国慶節に思う。(34)

将にその通りである。小生のこのブログの10/24のNO.9や同じく10/30のNO.14では、COP15何ぞは(このままの各国の削減目標数字では)離脱すればよい、と提案している。もし離脱すれば、鳩山政権としては、唯一のヒットであろう。中国が削減しないような状況では、次の前提は守られないからだ。

「世界のすべての主要国による、公平かつ実効性のある国際枠組みの構築が不可欠です。すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が、我が国の国際社会への約束の「前提」となります。」

守らせるためにはかなりの政治力が必要となる。中国のあの数字目標なんぞは、微塵にも「意欲的な目標」とは言えないし、「国際枠組み」の構築への提言などにも何の言及も無い。自国の国益がもろにぶつかり合う国際社会での交渉事であるにも拘わらず、日本国内での検討も何にも進んでいないように見える。事実、有識者会議の委員からも懸念の声が上がっているという。離脱を決めた、と言うことが本当に事実なら喜ばしいことであるが、反面、中国やインドに対してもっともっと削減目標を上げよ、との働きかけをしていたのかは、いささか疑問である。いずれにしても先が思いやられる。

先に言及した11月27日の日経新聞の3面には、主要各国の削減目標の一覧表が掲載されている。この表でもわかるように、日本の目標値だけが突出している。

GDP当りのEnergy消費量  90年比換算CO2削減目標(%)
      ↓              ↓
 日本   1.0            ▲25%
 米国   2.0            ▲  3%
 EU     1.9               ▲20~▲30
 中国   8.7              (▲40~▲45、'05年比でGDP当り)
ブラジル   ----          (▲36~▲39、対策を取らない場合に比べて)
ロシア 18.0              ▲25
オーストラリア ----           +13~▲11
 カナダ  ----                 ▲ 3

EUは東欧諸国を含む数字なので、タオルはジャブジャブの状態なのだ。だからどんな削減目標を持ってきても、目標達成には困る事はない。だから目標値に幅があるのである。ロシアも同様だ、35%削減でも問題ないという。中国の数字は、もちろん論外だ。やっぱり日本の数字だけが突出している。

更にこの削減目標値は「公平でない」との記事も掲載されている。以前にも日本がCO2を1だけ削減するコストで中国では5.2倍も削減できるとも言える、と言及した事があるが、ここではもっとしっかりとしたデータが掲載されている。

地球環境参議様技術研究所(RITE,Research Institute of Innovation Technology for the Earth http://www.rite.or.jp/)によると、日本が25%減を達成する場合のCO2・1トンあたりのコストは、476ドルかかると言う。それと同じコストを投ずるとEU、米国、ロシアはどれだけ削減できるのか。

日本  25%削減・・・1t/$476
EU  39%削減可能
米国  44%削減可能
ロシア 59%削減可能

それだけ日本の省エネが進んでいると言うことで、CO2削減コストは当然他国よりも高く、それだけ重い負担となる。しかもその重い負担を払って25%削減しても、世界全体の1%分しかCO2は減らせない。あまりにも非効率なのである。これは以前にも、度々言及している事である。

しかしその25%のために世帯当り、年間36万円の負担となるのである。これは先に挙げた下記のシンポジウムで、述べられているものである。

              
世界一の国がなぜペナルティを払うのか
鳩山国連演説「25%削減」の舞台裏(上)200911202102
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091120/210271/

ちなみに麻生首相が提案した15%削減では、「一世帯当り7万6千円」(年間)の負担となるという。この25%では36万円(年間)なのである。あるアンケートによれば、国民は年間1万2千円なら支払っても良い、と言っているという。しかし米国は15%の削減では$175・約1万6千円であるが、それでも高すぎると議会が難色を示しているという。それほどの負担にも拘わらず、そんな検討もせずによくも25%などと、言ったものだ。この負担は消費税で言うと6%に相当すると言う。そんな事も気にせずに鳩山はよくも言ったものだと、本当に感心する。

(続く)