特に親日派でもない英大衆紙「サン」のこちらの記事でも、「鮮やかなフリーキッ
クがまるで出ていなかった今大会だが、日出ずる国の連中がものすごい2本
を決めてくれたおかげで、一気に明るくなった」と。「連中」と訳した言葉は
「lads」。「lad」は直訳すれば「少年」とか「坊や」。南アフリカチームの愛称
「bafanabafana」の「bafana」と一緒ですね。ぴたりとくる訳語が見つからないの
ですが、「あいつら」とか「奴ら」とか「連中」とか「あの子たち」とか、つまり親しみ
を込めた呼び方です。イギリス人は、イングランド代表でもビートルズでも、「the
boys」とか「those lads」とか呼ぶのが好きなのです。
もうひとつイギリス・メディアから(なぜかというと私がデンマーク語がわからない
からです)。やはり試合をサイト上で実況していたガーディアン紙は試合後の戦
評で、サン紙と同様、「いかにもありがちだ。このワールドカップで凄まじいフリー
キックが出るのを延々待たされたかと思うと、ほとんど同時に2本も決まるんだ
から」と、「フリーキック欠乏⇒お腹いっぱい」の喜びを、「Typical(ありがちだ)」と
いうこれまたイギリス人お得意のシレッとした物言いで表しています。
英語うんちくに話がずれますが、英語では「it never rains but it pours (雨が降
るときは決まって土砂降り)」「it's either feast or famine(大ごちそうか飢えるか
どちらかしかない)」という慣用句がよく皮肉な感じで使われますし、特にイギリ
スでは「バスは来ない。来るとしたら3台一度にやってくる」という「経験則」のよう
なものもあります。なので「いいフリーキックがまったく出ないと思ったら、立て続
けに2本も出たよ」とイギリス・メディアが口々に言うのは、こういうメンタリティー
も背景にあるのかもしれません。
さて、次はパラグアイです! ですが私的にはその前に、イングランド対ドイツ!
サッカー的にも歴史的にも因縁がありすぎるカードなので、私がドキドキしても
仕方がないのですが、ドキドキドキドキ……。
ところで、いつまでも「サッカーわかりません、何それおいしい?」とか言い続け
るのも情けないので、サッカーの見方の解説本とかサッカー論の本とかを少しず
つ読んでいます。そのなかでも、フィナンシャル・タイムズのサイモン・クーパー
記者の「サッカーの敵」をいま読んでいまして、これは面白い! サッカーにまつ
わる人たちの思い、そして世界の歴史や政治や経済や因縁がどうサッカーに絡
まって「世界で最も愛されているスポーツ」を形作っているのかが、丁寧に描か
れてます。おすすめです(近著の「『ジャパン』はなぜ負けるのか─経済学が解明
するサッカーの不条理」も入手済み。はやく読みたい!)。
(余談です。いまちょうどCNNを観ていたら、アメリカではアルジェリア戦のゴー
ルの瞬間、大騒ぎだったようです。そしてそのゴールの瞬間のファン大騒ぎの様
子が、次々とYouTubeに投稿されているとか。アメリカ人がワールドカップでこ
んなに大騒ぎするとは。これからアメリカはどんどん強くなりますね、確実に。どう
しようその内にアメリカでさえ、「football」がサッカーを意味する言葉になったら)
http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/sports/gooeditor-20100625-01.html
まあ、サッカーの本場のイギリスでこれほどまでに日本の「サムライJAPAN」
の戦いを賞賛してくれているのであるから、その日本人が大騒ぎするのもむべ
なかるべし、であろう。それが世界的な「岡ちゃん、ごめんね」現象だ。
23世界も認めた「岡ちゃん、ごめんね」 勝っても負けても偉業は消えない <ゆるふわサッカー+JAPANなニュース>
2010年6月29日(火)11:00 gooニュース JAPANなニュース
英語メディアが伝える「JAPAN」をご紹介するこのコラム、今週は何がどうしたっ
て「岡田JAPAN」の話題です。日本人が「岡ちゃん、ごめんね」と国民的謝罪
(?)に至る顛末を、米主要メディアまでもが大きく取り上げ、そしてFIFAサイト記
事は「日本はブルーな気持ちを捨てたサムライ集団になった」と賞賛。つまり英
語メディアさえもが事実上の「岡ちゃん、ごめんね」状態にあるわけです。これっ
て夢かしら。(gooニュース 加藤祐子)
○世界が事実上の「岡ちゃん、ごめんね」
「JAPANなニュース」と「ゆるふわサッカー」が「岡田JAPAN」で交錯して、一人コ
ラボみたいなことになっていますが、ご容赦下さい。グループリーグ突破を決め
たデンマーク戦直後の英語メディアの反応はこちらでご紹介しました。賞賛の声
は選手たちだけでなく、当然、岡田武史監督にも向けられています。
「岡田、解任しろ」から一転「岡ちゃん、ごめんね」へと毀誉褒貶も甚だしい、今
や日本一の「勝てば官軍」的な絶賛を浴びている岡田監督。今日29日の日付
が変われば、日本がベスト8に残るかどうかが分かるわけですが、ここまで来た
ら勝っても負けても、岡田JAPANの偉業が消えるものではありません。
約1年前に岡田監督が「ベスト4」を目指すと発言した時、それは世界的に驚き
(と一部の失笑)でもって迎えられました。約1年前にこちらでご紹介したようにhttp://news.goo.ne.jp/article/newsengw/life/newsengw-20090610-01.html
ロイター通信は「岡田監督は浮ついたお調子者なのか?」とバッサリ。これに
類することは数多の外国メディアが書いていました。
(続く)