さて、以上述べたようなこんな前書きの後、この論文は、本題に入っている。
それによると、寒暖計などによる正確な気温変化の記録は、およそ1880年から
現在までと言う。そしてその温度変化の記録をグラフで示している。その記録を
目視で拾って山と谷の年と温度を見てみよう。
2000年+0.43℃
1940年+0.12℃
1975年-0.06℃
1880年-0.25℃
1910年-0.48℃
と言った曲線を描いて右肩上がりに、上昇している。しかしIPCCの第4次評価
報告書によると、2100年の温度変化を次のように予測している。
「環境の保全と、経済の発展を地球規模で両立する「持続的発展型社会シナリ
オ」では、最良の予測値は1.8℃。」
「世界中が更に経済成長し、教育、技術等に大きな革新が生じる「高成長型社会
シナリオ」で化石エネルギー源を重視する場合では4.0℃で、最大幅は6.4℃ま
で上昇する。」
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/wg1_gaiyo.pdf のP40~P41を参照のこと。
これは環境省によるIPCCの第4次評価報告書の概要まとめである。
そして、そのP36の「1.人間活動の影響(1)」では、「20世紀半ば以降に観測さ
れた世界平均気温の上昇は、人為起源の温室効果ガスの増加による可能性
がかなり高い。」
と前回(第3次)よりも踏み込んだ表現となっている、との注釈も付けられている。
IPCCは、このように現在の気温上昇の原因を暗に「温室効果ガス」であろうとの
暗示を与えている。
しかしこのIPCCの推論に対して、赤祖父俊一博士は次のように反論している。
「IPCCは、この時期の気温変化、特に1975年からの上昇を炭酸ガスCO2の増
加によるものとし、コンピューターシミュレーションで、1975年からの上昇を延長
して2100年までの気温上昇を推定した(+2~+6℃)。」
即ち1975年から2000年までの気温の上昇をほぼそのまま上に伸びるように線
を引き2100年まで延ばして、気温上昇の値を推定している。その結果の最大幅
が+6℃なのだ。
しかし1880年からのこれらのデータから推測すると、気温はアップダウンを50~
60年周期で繰り返して、ほぼ緩やかに右肩上がりで(直線的に)上昇している。
IPCCは1975年から2000年のデータだけで、直線的に急勾配の右肩上がりの線
を引いている。
1880年からのデータで直線の式を推定してみると、Y=1.75/320X-1と言う式
が導き出される。地球は一貫して100年に約0.5℃と言う一定の率で、温度上昇
していたのである。
Yは過去100年のデータを基準とした1年の増減幅を示す。X=0は1780年を示す。
即ち1780年からX=320年後の2100年までに1.75℃の温度上昇(2100年として
は+0,75℃の幅で温度が上昇するだろう)があることを示す。そして1780年には
1℃の幅の温度低下があったことを示す。そして1400年~1800年の間は、時あ
たかも小氷河期とされていた時期なのである。しかしIPCCはこの小氷河期を認
めていない。認める事が出来ないのである。そして1975年~2000年のデータを
駆使して、地球温暖化が急激に進むと、政治的な配慮をしたのである。
ちなみにCO2が急増し始めたのは、第2次世界大戦後の1946年から始まって
いるのであるが、上に示したデータでは反対に温度は低下しているのである。
CO2が増えているのであるからには、温度は上昇していなければならない。しか
しそうではない。
X=1946-1780=166、その時のY=-0.09となり、CO2が増えても温度は約0.1℃
ほど下がっているのである。1946年はCO2が上昇し始めたばかりなので、その
10年後の1956年はX=1956-1780=176、Y=-0.0375となり、おおよそ0.04℃
の温度低下していたはずである。
以上の推論は、この論文に記載されているグラフより目視で数字を拾い、小生
の偏見と独断でのいわゆる腰だめの数字ではあるが、おおよその傾向は示し
ているのではないかと思っている。
(続く)