。

 世界で一番進んだ日本の省エネ技術がほかの国に流れていくとしたら、日本はもっと制度設計にも入り込まなければなりません。例えば、2020年までの目標値は、今ある技術でしか実現できない。ならば、次世代技術を勘案すれば2025年とか2030年にしようと提案することも、日本の立場としてはできるのではないかと、私などは思ったりします。

 今日はどうもありがとうございました。」

                     
ここに明言されているように、鳩山の25%の削減公約は、何の根拠も無く(ここではかなり検討したとは言っているが、何の数字の裏付けなく)、全くの「受け」狙いで提案されたようだ。しかも今もって何のフォローも無い。鳩山の「空想少年」の面目躍如たるものである。なんと言っても鳩山は日本人ではなく、その夫人も金星人とか言って二人して宇宙人であるから日本がどうなっても良いのであろう。こんな輩が、この伝統ある日本の首相である事の不幸を、憂えなくてはならない。何せ興行主である小沢は、中国共産党と通じてしまっているから、たちが悪い。('07.11.26~小沢一郎、悪魔の密約、'08.1.15~小沢一郎土下座外交、などを参照のこと)

なお、このシンポジウムの内容は、ワック株式会社の「WiLL」1月号に「政治ゲームとなったCO225%削減」としても掲載されているので、ご一読願う。さすが一流雑誌への掲載では、上記の櫻井氏の締めくくりの文章は、 「民主党はほとんど具体的政策を精査することなしに、国際社会にいきなり公約をしてしまった」などの過激な表現は避けたマイルドな表現となっていたが。

さて、鳩山をはじめ民主党政権のCOP15への準備も、全く進んでいないだろうなあ、と思っていたらそんな記事も存在している。大丈夫か、鳩山で。

                         

リーダーシップは大丈夫? COP15へ 準備不足の鳩山政権200911242110
2009.11.24 21:10 このニュースのトピックス:オバマ米大統領
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地球温暖化に関する国際交渉の経緯

 12月7~18日にデンマークコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)まで2週間を切った一方、鳩山由紀夫政権の準備不足が目立ち始めた。2013年以降の地球温暖化対策の国際的枠組み(ポスト京都議定書)として各国の義務を書き込む議定書の採択は持ち越されるため、焦点は政治宣言の内容。宣言作りをリードしようと各国の駆け引きが活発化する中、鳩山首相の掲げた「2020年に温室効果ガス排出量を1990年比25%削減する」国際公約は中身があいまいなままだ。

 「負担に関して国際的な公平性の議論が抜けているのではないか」

 温暖化対策が国内経済に与える影響や負担を評価するため、日本政府が設置した有識者会議(タスクフォース)。今月19日の会議である委員から、懸念の声があがった。

 タスクフォースの主な議題は国内経済とはいえ、こうした発言が飛び出す背景には欧州連合(EU)や米国が会議に向けて、周到な準備を進めていることへの危機感がある。

 温室効果ガスを追加的に削減するため、EUは各国別に必要な費用や国内総生産(GDP)に対する排出割合、1人あたりGDPの分析に着手している。「EUの努力」をアピールするための“理論武装”に余念がないわけだ。

 23日のEU臨時環境相理事会では、温室効果ガス削減の目標や途上国への資金支援枠組み構築について米国と中国に協調を求めることで一致。ロイター通信によると、オバマ政権も近く温室効果ガス削減目標を示す予定という。

 Euと同様、米シンクタンクも温暖化をめぐる各種報告書を公表しているが、鳩山政権下では、こうした突っ込んだ議論に至っていない。途上国への資金・技術移転の枠組み「鳩山イニシアチブ」提案で議論をリードするとはいえ、政府内には鳩山首相国際公約への戸惑いが今も漂う。

 鳩山首相の狙いはすべての主要国の参加による意欲的な目標の合を前提とするものの、「主要国の範囲」「意欲的な目標」の中身が不明瞭で「知りたがっている他国に説明しようがない」(政府関係者)。議論が深まらない中、「鳩山政権はCOP15交渉の空気に追いついていない」(交渉関係者)と懸念する声も出ている
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/091124/env0911242113004-n1.htm

            
しかし本日の東京新聞には、「京都」と同内容なら離脱、政府、COP15で方針、との記事が載っていた。中国なんぞが削減義務を負わないような取り決めはさっさと離脱すればよい。言葉だけでなく、本当に離脱すべきである。
(続く)