尖閣諸島問題その2(1)

このところ東シナ海南シナ海で中国と、日本や周辺国との軋轢が強くなってきている。


東シナ海では中国の領土的野心に対する東京都の石原都知事の「尖閣諸島購入計画

の発表(2012.7.1未明日本時間)があり、これに対して中国は「パンダと尖閣はどんな名前

をつけようが中国のもの」と相変わらず帝国主義的野心をむき出しにしている。


南シナ海では、中国の領土的野心に業を煮やしたベトナムが今年2012.6.21に、南沙諸島

中沙諸島西沙諸島ベトナム領だとするベトナム海洋法を採択している。これに対して

中国は即刻、これらの3諸島を市に格上げして「三沙市」と命名して、西沙諸島永興島

に市政府を置くと報道している。もともと永興島には中国が2,400mの滑走路と港湾施設

を、1988年に建設して実効支配している。これなど中国の軍事力を背景とした「有無を言

わせぬ」傍若無人な振る舞いであった。


これら両海域には豊富な石油などの海底資源が眠っているところである。そのため中国が

その石油をめぐって後からしゃしゃり出てきたものである。


2010年9月7日
中国漁船による海上保安庁巡視船への意図的衝突事件などは、その

事象の氷山の一角であるが、この件は別途言及するとして、同じ頃2010年9月11日には

ベトナム沖の南シナ海では中国がベトナム漁船を拿捕し乗組員9名を拘束すると言う事件

が発生していた。その年にはすでに40名ほどのベトナム漁船員が拿捕されていると言う。

このベトナムと中国の南シナ海での紛争も深刻である。

 
 
南シナ海緊張 ベトナム漁船拿捕、中国の船員拘束続く
2010年10月9日7時23分

Photo
南シナ海緊張

 【バンコク=古田大輔、シンガポール=塚本和人】南シナ海パラセル(西沙)諸島

領有権をめぐり、中国とベトナムの緊張が再び高まっている。同諸島の周辺海域で

9月11日ベトナム漁船中国当局拿捕(だほ)され、乗組員9人が拘束される事

件が発生。ベトナム側は抗議を続けているが、乗組員の解放に至っていないためだ。

 南シナ海ではパラセル諸島やスプラトリー(南沙)諸島の領有権をめぐり、海洋権益の

拡大
を目指す姿勢を強める中国東南アジア諸国連合ASEAN)の一部の国が対立し

ている。特に中国当局によるベトナム漁船の拿捕はここのところ頻発しており、今月12日

ハノイで開催予定のASEAN10カ国と日中米ロなど8カ国が初めて参加する拡大国防

相会議でも焦点となる可能性がある。

 国営ベトナム通信によると、拿捕されたのはベトナム中部クアンガイ省の漁船1隻。両国

政府は発生直後から外交ルートを通じて交渉を続けていた。そんななかで、ベトナム外務

省が今月5日に在ハノイの中国大使館に対し、ベトナムの主権を主張したうえで拿捕と

拘束
にあらためて抗議したことを、同通信が明らかにした。

 ベトナム当局者によると、中国側は「漁船が爆発物を使った漁をしていた」との理由で漁

船所有者に罰金の支払いを求め、払えば乗組員と船を解放すると伝えた。ベトナム側は

「漁船はベトナム領海内で通常の漁をしていた」とし、乗組員9人の即時無条件の解放を

要求。同当局者は、中国側から当初受け取っていた報告書には漁船が爆発物を積載し

ていたことに触れていなかった点を挙げ、罰金の支払い命令に対して「理性を失っている」

と批判したという。

 南シナ海の軍事情勢やベトナム政治に詳しいオーストラリア国防アカデミーのカール・

セアー教授は「今回のベトナムの抗議のコメントはこれまでで最も強い」と指摘。その背景と

してベトナムでは中国の経済的、軍事的な存在感が高まるにつれ、エリート層の間に反中

感情
が高まっていることから、指導部人事が協議されるとみられる来年のベトナム共産党

大会を控えて対中外交で強い態度をとらざるをえなくなっていると分析する。これまでベト

ナムは表立っては、強い中国批判を控えてきた。

 シンガポールシンクタンク東南アジア研究所のイアン・ストーリー特別研究員は「ベト

ナム政府は、東シナ海尖閣諸島沖で逮捕された中国人船長の無条件解放を日本に求

めた中国政府と同じように、ベトナム人漁師の無条件解放を要求することで中国の二重

基準
を強調しようとしている」と分析する。中国が南シナ海では自国船舶の航行の権利

を主張する一方で、東シナ海では日本船の航行の権利を否定するという矛盾した姿勢を

浮き彫りにさせる狙いだとの見方だ。

 中国は昨年以降、パラセル諸島海域に漁業監視船を派遣。セアー教授の調べによる

と、今年に入って中国当局拘束されたベトナム人漁師は40人余りにのぼるという。

http://www.asahi.com/special/senkaku/TKY201010080536.html?ref=reca

 
 
ベトナム漁船員は未だ拘束されているものと思うがこれに類した中国による侵略は、

尖閣諸島においても発生する可能性が大きいため、2011年5月に発生したベトナム調査

船に対する中国の妨害事件を中心に、これらの紛争を追ってみよう。


まずこのような対外紛争に対する中国の基本的態度は、次のような原則に基いている。


これは2009年9月10日の小生のブログ「
尖閣諸島問題(125)」で紹介したものであるが、

今一度それを掲げてみよう。

(続く)