国慶節に思う。(49)

オバマは弁護士に戻ったようだった

 オバマ大統領や仏サルコジ大統領、独メルケル首相、英ブラウン首相など世界の首脳が

机を並べて一言一句をチェックする様子は異様だったという。鳩山首相も12時間くらい座りっ

ぱなしで作業に当たったという。オバマ大統領はかつての弁護士に戻ったようだった。


 各国首脳は帰国の時間を遅らせて合意文書の策定を詰めた。鳩山首相は18日の午後8時

に帰国予定だったが、10時まで延長。ぎりぎりの交渉を行った。その結果、18日の深夜に政

治合意案を大筋でまとめた。


 しかし、翌日の全体会合ではG77諸国からこの合意案に対しても批判の声が上がる。
G77

代表のスーダン
のディアピィング大使は「史上最低の交渉だった。貧しい途上国を貧困の悪

循環にとじ込めてしまう」と批判。

 結局、国連では全会一致が原則だが、コペンハーゲン協定は全会一致で採択できずに、

多数の国が合意したということに
留意するだけという玉虫色の決着となった。

 COPは気候変動を食い止めるための会議だが、交渉の背景にあるのは経済戦争だ。先

進各国は自国の経済が不利になるような目標は背負いたくないし、これから経済発展をする

途上国にとってはそれを妨げる目標を課されたくない。

 法的拘束力のある議定書を採択した1997年の京都会議との違いは、先進国と途上国の経

済力が均衡し始め、経済戦争が激化したことが背景にある。


新興国での収益が伸びる産業界


 COP15に参加していた日本経団連には安堵の雰囲気が広がった。日本が単独で厳しい削

減目標を負うことを警戒していたからだ。現地では日本経団連の環境安全委員長である坂

根正弘コマツ会長が小沢環境相と会談した。

 新興国での収益を伸ばす日本の産業界にとって、新興国メーカーと競争する機会が増えて

きた。新興国が全く温暖化ガスの削減義務を負わなければ、
日本の産業界は不利な立場

に追い込まれる。

(Photo)
COP15の会場でインタビューに答える日本経団連坂根正弘・環境安全委員長

 坂根委員長は「日本だけが突出した削減目標を追えば、日本でものづくりができなくな

る。特に素材産業が厳しい。地球温暖化問題を解決するためには、新興国の温暖化ガス排

出量の伸びを抑えるしかない」と語った。

 一方、今回決まった資金援助は、日本の産業界の追い風になるかもしれない。資金援助に

よって日本のエネルギー効率の高い機器を販売できる可能性がある。特に三菱重工業や日

立製作所のように省エネ型の発電機器を多く持つ企業にはチャンスになりそうだ。

 ただ結論先送りは、日本にとって良い面もある。

 1つは国際交渉の経験が皆無の民主党政権が、国益がぶつかり合う国際交渉の場を経験

できたことだ。場数を踏まなければ、百戦錬磨の国々と渡り合うのは難しい。


戦略の練り直しを


 もう1つは、早々と温暖化ガスの25%削減を掲げたことについて再検証ができる。来年2月

1日までにコペンハーゲン協定の付属書に削減目標を明記するが、それまでにもう1度議論

してもよい。

 さらに、来年12月のCOP16までに
国内制度を整えることができるかもしれない。国内制度

を固めないことが、交渉を難しくしている側面があるからだ。

 実は、世界各国がコペンハーゲン合意を巡って抽象的な議論を繰り返す横で、クリーン開

発メカニズム
(CDM)を巡って詳細な議論が繰り返されていた。

 CDMとは先進国が途上国で温暖化ガスを減らすプロジェクトを実施し、そこで生み出した

排出枠を売買できるというものだ。

 現状のCDMの問題を洗い出し、排出量取引を世界中に広めたいEUと、市場原理を嫌うベ

ネゼエラなどが具体的な制度設計を話し合っていた。二酸化炭素の地球貯留技術(CCS)や

原子力発電を排出枠として認めるかどうかの議論もされていた。

 CDMや排出量取引に対する日本の方針は明確ではなく、世界の制度設計に対して積極

的に関われていない。

 世界は玉虫色の決着で結論を先送りした。日本はこの時間を生かし、早急に国内の議論

や制度設計を進め、国際交渉に挑む足場をしっかりと固めるべきだ。

エコ亡国――「地球のため」で日本を潰すな
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091120/210270/
             
鳩山由紀夫首相は就任直後の国連演説で「CO2排出量の1990年比25%削減」を明言、そ

の達成目標を2020年とした。環境技術のリーダーとして、世界のトップを走り続けることは日

本にとって悪いことではない。しかし、省エネが進んだ日本が破格のコストをかけることに


済、政治、技術的な合理性はあるのか
目標達成のため“削減後進国”に支払うことになり

そうな排出権の対価を含む国民負担に日本経済は耐えられるのか。多面的な議論を通じて

エコロジー=正義」という単純な構図を検証する。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091221/211808/

                           

ここでも主張されているように、鳩山の「'20年までに'90年比25%削減」と言う大法螺を再検

討して、技術的、経済的、政治的に見直す事が必要だ。そして国民的なコンセンサスを得た

上で、コペンハーゲン協定の付属書に「日本の削減目標」を記入すればよい。鳩山政権内で

は、まだ『すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が、我が国の国際社会への約

束の「前提」となります。』と言った条件付で25%に固執しているようだ。まだ鳩山は、自分の

空想しているような意欲的な数字が提示されるとでも思っているのか。馬鹿でないかい?。

(続く)