番外編・プリウス急加速問題(87)

トヨタも我慢に我慢を重ねて、必死にこらえたのである。
 

「安全です」トヨタ、衝突実験を米で初公開
2011.9.16 23:04
Biz11091623070033n1
トヨタ自動車が公開した「カムリ」の衝突実験=14日、米ミシガン州アナーバー郊外(共同)

 トヨタ自動車は14日、米ミシガン州アナーバー郊外にある安全技術などの開発拠点「トヨ

タテクニカルセンター」で、実際に自動車を壁に衝突させて運転者らの安全性を確かめる

実験
を米国で初めて報道陣に公開し、トヨタ車の安全性をアピールした。

 全面改良し、来月から米国で発売するトヨタの主力車「カムリ」を使って実験。時速56キ

ロで壁に正面から衝突させた実験車は、車体前部が完全に破壊されるほどの衝撃を受け

たが、車内ではエアバッグが開き、人間の代わりに乗せたダミー人形の衝撃は最小限に

抑えられていた。実験で得たデータを使って安全技術の向上に役立てるという。(共同)

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110916/biz11091623070033-n1.htm

 
そんな訳でもないであろうが遅ればせながら今年の1月に、今度は「米国科学アカデミ

」もトヨタ車の電子制御システムには問題が無い、と発表したのだ。オバマのNHTSA

2010.3.30に、あのNASANAS(National Academy of Sciences米国科学アカデミー )

にも調査を依頼していたのだ。この件は'10.4.21の「番外編・プリウス急加速問題(15)」を

参照願いたいが、そこでは次のように引用している。

運輸省のプレスリリースいわく、トヨタ自動車における意図しない急加速の原因をつき

とめるため、「コンピューター制御の電子システム、電磁波妨害、ソフトウェアの信頼性など

の分野で専門知識をもつエンジニアに協力を要請」したのだと。

http://www.dot.gov/affairs/2010/dot5410.htm

 
いわく「NASA電子技術、ハードウェア、ソフトウェア、危険原因分析、複雑な問題解

決において高い専門技術を持っている」ため、すでにNASA技術者9人が運輸省の高速道

路交通安全局(NHTSA)と協力してトヨタ車問題の解明に乗り出していると。


加えて米国科学アカデミー(NAS)も今後15カ月かけて、トヨタ車だけでなく自動車業界全

体について自動車の電子制御システムと急加速に関する大々的な調査研究に着手すると

のこと。

※NAS National Academy of Sciences、米国の学術機関で「米国科学アカデミー

紀要」はNASの機関誌である(通称PNAS、Proceedings of the NAS of USA)。


……すごいですね。アメリカ政府が持てる科学力の総力をかけて真相究明に乗り出したと

いう、そういうことです。NASANASという両横綱が出て来たということは。アメリカが科学

大国としての威信をかけて原因を突き止めてみせると息巻いている、なんだかそういう印

象です。


プレスリリースによると、ラフード運輸長官は「意図しない加速(unintended acceleration)」

について、「絶対に真相を突き止めてみせるつもりだ(We are determined to get to the

bottom of)」と。


   
結局アメリカの威信をかけて原因究明に乗り出したものであったが、NASでも問題は見つ

けることが出来なかったものである。まあ当然と言えば当然である、NASAの調査でも問

題は見つからなかったのであるから。トヨタは何度でも問題ないと言っていたでしょう。

   

トヨタ車の電子制御、問題なし」米科学アカデミー
2012年1月19日10時58分

 トヨタ自動車の車が意図せず急加速したとの訴えが米国で相次いだ問題で、米科学ア

カデミー
('12.1月)18日、調査結果を公表し、トヨタ車の電子制御システムに問題はな

かった
と結論づけた。

 トヨタの急加速問題を巡っては、同社が2010年までにアクセルペダル関連の大規模リ

コール(回収・無償修理)をしたあとも、米消費者から「電子システムにも問題があるので

は」との疑念が寄せられ続けた。これを受けて運輸省は11年2月、「電子システムには

急加速を引き起こす欠陥は見つからなかった」との調査結果を発表した。

 米科学アカデミーは同省から依頼を受けて別途調査をしていた。18日に公表した報告

書のなかでは「米運輸省の決定は正当化された」として、運輸省の結論を支持する考えを

示した。

 ただ、急加速問題を巡る当時の米運輸省の対応について「国民の不安に対し、納得でき

対応ができなかったのは問題だ」と指摘。複雑化する自動車の電気システムに対応で

きるよう、同省がさらに専門知識をつけるよう求めた。(ニューヨーク=山川一基)

http://www.asahi.com/business/update/0119/TKY201201190144.html?ref=goo

 
当時(2010.3.30)の資料によると、NASは15ヵ月かけて調査結果を発表するとしていた

が、発表されたのは2012.1.18だ。21ヵ月も経っている。目標より半年遅れだ。NASAの調

査結果ではすでに2010.7.30には、トヨタの電子制御システムには問題が無い、と言うこと

が把握されていたのであったが、それをラフード運輸長官の指示で隠匿されていたと言うこ

ともあった。それにしてもこのNASの発表の遅れは何を意味するのであろうか。トヨタの再

興を遅らせるためか。'10.8.24,「番外編・プリウス急加速問題(54)~」なども参照願う。


そしてNHTSAのこの調査能力不足が、昨年の米議会で槍玉に上がっていたと言う。さもあ

りなん。

  

トヨタの宿敵がリストラ対象? 欠陥発見できず「評価急低下」
2011.8.22 13:26 (1/2ページ)

