番外編・プリウス急加速問題(86)

この1年余にも渡るオバマトヨタ叩きもGMの再生が成って収束したのである。

 

米政府・議会の“目的”達成 トヨタ独り負け、GMは再生
2011.2.9 20:40

 全米に吹き荒れた“トヨタたたき”は、米運輸省の「安全宣言」で終息に向かうとみられ

る。ただ、一連の問題でトヨタのブランドイメージは深い傷を負い、販売不振で米国での

シェアは、大きく落ち込んだ。それに代わるように経営破綻したゼネラル・モーターズGM

など米ビッグスリーは復活を果たしている。結果として、オバマ政権と米議会が、基幹産業

の再生という“目的”を達成しつつあることは間違いない。

 「娘もトヨタの車を買った」。ラフード米運輸長官は8日の会見で、娘からトヨタのミニバン

シエナ」の購入を相談され、「買うべきだ」と助言したエピソードを披露した。

 ちょうど1年前に米議会で、その後撤回したものの、「私のアドバイスは運転をやめるこ

とだ」と発言していた長官は、態度を豹変させた。

 トヨタは、「シロ」判定が出た電子制御の欠陥について、繰り返し否定し続けてきた。し

かし、政府も議会も、リコール後も「急加速」の苦情が出ていることなどを事例に挙げ、執

拗に疑惑をあおった

 「電子制御という目に見えない欠陥で『突然、暴走する』という不安心理が消費者に植え

付けられた」(自動車アナリスト)

 さらに、制裁金が科せられた当局への報告の遅れなどトヨタ側の不手際もあり、議会は

トヨタの「隠蔽体質」を強調。すっかり“悪役”に仕立て上げられた。

 議会にはトヨタが米国に企業市民として根付き、雇用や投資で貢献していると擁護する声

もあった。だが、トヨタが工場を多く持つ南部を地盤とする野党の共和党議員の声は、小さ

いままだった。

 トヨタの昨年の米国での新車販売台数は、0・4%減と、市場全体が11・1%増と急回復し

他社が軒並みプラスとなる中、“一人負け”を喫した。

 一方で、瀕死の状態にあったGMは、公的支援で息を吹き返し、昨年11月にはわずか

1年で再上場しスピード再生を果たした。1月の米新車販売はGMの大型車が牽引役とな

り、5カ月連続のプラスを達成。その結果、製造業を中心に雇用が増え、失業率が低下す

るなど、景気回復ペースも速まっている。

 運輸省がこのタイミングで安全宣言を出したのは、「民主党の地盤の中西部でもトヨタ

販売店の業績が悪化しており、業界全体の回復ムードに水を差しかねない」(自動車販売

業者)との懸念に配慮したとの見方もある。

 トヨタは、大学などと共同で交通事故の死傷者低減の研究を行う「先進安全技術研究

センター」を米ミシガン州に新設するなど安全対策をさらに強化。ローン金利の優遇や10

車種の新型モデルの投入で、米国販売の立て直しを急ぐ考え。

 ただ消費者に染みついたイメージの払拭は容易ではないうえ、米国勢の復活に加え、独

フォルクスワーゲンや韓国の現代自動車などが猛追しており、“ドル箱”市場で苦戦が続

、懸念がある。(ワシントン 柿内公輔)

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110209/biz11020920410055-n1.htm

