国慶節に思う。(54)

さて、京都議定書の基準となった1990年の日本のCO2の排出量を確認してお

こう。JCCCA(Japan Center for Climate Change Action)、全国地球温暖化

止活動推進センターのデータによると、次のようになっている。大雑把に言って、

12億トン余と覚えていればよい。下記のURLには詳細データがあるので是非参

照願う。

             
日本における京都議定書の対象となっている温室効果ガス排出量の推移

    合計CO2  対基準年 対前年
基準年 1261.3
1990
  1207.8
1995
  1207.8    6.3%    -1.2%
2005
  1357.8    7.7%    0.2%
2006
  1342.1    6.4%   -1.2%
2007
  1374.3    9.0%     2.4%

            
出典) 温室効果ガスインベントリオフィス

「日本の1990〜2007年度の温室効果ガス排出量データ」 (2009.4.30発表)
排出量の単位は[百万トン-二酸化炭素(CO2)換算]

*基準年は、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)は1990年度、
オゾン層を破壊しないフロン類(HFCs、PFCs、SF6)は1995年度

http://www.jccca.org/content/view/1043/784/

              
また、同センターのデータによれば日本の2007年は1374.3百万トンとなってお

り、基準年より9%の増加となっている。下記の文章は、当ブログの'09.10.28、

NO.12に載せた一文である。

                
京都議定書の第一約束期間の2008年から2012年までに1990年比6%の削

減は困難である。なんとなれば、2008年に発表された数字では、2006年の

CO2排出量は1990年比6.4%も増加しているからである。そしてこの増加分

は2013年以降の目標に1.3倍して上積みされて、削減しなければならないので

ある(または何兆円もの金で、排出権を買う事になる)。だからもし25%が日本

の第二約束期間(2013年~2017年)の削減目標に決まれば、それに追加され

て30%から35%の削減が義務付けられてしまうのである。もちろん日本経済が

競争力を持って削減できればそれに越したことは無いのだが、果たしてそれはど

うしたら可能となるのであろうか。25%削減は2020年までの数字であるので、

第二約束期間(2013年~2017年)の目標数字が-(25+6.4×1.3)=-33.

32%とは成らないのだが、それなりに厳しい数字となることは確かであろう。 』

                
(注)第二約束期間ここでは2013年~2017年の5年間としていたが、正しくは

~2018年の6年間が正しい。正しくは第二約束期間は、2013年~2018年の6年

間である。

また、2009.11.3の当ブログNO.17で、下記の解説を載せた。

                     
4次元エコウォッチング(安井至)
京都議定書第一約束期間突入――どうなる日本――(08/01/16)

                
ここで表示されている2005年度13億5,900万トン、2006年度13億4,100万トン

のCO2排出量の数字は、年度表示であるが、上の2005年1357.8百万トン、200

6年1342.1百万トンと言う数字とほぼ似通っているので、これらの数字は正しい

ものであろう。

2008年からは京都議定書の第一約束機関に入っている。上の表でみると、200

7年は9%も基準年からCO2の排出は増加している。このままで行くと第一約束

機関でのCO2削減目標の6.0%削減は、とてもじゃないけど達成なんぞは出来そ

うにもない。民主党は、25%の削減を金科玉条のように唱えているが、どうする

つもりなのであろう。

9%増えても日本は省エネ大国で、2005年の統計数字であるが、櫻井よしこ

が'09/11月号のWiLLで発表している数字を下記する。

(3)WiLLの11月号の桜井よしこ氏の論文によるデータ。
---当ブログの'09.10.21,NO.6を参照のこと。

GDP単位当りのエネルギーの消費量(2005年の統計)

日本  1.0
EU  1.9
米国  2.0
中国  8.7
インド 9.2
ロシア  18.0

さてデータ的な背景をクリアにしたので、武田邦彦先生の話の続きに戻ろう。


(続く)