 米債務上限引き上げをめぐるドタバタの結果、財政支出を見直すための予算特別委員

が議会に設置された。「ここでNHTSAのリストラが俎上(そじょう)に上るのではない

か」。こんな噂が最近、米国のロビイストや弁護士の間でささやかれている。

 NHTSAとは米運輸省傘下にある道路交通安全局の略称。米自動車行政の要だ。

 「アンチ・トヨタ」のヒステリーが全米を覆った昨年のトヨタ自動車のリコール(回収・無償

修理)事件で、トヨタを厳しく追及したご本尊でもある。同局を監督する運輸省トップのラフ

ード長官
が米議会で批判を繰り広げたのは記憶に新しい。

 だがここにきて、財政赤字の削減で紛糾する米議会の一部で、運輸省がNHTSAを吸収

するアイデアが出ているというのだ。「自動車がハイテク化しているのに、主力スタッフは整

備問題を検査するメカニックばかりで、電子部品統計学などプロの技術屋が2人しかい

なかった」。主任法律顧問を務めるなどNHTSAで25年間働いた経験を持つアラン・カム

弁護士は説明する。

 環境技術で知られるプリウスや快適さで知られるレクサスなど、先進的な自動車はパソコ

ン4台分のコンピューターチップを搭載しているといわれるが、深刻なエンジニア不足が続く

NHTSAがエンジン出力を制御する電子制御システム(ETC)の検査を始めたのはつい

最近。それまでは問題が報告されても検査官が10分程度自分で運転するだけだったと

いう。

(2/2ページ)
 このため、「米議会からの評価が急低下した」(消費者保護団体「センター・フォー・オート

・セーフティー」のクレランス・ディットロー氏)。2012年度予算で当初は8億6000万ドル

を政府に求めたが、3年連続で増加申し立てが却下された。債務上限引き上げ問題のあ

おりも受け、逆に削減される可能性が高い。

 米国では不祥事で省庁の統廃合が検討されるケースは珍しくない。昨年4月に起きた英

BPによるメキシコ湾における原油漏出事件への対応を誤った鉱物資源管理局(MMS)

がその後解散し、海洋資源管理機構に吸収された。史上最大級の巨額詐欺犯とされるバ

ーナード・マドフを見逃した米証券取引員会(SEC)にも、商品先物取引委員会(CFTC)

と統合解消するアイデア金融危機後に浮上した。

 トヨタの急加速問題で、調査能力が十分でないNHTSAは、米航空宇宙局(NASA)など

に調査を外注した。だが結局は急加速問題の原因と疑われたETCの欠陥を発見すること

ができなかった。もちろん、自身の不作為トヨタを大変な目に遭わせたことについても

罪していない
。米国にも日本流の「仕分け」があったら、NHTSAリストラ対象となるの

は間違いないだろう。(産経新聞ニューヨーク駐在編集委員 松浦肇)

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110822/biz11082213310006-n1.htm

   
今までNHTSA(National Highway Traffic Safety Administration)と言えば、全米最高の権

威を持つ自動車関係の機関だと思っていたが、電子部品などの専門家が2人しかいないと

なれば、これでは町の整備屋とさほど違いはない。まあ早めに潰してもらったほうが、お互

いのためになるのではないかな。


トヨタもこんなことにいつまでもかかずらっている暇はない。今流行のEVにも首を突っ込ん

でいかなければならない。今年はトヨタ量産EVを発表すると言っている年だ。昨年のこ

とだが、ドイツのニュルブルクリンクでタイムトライアルを行うEVのレースカーを発表して

いる。これがトヨタの量産EVとどう関係するのかはわからないが、いろいろとやっているよ

と言うことのPRにはなりそうだ。

 
トヨタ、ニュルアタックマシン公開…目標はEV最速
(レスポンス) 2011年8月22日(月)22時34分
Imgs_zoom_358041

29日、ドイツ・ニュルブルクリンクタイムアタックを行うトヨタのEVレーサー

トヨタ自動車('11.8月)29日、ドイツのニュルブルクリンクで行うEVによるタイムアタッ

。そのマシンの概要が明らかになった。


これは19日、ドイツに本拠を置くトヨタの欧州モータースポーツ部門TMGが公表したもの。

2シーターのEVレーサーは、将来のワンメークレース開催を想定して開発された。


TMGが開発したEVパワートレインは、2個のモーターを中心に構成。最大出力は380psを

引き出し、最高速は260km/hに到達する。TMGによると、このEVパワートレインを2012

年、市販する計画だという。


二次電池リチウムイオンバッテリー。この重いバッテリーを積んだ状態で、車両重量

は970kgに抑えられる。


ニュルブルクリンク北コースは、1周20.832kmの難コース。トヨタは29日、プジョー『EX1

が打ち立てた9分1秒338の記録更新を狙う。(森脇稔)

http://autos.goo.ne.jp/news/ecocar/161155/article.html

   
TMGとは、トヨタモータースポーツ有限会社Toyota Motorsport GmbHで、トヨタのヨーロッ

パにおけるモータースポーツ担当の子会社である。この前身はトヨタチームヨーロッパ

TTEで、WRCで活躍していた。1975年より参戦しその年トヨタは初優勝している。そのとき

のマシンがAE86カローラレビンである。今年はそのネーミングを引き継いでいる

トヨタ「86」が発売されている。


GmbHとは、「ゲーエムベーハー」と発音し有限会社を意味する。Gesellshaft組合mit (with)

beschränkter制限された Haftung責任と言う意味である。

(続く)