 
しかしトヨタ(&レクサス)車の電子制御システムに問題はないと言われても、結果としてトヨ

タは大打撃を受けた。おっちょこちょいのラフードがいくら自分の娘にトヨタ車を勧めても、

後の祭りだ。

トヨタ車の保有者は電子制御システムを争点とするには難しすぎるので、「リコールによる

車の価値の下落」による損害をネタに、集団訴訟を起こしている。この結果がどうなってい

るか知らないが、結局トヨタの電子制御システムには問題がなかったが、一年以上経った

今でもトヨタは忙しい日を送っていることであろう。

 
トヨタ安全認定 国際企業に残された重い教訓

2011年2月11日(金)01:43

 全米に吹き荒れた「トヨタたたき」は、おおむね収束に向かうだろう。だが、傷付いたブラ

ンドイメージの回復は道半ばである。

 トヨタ車が運転中に急加速するとされた問題で、米運輸省が最終報告を発表した。原因と

して疑われた電子制御システムに「シロ判定」を下した。「欠陥はない」とするトヨタの主張

が全面的に認められたといえる。

 しかし、問題の発生当時、米当局への報告が遅れるなど、トヨタの動きは鈍く、安全性に

敏感な米国の消費者の反応を見誤った。

 企業にとって、自社製品の品質管理は最優先課題である。対応を誤れば、長年かけて築

き上げてきた信用も一瞬で崩れ去る。トヨタは、こうした点を今後の経営の糧としなければ

ならない。

 トヨタ車に対する苦情が米国内で相次いだのは、2009年ごろだ。自ら調査した結果、ト

ヨタはアクセルペダルなどの不具合を認め、800万台のリコール(回収・無償修理)に追い

込まれた。

 焦点となっていた電子制御システムは、米国で販売されているすべてのトヨタ車に使われ

ている。欠陥が認定されれば、米国での生産や販売への打撃は計り知れないものとなった

に違いない。

 米当局が安全性にお墨付きを与え、疑念がさらに広がる事態を避けられたことは、トヨタ

にとっては朗報である。

 一方で、トヨタ車の保有者が「リコールで車の価値が下がった」として損害賠償を求める

集団訴訟は各地で続いている。最終報告はトヨタに有利に働こうが、訴訟の行方は予断

を許さない。

 米国での業績不振も続いている。昨年の米新車市場は主要各社が 揃 ( そろ ) って前年

比プラスを確保する中で、トヨタだけが販売台数を減らした。消費者の不信感が払拭され

ていないということだろう。

 米国の議会や政府、メディアは一時、激しいトヨタ批判を展開した。急 先鋒 ( せんぽう )

となったのは、米自動車大手の拠点を選挙区に抱える議員たちだ。10年の中間選挙

控え、トヨタ追及を政治的に利用しようとする狙いは明らかだった。

 最終報告を受け、米紙は「ヒステリーを起こした米議会は責められるべきだ」と批判し

た。こうした議員らには、大いに反省してもらう必要がある。

 ただ、グローバル企業にとって、文化の違いなどから国内では想定しがたいリスクがつき

ものである。それを再認識することが、トヨタ問題の教訓となろう。

http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20110210-567-OYT1T01089.html

 

そうこうしているうちに今度は2011.3.11の東日本大震災だ。そして2011.7末から年末ま

で続いたタイの洪水だ。そのため自動車部品をはじめとする日本企業のサプライチェーン

が2度に渡ってずたずたになり、トヨタをはじめ日本の自動車関連企業はてんやわんやと

なってしまった。しかしながらこれほどまでに日本のものづくりがダメージを蒙っているにも

拘らず、円高が進行していたのである。

 

