メリットの
第四には、リチウムイオン2次電池の選択肢が広がる事だ。
(4)現在テスラが「ロードスター」に使っている2次電池は、90年代にソニーが開
発した主にパソコンなどに使われている通称「18650」と言う円筒形(Φ18×65
mm)の電池を6,831個も束ねて使っている。これに対して、トヨタのプラグインハ
イブリッド車に使われているリチウムイオン2次電池は、パナソニックEVエナジ
ー社製の角型電池だ。テスラとしては、条件が合えばどこのバッテリでもよいの
で、これも選択肢の一つとなる。
そしてこのジャーナルでは、テスラ、トヨタ双方のメリットをまとめてみると、「テス
ラ WIN!」だ、と結論付けている。トヨタもここは頑張りどころだ。しかしこの
業界関係者がびっくり仰天した提携話もおいそれと進むとは限らないようだ。テス
ラは今年の1月29日に株式公開の申請をしているが、この提携話は多分にそ
の公開申請が認められなければ成り立たない形になっているようだ。だからま
だ、「開発や受注契約」については一切合意していないと言う。これはトヨタが念
には念を入れているからなのであろうか。それともテスラがごねているのか。
まだまだ紆余曲折があるのであろう。
しかしよく考えてみると、このブログでは、オバマは「トヨタ潰し」にかかっている
と推測している。するとこのテスラとトヨタとの提携話にも、オバマの「ちょっかい」
が入らないとも限らない。いくらテスラの勝ちだといわれていても、トヨタにテスラ
の良いとこ取りをされるわけにはいかない、とオバマは考えているかもしれない。
だから、このテスラの株式公開の認可には、何らかの条件をつけられることも念
頭に置かなければならないだろう。例えば、認可の条件として米国政府が出資
するとか、テスラにGMも参加させるとかだ。一筋縄ではいかないだろう事も、トヨ
タとしては考慮していたのであろう。だからまだ具体的な合意は無い、としている。
p98米テスラ、トヨタとの共同開発で「合意できない可能性も」
2010年 05月 28日 08:23 JST REUTERS
[サンフランシスコ 27日 ロイター] 電気自動車メーカー(EV)の米テスラ・
モーターズは27日、トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)との電気自
動車の開発に関する契約が、まだ正式に結ばれていないことを明らかにした。
テスラは株式新規公開(IPO)に向けた申請書類で、トヨタと「協力する意向を
表明した」としながらも、「受注を含む契約については一切合意していない。
合意に至らない可能性もある」とした。
前週、トヨタとテスラはEVの開発などで提携すると発表。両社がカリフォルニ
ア州パロアルトのテスラ本社で行った記者会見には、トヨタの豊田章男社長の
ほか、カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事も出席した。
テスラは申請書類で、トヨタが合意した総額5000万ドルの出資は、年内にテ
スラが株式を公開できなかった場合、実現しない可能性があることも明らかにし
た。
また、トヨタが閉鎖したサンフランシスコ地域の工場を約4200万ドルで買い取
ることに加え、この契約がテスラの株式公開後数カ月以内に正式に成立する見
通しを明らかにした。
テスラは電気自動車「ロードスター」のメーカー。同車は10万9000ドルで販売
されている。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-15547320100527
トヨタとしても何かと気になることがある。それは、自身の研究成果と比べてもテ
スラの言う航続距離には納得のいかない点もあったのではないかなあ、と思え
るのである。テスラ・ロードスターの航続距離は380kmと言われているが、先の
記事p-9では最大航続距離としているが393kmと言っている。それぞれ前提条
件が異なるのであるが、このように電気自動車での航続距離の定義の仕方も決
まってはいない。電気自動車のベンチャー企業の多くは、PRをかねてバッテリー
を限界まで使い尽くす形で出した航続距離を発表している。それらは、いわゆる
実用的な航続距離ではないのである。そのため多くのバッテリー技術者は、それ
らの航続距離を6掛けで見ていると言う。
事実大メーカー系では、ダイムラーの「smart ed」は115km、日産自動車の「リー
フ」は160km、三菱の「i-MiEV」も160kmだけなのである。この日産と三菱の航
続距離の一致は、多分に日産が無理をして三菱と同じの航続距離を公表してい
るのではないかとも、勘ぐれるのである。と言うのも後発の日産は三菱なんぞに
は、負けたくないと言う思いが強い筈だからである。
ダイムラーもテスラに資本参加しているが、これは「smart ed」にバッテリーを供
給してもらうためのものであり、バッテリーの本命としてはまだ検討中であろう。
なんとなればダイムラーは、中国のBYD (Beyond Your Dream)社と折半出資
で会社を設立して電気自動車の開発に取り掛かることになった。だから、BYDの
電池を使う可能性が高いのである。
(続く)