番外編・プリウス急加速問題(83)

レーシングカーになった『ニッサン・リーフ』
WIREDVISION  2011年4月21日(木)08:29

Chuck Squatriglia
20110421171race

日産自動車のレース部門NISMO[ニッサンモータースポーツ・インターナショナ

ル株式会社の愛称・通称]でマシンのチューニングに取り組んでいる人々は、信

じられないような車を作り上げた。『リーフ』をベースにしたレーシングカーだ。

ーーそう、すばらしい技術を使いながら控えめな電気自動車リーフ(日本語版記

事)だ。

新しいレーシングカーは、『リーフ NISMO RC』と呼ばれている。ボディーはカー

ボン・ファイバー製で、モノコック構造。モーター等はミッドマウントで、サスペン

ションはダブル・ウィッシュボーンだ。[4月20日から開催のニューヨークモーター

ショーに北米日産が出品]

ホイールベースは市販のリーフより約10センチ長く、タイヤには18インチの鍛造

ホイール[ブリヂストン製の225/40R18レーシングタイヤ]を使用している。通常の

リーフと比較した場合、車高は約35センチ低く、全幅が約17センチ広く、全長も

約2センチ長いが、それでも見た目はリーフと似ているーーまあ、それなりには。

残念なことに、性能は外見ほど優れてはいない。乗用車タイプと同じAC同期モ

ーターとバッテリーを搭載しており、最高出力は107馬力、最大トルクは280Nm

[ニュートン・メートル/28.6kgm]だ。

カーボンファイバーを使用したことで、総重量がおよそ40%軽い約938キロに

なった。これによりパフォーマンスは向上したが、この車は決して速い車とはいえ

ない。0キロから100キロまで加速するのに6.85秒を要し、最高速度は時速約

149キロしか出ない。さらに、このスピードで走り続けると、24キロワット時のバッ

テリーは20分で切れてしまう。

日産はさまざまな場でこの車をデモンストレーションする予定だという。

英文リリース

http://www.nissannews.com/newsrelease.do;jsessionid=8C1BBF4E62F65FDFD45BA4502C977AAD?&id=2400&mid=

WIRED NEWS 原文(English)
http://www.wired.com/autopia/2011/04/nissan-leaf-nismo-rc/

  ・ 日産のEV『リーフ』、42kmの燃費認定2010年11月25日
     http://wiredvision.jp/news/201011/2010112520.html
  ・ 日産EV『リーフ』米国で好調:3日間で6635人が予約2010年4月27日
    ・ 日産の電気自動車『リーフ』試乗レポート2010年2月1日

http://news.goo.ne.jp/article/wiredvision/world/2011news1-29617.html

      

そんなこんなで、こんな事情も鑑みると、シボレー・ボルトのやり方も賢明なやり

方のひとつなのであろう。先にも挙げたが、発電機などを搭載する電気自動車

EVが研究されて行くことであろう。その発電機の動力を何にするかが、知恵の

出しどころとなろう。小生は太陽光を電気に変える塗料なども、その有力なひと

つと思っている。しかしこれも夜間の走行となると、問題がある。だから補助的

に何らかの発電機を動かすための動力を搭載することになるのではないかと踏

んでいる。トヨタは究極的には、その候補として燃料電池、即ち水素ではないか

と考えている節がある。海水から水素を取り出し、安価な水素タンクが考案さ

れて、巷に水素ステーションが幅を利かす世の中になっているかもしれない。

今後が楽しみだ。

  

さて、日産リーフは「2011 World Car of the Year」を受賞した。このリーフの

航続距離は、日産によればLA-4走行モードで160kmであるが、160kmも走れ

れば通常の使用には問題は無いのであろうか。それしか走れないものと認識し

てこの車を使えば、いつの間にかそれでよいものと、定着して行くかもしれない。

そしてそれなりに充電設備が存在すれば、いつかは流行して行くのか。そんな

風にも思えてくるのだが、車に対する『いつでも、どこでも、どこへでも』と言った

コンセプトに対して、我々の認識や受容がどこまでそれに追いついて行けるか

が、ポイントとなるであろう。しかもバッテリーの充電には、7~8 時間も掛かって

しまうと言う。いわば一晩中充電していなければならないことになる。普通はこれ

でもよいのではあるが、しかしいつもこれでよいと言うことにはならないところ

が、厄介なところである。このため電気自動車の使い方ではそれなりの問題と

なる。如何にこの問題を克服するかが、各自動車メーカーの腕の見せ所なので

あり、夫々必死に切磋琢磨しているゆえんである。だから近距離用と割り切り、

バッテリーも小さくして4時間で充電できると言うコンセプトも出てくるのである。


(続く)