円78円台、“6重苦”の日本企業に残された道は日本脱出?
2011.7.14 10:53

 14日の東京外国為替市場で、円相場は一段と円高が進み、4カ月ぶりに1ドル=78円台

後半に達した。海外経済の構造的な問題を反映している今回の円高は、長期にわたると

の見方が少なくない。想定以上の円高は東日本大震災の被害から立ち直りつつある日

本企業の競争力を根こそぎ奪う。原発再稼働問題での政府の場当たり的な対応もあっ

て、日本企業は“6重苦”に苦しんでおり、“日本脱出”がいよいよ現実味を帯びてきた。

 「追加の政策支援が必要になるだろう」。この日の円高は、米連邦準備制度理事会

FRB)のバーナンキ議長の発言が引き金となった。バーナンキ議長が米景気について

「回復は続いているものの、ペースは緩やかだ」と景気回復のもたつきを認めたことで、追

加金融緩和観測から一気に円買いドル売りが進んだ。

 前日はギリシャなどの財政危機が、経済規模の大きいイタリアやスペインに波及すると

の見方が広がり、ユーロを売る動きが加速したことで円高が進んだ。米欧の経済、財政問

題に端を発した円高だけに、今回の円高は簡単には終息しそうもない。

 もともと日本勢は海外勢と競争する上で税制・労働法などの面で不利を強いられて

きた。だが、日本経済を支えてきた輸出企業にとっては、「円高が最も厳しい」(日本自動

車工業会の志賀俊之会長)。13日に国内生産拠点の再編策を発表したトヨタ自動車の豊

田章男社長は、「石にかじりついてでも日本でのものづくりに取り組む」と話したが、その言

葉からは悲壮感さえ漂う。

 さらに政府の場当たり的な対応で、この夏は電力供給不安も加わり、日本企業はまさに

“6重苦”。菅直人首相は13日の会見で「(国民の)節電の協力が得られれば、今年の夏と

冬の必要な電力供給は可能だ」と述べたが、この発言を聞いたある企業の幹部は「われ

われがどれだけの思いで、国内のものづくりを守ろうとしているのか、まるで分かっていな

い」と切り捨てた。

 残る道は、いよいよ日本脱出。「1ドル=78、79円台になると、日本国内でのものづくりは

非常に難しい状況になる」。オムロンの山田義仁社長が13日の会見でこう話したように、

日本企業のトップも海外脱出が視野に入っていることを公然と認め始めた。政府の無策

は、国内企業に、究極の選択を迫ろうとしている。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110714/biz11071410550003-n1.htm

 
これも民主党政権の無策・無能とそれに輪をかけた間抜けな日銀総裁白川方明(まさ

あき)のノホホン振りだ。こんなに円高となれば日本企業は潰れてしまう。

 
“政策失敗”の裁判を開いたら…日銀総裁は有罪
2012.03.14 連載:「日本」の解き方
日銀の白川方明総裁【拡大】 日銀白川plt1203140850001-n1

 テレビを見ていたら、あっと驚くニュースがあった。2008年9月にリーマン・ショックに見

舞われたヨーロッパのアイスランドで、当時の首相が適切な対策を取らなかったとして過失

の罪に問う裁判が始まったというのだ。

 裁判は、アイスランド議会の調査委員会による報告書がまとまったことを受けて議会が

提訴したものだという。議会が提訴するというのも度肝を抜かれる。

 初公判でハーデ前首相は無罪を主張したが、有罪になれば最大で懲役2年の実刑とい

うから穏やかでない。

 日本の原発事故では国会の事故調査委員会菅直人前首相をどうするかが注目され

る。また、民間でも、問題を起こした企業の経営者は株主代表訴訟を起こされることもある。

 そこで、仮に日本でアイスランドと同じように、リーマン・ショックに対する政策の失敗の責

任を問う裁判が開かれるとするとどうなるだろうか。

 まず、被告席に立つのは誰か。マクロ経済政策は財政政策と金融政策である。財政政策

では政府のトップであった麻生太郎元首相になるだろう。金融政策については、今の日銀

法では目標も日銀が決め、その達成手段も日銀が決めることになっていて、日銀がすべ

ての責任
を負うことになるので、白川方明日銀総裁になる。

 この場合、損失額(国民の被害額)はどのぐらいなのか。リーマン・ショックでは需要が急

激に減少して、GDPギャップ(需要と供給の差)が生じた。

 政府としては、財政政策と金融政策を使って、このGDPギャップを埋めないと、国民にそ

の分の被害が生じるので、政策によって埋めなかったGDPギャップ額を被害額とするのが

いいだろう。

 日本で発生したGDPギャップは45兆円だった。財政政策で10兆円埋めたが、金融政

策の対応はゼロだった。

 ちなみに、世界ではどう対応したかというと、米国では140兆円のGDPギャップに対し、

財政政策70兆円、金融政策100兆円でギャップを完全に埋め、さらに超過需要になるくら

いに景気のてこ入れをやっている。

 英国では30兆円のGDPギャップに対し、財政政策5兆円、金融政策30兆円で埋めた。

ドイツでもGDPギャップ30兆円に対し、財政政策10兆円、金融政策15兆円と、これもほ

ぼギャップを埋めている。

 財政政策の水準は各種の国際会議でだいたい各国とも相応になっていたので、日本の

財政政策はまあ及第点だ。

 一方、まったくダメだったのが金融政策で、その対応をしなかったために国民の被害額は

35兆円となろう。これは国民一人当たり28万円だ。

 この仮想裁判のほかに、時効が許せばこれまでの長期不況やデフレについても訴えたい

ところだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120314/plt1203140850001-n1.htm

 
そんな中でも企業は利益をあげていかなければならない。政治家と違い居眠りしていては

稼げないのである。トヨタも必死に自車の安全性をPRしている。ダイムラーなんぞに負け

るわけにはいかないのだ。オバマに着せられた濡れ衣も剥ぎ取らなければならない。6重

苦ともなれば尚更だ。アメリカでの販売向上が至上命題だ。涙ぐましい限りだ。民主党には

この気持ちはわかっていない。わかっていればすぐにでも円高対策を打っているはずだ。

民主党国賊政党なのである。

(続く)