ドーハの歓喜(7)

ビデオでの再生で見ると、彼は本田の助走とタイミングを合わせてペナルティエ

リア内に猛然と走りこんでいた。そのためキーパーよりも早くボールに近づき、蹴

りこむことが出来たのである。細貝はいつもそのように心掛けているという。わ

ずかな可能性も手にすると言う基本に忠実ということは、細貝のことを言ってい

る様なものだ。細貝は自らを高めている。PKの時は、いつも走りこんでいると

言う、たいていは報われないことであろうが。しかし千に一のチャンスを逃すま

いと、走りこんでいるのだ。本人は「当たり前のことをしている」と思っているが、

それが「たいしたこと」なのだ、チームを救うのだ。このように報われないかもし

れないが、可能性に掛けていつも基本に忠実に確実に動いていることが、「たい

したこと
」をやった、というのである。

  

h細貝猛然蹴り込んだ勝ち越し弾/アジア杯
2011年1月26日(水)10:17

(日刊スポーツ)
<アジア杯:日本2-2(PK3-0)韓国>◇25日◇準決勝◇カタール

 日本代表MF細貝萌(24=アウクスブルク)が決定的な仕事をやってのけた。

1-1で迎えた延長前半7分、本田が蹴ったPKが相手GKに阻まれ、こぼれ球

に猛然と突っ込んだ。最後は左足で豪快に蹴り込み、勝ち越し点を決めた。

日本代表初得点。細貝は「昔からPKのこぼれ球を狙う意識は、常に持って

いた
。それが、あの場面で出せてよかった」と振り返った。


 後半42分、MF香川に代わりピッチに立つと豊富な運動量で韓国の攻撃の芽

を摘んだ。韓国の猛攻を受けていた時間帯での投入だったが、流れを引き戻す

役割も果たした。「先発で出なければ途中交代しかない。試合が始まってから、

1度もイスに座らずに準備してきた。与えられた時間で与えられた役割を果たそ

うと思っていた。あと1戦、必ず勝って終わりたい」と2大会ぶりの優勝を見据え

た。

http://www.nikkansports.com/soccer/japan/asiancup/2011/news/p-sc-tp2-20110126-728962.html

   

そして延長前半終了

延長後半戦、日本は押されっぱなしだ。何とか持ちこたえて欲しい。そして後半

15分の終了間際、韓国の左FK、やばいなあと感じていたが、放り込まれた

ボールはゴール前で混戦、日本はクリアできずにもたもたしている。やられるか、

と思った瞬間、韓国に押し込まれてしまう。痛恨のドローだ

なんてこった。


日本が追加点を奪えなかったことが、決定的な敗因だ(まだ負けてはいないが)

、と言っても始まらない。みんなサッカーをやっている、これがサッカーなのだ。

しかしだ、自陣でこんな緊迫した段階でファールはいけない、ファールは。これ

が最大の反省点だ。カタール戦でも日本はFKで得点されている。これは要注

だ。


それにペナルティーエリア内での動き方だ。反則を取られずに、如何にボールを

かき出すかに一層の錬度アップが必要だ。どんな技術が必要かは分からない

が、なんとしても阻止するという精神的な強さが大切なのであろう。この時日本

は逃げ切れる、逃げ切ろうと言う精神的な焦りが全員にあったのであろう。こん

な時には飄々としたパーソナリティを持った人物のリーダーシップが必要なの

であろう。この反省は次の決勝戦に生きていた。オーストラリアの一瞬の油断

を、日本は見逃さなかったからだ。


そして、とうとうPK戦だ。ゴールキーパー川島だ。シリア戦では退場処分を

受け、カタール戦では自身の壁の作り方のミスで点を奪われている。ここは是非

とも汚名を挽回しなければならない。

川島は完全に吹っ切れていた。韓国のPKを三つも止めたのだ。だから長友の

PK外しは愛嬌だ。これもザック采配の妙だ。監督は川島に「誰でもミスはある。

私はお前を信用している」と言って送り出している。

    

i川島止めた!止めた!外させた/アジア杯
2011年1月26日(水)10:17

(日刊スポーツ)
<アジア杯:日本2-2(PK3-0)韓国>◇25日◇準決勝◇カタール

 日本代表GK川島永嗣(27=リールス)が、執念のPKストップでザックジャパ

ンを決勝進出に導いた。日本(FIFAランク29位)はアルガラファ競技場で行わ

れた準決勝で宿敵韓国(同39位)と対戦。2-2で延長戦を終えても決着がつ

かずPK戦へ。川島が韓国のPKを2本連続でストップし、3本目も相手キッカー

のミスを誘い、日本代表は4人中3人が成功し3-0の圧勝。韓国戦勝利は05年

8月以来。昨年6月南アフリカW杯決勝トーナメント1回戦、パラグアイでPK

戦負けした悔しさを晴らし、守護神川島が日本を救った


 勝利の瞬間、守護神はアッという間にイレブンの歓喜の輪に消えていった。緊

張感から解き放たれた川島の表情は、喜びに満ちあふれていた。日本を救った

2連続PKストップ。「120分、フィールドの選手があれだけ走って、成長も見

せてくれた中で、あそこまで来たら自分が仕事する番なので、いい仕事がで

きてよかったです
」。


 完全に読み切っていた。我慢して我慢して、シュートの瞬間まで動かずコース

を見極めた。鬼のような形相でキッカーをにらみつけると、韓国1番手MF具滋

哲のキックを右に飛び、両手ではじき出した。


 続く2番手MF李容来のシュートは体でブロック。右手人さし指を天空に突き上

げた。韓国3番手のDF洪正好のキックは枠の外。川島の迫力が日本に勝利を

もたらした。

(続く)