ドーハの歓喜(4)

こんな風に感じたのは、小生だけではなかった。探してみると、「なぜ李は自分

のことばかりヒーローと言っているのか
」と言った声もあると伝えているものも

ある。そうであろう。アジア杯優勝の美酒に酔っぱらっている時でも、客観的に

物事を観ている人がいるものだ、と思う。


1/31(月)の深夜のTVに李と今野が出ていたが、今野は冷静に「みんなで勝

ち取った勝利だった
」とコメントしていたが、は「自分は、チームの中で大き

なことをしたと思う
」と述べている。確かに大きなことであるが、それは決して李

一人で出来たことではない。李の優れた技術の為したことではあるが、それだけ

ではないことも確かである。 もし違ったメンバーの中ででも彼は、同じことが出来

たかと考えると、「否」と答えざるを得ないであろう。今野の言うことがより正しい。

        
a9李忠成選手の決勝ゴール 素直に喜べないネット住民 (J-CAST      [ 2011年1月30日17時36分 ]

   サッカー・アジアカップ決勝戦(日本時間2011年1月30日)で、日本がオースト

ラリアに1-0で勝利し、優勝した。延長戦後半で途中出場した李忠成選手が、左

サイドから長友佑都選手が上げたクロスをボレーし、見事に決勝ゴールを決め

た。


李のコメントにも「なぜ自分のことばかり?」


   2大会ぶり史上最多4回目の優勝に日本中が喜ぶ中、ネット上では素直に喜

べない
との声も少なくない。

「韓国人>日本人ということが確定したな」

「日本代表チームはただ韓国人の優秀さをアピールするために利用されただけ

になってしまった」


   在日韓国人4世の李選手が決めたゴールが、「韓国の力」というのだ。韓国

中央日報は30日、「在日同胞の李忠成が日本を優勝に導いた」とも報じ

ている。


   李選手は07年に日本に帰化し、08年の北京五輪では日本代表のレギュラー

として出場。中央日報によれば当時、「大きな舞台でゴールを入れ世界に在日

韓国人の可能性をアピールしたい」と話していたという。


   李選手はオーストラリアとの決勝戦後、「最高です。ずっと試合に出られなく

て、チャンスを信じて待ち続けた。ずっと俺がヒーローになる、ヒーローになる

と言い聞かせてきた」と喜びを爆発させていた。ネットでは、

「本田とか川島とかみんなチームのおかげとかチームのためにって言ってる

のに、なんでこの人は自分のことばっかなの?」

「ヒーローヒーロー言っちゃうからこんな事になる」

とする声もあった。

http://news.www.infoseek.co.jp/topics/comp/n_internet2__20110131_6/story/20110130jcast2011286789/

   
だから朝鮮人なのだ、と思うよ。アルベルト・ザッケローニ(Alberto Zacchero

ni)監督の言う「偉大なる団結力」と率直に表現したことの含蓄を、噛み締めた

いものである。日本チームの体格の2倍もあるようなオーストラリアチームを相

手に、対等以上に戦うには、ばらばらになってはだめである。そこをザッケロー

ニ監督は腐心したことであろう。そのために選手個人個人を把握して彼らの

長所・短所を見抜き、その結びつきの効果を出してその長所を足し算でなく、掛

け算的に伸ばす、そして組み合わせによって短所を少なくすることを考えたので

はないか。だから団結力といったものと思うよ。そうして体力的に劣っている部

分をカバーしていったのではないか。今回のアジア杯は、ザック監督の打つ手、

打つ手がことごとく当っている。彼の造詣と的を得た戦略の為せる技ではなかっ

たか。と考えると、李忠成の美技も、その中で中盤に上がった長友の長所との

結びつきの結果、生まれたものと考えられる。「自分はチームの中で大きなこ

とをした
」ことは確かだが、そう考えると、「自分だけでは出来なかった大きな

ことをさせてもらった
」のであり、「チームのみんなと大きなことに参加できた

ことに感謝したい
」と表現するべきなのである、と敢えて言いたい。今野の言

葉には、そんな含蓄があった。だから日本チームはまとまったのである。日替わ

りで殊勲者ラッキーボーイが出ていることが、その証明だ。


丁度同じ様なことを的確に言ってのけた人物がいた。だから日本のゴールは守

られたのだと思う。

「120分、フィールドの選手があれだけ走って、成長も見せてくれた中で、あそ

こまで来たら自分が仕事する番なので、いい仕事ができてよかったです」と。こ

れは韓国戦(のPK戦)での川島のコメントである。この意味は次のように解釈し

たい。


「フィールドの選手によって自分は育てられた。だから今自分はここに立つことが

出来た。フィールドのみんなに支えられてこのゴールを守る。みんなが見守って

くれるのだ。」


この戦いでは李忠成はラッキーボーイであることは確かだ。しかし真の殊勲者

は川島と長友である。けだしこれは戦術的な見方である。戦略的に考えると、こ

れらの殊勲者が日替わりで輩出されることの基盤・チームのまとまりを作ったこ

とが、最大のポイントとなる。それがザックの言う「偉大なる団結力」なのだ。

監督の戦略眼はたいしたものだ。そしてこれに最も貢献した選手は、MF

長谷部誠である。長谷部は2007年まで浦和レッズでプレーし、2008年1月に

ドイツ・ブンデスリーガー1部のVfLヴォルフスブルグに移籍している。そして、

早くも2009年にはUEFA CLに出場している。


VfLとは、Verein für Leibesübungen の略で、体育の団体という意味、ヴォルフ

スブルグ市にはフォルクスワーゲンVolkswagen VW の工場がありVfLヴォルフ

スブルグの有力なスポンサーとなっている。単にヴォルフスブルグといっただけ

では間違えられる可能性があるので、VfLと付けている(と思われる)。UEFA

は、Union of European Football Assosiation(欧州サッカー連盟)。

(続く)