まあアメリカ経済の細かな事情まではつまびらかではないが、オバマの経済対
策がなっていなかったのではないかな、と言う事はなんとなく理解できる。何はと
もあれ経済を活性化させなければ、何も出来ないのである。そこら辺りが日本の
民主党とよく似ている。ただ単に票集めだけの子供手当てだとか、農家の個別
所得補償なんぞを施しても日本経済の活性化にはそれほど効果は発揮しない
であろう。やらないよりもマシ、と言うよりもやったためにもっと優先順位の高い
施策が等閑にされてしまったために、日本経済に対しては悪影響を及ぼしてい
ると言ったほうが正しいのであろう。それだけの金を投ずるのなら、個別に子供
手当てなんぞを支給するよりも子供を預けられる施設や母子共に精神的にもハ
ード的にも面倒を見る事の出来る仕組みに投資したほうが余程、日本にとって
有用ではなかったかな。
p113.5オバマ米大統領:雇用不安で苦境 11月に中間選挙、不支持上回る
毎日新聞 2010年8月1日 東京朝刊
<分析>
【ワシントン斉藤信宏】オバマ米大統領の支持率が低迷している。3月の医療
保険制度改革法に続き、7月下旬には1930年代以来となる歴史的な金融規
制改革法を成立させ「1年半でこれほど大きな業績をあげた大統領は少ない」
(ペロシ下院議長)と評価される一方で、「米国民の苦境を理解しているのか」
(共和党・マコーネル上院院内総務)という批判も根強い。支持率低下の背景に
は一向に改善しない雇用情勢への米国民のいら立ちがある。11月に米議会
の中間選挙を控え、大統領は就任以来最も厳しい試練に直面している。
「回復の夏(リカバリーサマー)」。オバマ大統領は、08年の金融危機から米
国経済を立ち直らせた実績を訴えるため、地方遊説を始めた。7月30日には、
ミシガン州デトロイト市郊外の米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の工場
を訪問。GMの電気自動車「シボレー・ボルト」に試乗し「我々は正しい方向に向
かっている。米国の産業は成長している」と強調した。
しかし、演説を聞いた電気技師の男性は「会社を救ってくれたのはうれしいが、
大きな政府には賛成できない」と批判。2年前の大統領選での遊説時に比べ、
有権者の反応は総じて冷ややかだ。米調査会社ギャラップ社の世論調査によ
ると、就任直後に約7割だった「大統領の仕事を支持する」との回答は、今年5
月中旬以降、ほぼ一貫して5割を割り込み、7月26日現在、支持(45%)が不
支持(49%)を下回っている。
米国民の厳しい声の背景に雇用不安があることは明らかだ。6月の米雇用統
計によると、6カ月以上失業している長期失業者は、失業者全体(約1500万
人)の46%に達している。記録の残っている1948年以降で、長期失業者が4
割を超えたのは、今回の景気後退局面が初。7月21日に米上院の公聴会で証
言した米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長も「長期失業者の人
数は、大恐慌以降で最悪の水準が続いている」と強い危機感を表明した。
30日に発表された4~6月期の米実質経済成長率は、前期比2・4%のプラ
スで、1~3月期の同3・7%から大幅に減速。雇用回復の遅れで国内総生産
(GDP)の約7割を占める個人消費が伸びず、景気の先行きには「異例の不確
実さ」(バーナンキ議長)が漂う。
◇財政赤字最悪、景気刺激も限界
オバマ大統領は今年1月の一般教書演説で「ジョブ(雇用)、ジョブ(雇用)」と
連呼して以来、雇用重視の姿勢を強調してきた。3月には「5年間で輸出を倍
増し、250万人の雇用を創出する」目標を発表。米国内での過剰消費ではなく、
輸出増による成長を実現する方針を示した。だが、一時縮小した米貿易赤字
は、5月には逆に前月比4・8%増と、08年11月以来1年半ぶりの水準に拡大
しており、輸出は米国経済のけん引役になるまでには至っていない。
一方、就任直後の09年2月に法案を成立させた総額7870億ドルの大型景
気対策による公共投資は、すでに約3分の2を支出済みで、需要創出効果の
限界がささやかれている。
住宅取得者への減税措置も4月末には打ち切られ、5月以降の住宅市場は
反動減で低迷。米議会では、景気対策第2弾を求める声が高まっているが、財
政赤字が2年連続で1兆ドル超と過去最悪の水準まで膨らむ中、新たな歳出増
には踏み出せそうにない。中間選挙前に打てる手は限られており、ギブス大統
領報道官も与党・民主党が下院の支配権を失う恐れに言及した。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100801ddm008020051000c.html
まあ、ざっとこんなところがオバマを取り巻く状況なのだ。雇用は増えずに失業
者は一向に減らない。反対に悪化していると日高義樹氏は言っている。そしてそ
こには、オバマが犯した四つの間違いがあった、と日高氏は結論付けている。
第一に、大企業や金融機関に無定見な財政援助を与えた。彼らはすべて儲け
易い海外へ投資して国内の生産活動を向上させなかった。そして財政赤字だけ
が増えていった。
第二に、なぜならオバマには、産業政策がなかったからである。オバマは企業
の技術や生産性を向上させるような政策を進めるべきであったが、何もしな
かった。
第三に、エネルギー政策の失敗である。オバマはクリーン・エネルギーを推し進
めようとして、増税などで石油企業を攻撃した。そしてクリーン・エネルギーのす
べてのプロジェクトは破産し、エネルギーの値段は上昇した。
第四に、オバマは大企業と労働組合をバックに大統領に当選した。そして中小
企業を冷遇している。雇用の増える源は中小企業であるにも拘わらず、彼らが
共和党の支持基盤であるとの理由でいじめているのである。アメリカ経済がよく
なると言う事は、中小企業が強くなる事なのである。
(続く)