尖閣諸島問題その2(19)

中国はこの「牛の舌」即ち遠い昔の誰も認めていない、国民党政府が勝手に描いたと言う地図

を元に、九つの破線で描いた図形を九段線と言って自国領の境界だと嘯(うそぶ)いているの

である。実効支配もしていないのに、盗人猛々しいとはこのことを言うのであろう。油断もすきも

あったものではない。


李国強
((リー・クオチアン)「り・こっきょう」国務院副総理)と言う習近平(国家副主席)と並ぶ

中国の次世代の政治リーダーがいる。小生の理解では、習近平胡錦濤の後を継ぎ、李国

強が温家宝(国務院総理)の後を継ぐと見られている。


その李国強が「
中国と周辺国家の海上国境問題」と言う論考を書いている。A4にして6頁ほど

の文章である。


(「中国と周辺国家の海上国境問題
李   国  強

http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/publictn/japan_border_review/no1/03_li_guoqiang.pdf 」 )

以下その要約を述べる。これは2010.8月以降のものであるようだ。

・・・・・・・・・

中国は海洋大国でもあり、黄海東シナ海南シナ海と接している。その何れでも海上国境は

画定されていない。

中国の主張は大陸棚の自然延長と衡平原則である。
(衡平・釣り合うこと、平衡、平均と辞書にある。)

・・・・(略)

東シナ海は中国、日本、韓国とその領有権を争っている。

特に中日間では、大陸棚に対する法的な主張の相違により、境界画定問題を争っている。

しかし東シナ海は海底の地形と地質構造は、中国大陸と繋がる大陸棚から沖縄トラフまで延伸

していることを示している。中国大陸の延長であり大陸棚は、沖縄トラフで日本の琉球群島の

島棚と区切られているのである。


従がって、沿岸国の領土自然延長の原則の下に大陸棚の境界を画定することが自然であり、

中国大陸沿岸から沖縄トラフの中間までが中国の領海である。中日両国は沖縄トラフで分離

され、大陸棚は共有していない。だから大陸棚の中間線原則なんぞは適用されないのである。

日本は沖縄トラフは大陸棚の途中で偶然に窪んだ箇所であるので、東シナ海の大陸棚はその

等距離中間線の原則によって(東シナ海大陸棚を)分割すべきと主張している。


と言うことで、東シナ海の境界画定は進展していない。島嶼の帰属も、当然として存在する。
釣魚島(尖閣諸島)と蘇岩礁離於島)があるが、これらは古くからの中国の領土である。

日本は領土問題の存在を認めず、実効支配を続けている。2000年と2002年には、韓国が蘇

岩礁に海洋観測所を建設するなど一方的な行動をとったため、中国は厳重な抗議をしている。


そして南沙諸島に関しては、第2次大戦後中国が南沙諸島及び周辺海域に主権を有すること

に対し、周辺国は異議を唱えなかった。
(7/16,NO.10ブログの年表参照のこと。)

そして現在南沙諸島は6ヵ国と1地域が関与している。


中国軍が6の島礁に駐留している。

台湾が太平島を占有。

ベトナムが29の島礁に駐留(周辺100万超平方キロメートルを自国領に)

フィリピンが9の島礁に駐留(54の島礁などと41万超平方キロメートルの海域の主権を主張)

マレーシアが5の島礁に駐留(12の島礁などと27万超へ右方キロメートルの海域の主権を主張)

インドネシアブルネイは島礁は占領していないが、

インドネシアは5万超平方キロメートルまで侵入し、

ブルネイは南通礁と3万超平方キロメートルの海域の主権を主張している。


そしてベトナム実効支配している島礁で、石油を盛んに生産している。そのためベトナム

石油の輸出国となっている。

マレーシアも九段線内で60以上もの油田を開発している。いまや九段線内には100以上の

油井が立っている。


この九段線は1947年12月1日に、中華民国の内政省地域局が作成し国民政府が議決・公布

した「南シナ海諸島新旧名称対照表」及び「南シナ海諸島位置図」が基である。ここには11段

のU字線が描かれていたが、1953年に中国が九段線に書き換えた。


この九段線の解釈には諸々あるが、主なものは4つである。その一つには、この「九段線」

「国境線」である、と言うものである。そしてこの九段線は、歴史的に、中国と外国との境界を示

しているのである。


そして中国はベトナムとのトンキン湾の境界画定が成功したように、「中国は平和的な手段を通

じて領土や境界の係争解決を行うとする立場を明らかにし、国際法に基づき国際問題を処理

する誠意を示している。」

 
  
 
と言ったものであるが、中国が「誠意を示している」などと言うときは、全く誠意なんぞは示さな

いものである。こんな大法螺宣伝には載せられてはいけない。中国の西沙・南沙諸島への侵

略状況や尖閣諸島への侵略事案を見れば、そのすべてが「虚言」であることがよくわかる。


そして次のようにも述べている。


中国は国際法よりも歴史的事実、歴史的事実よりも現実の実効支配が重要である。」と、取

れるようなことを「オブラート」に包んで述べている。要は、「強いもの勝ち」が中国の原則である。


是非とも読者諸氏の皆様は、李国強のこの論考を一読願う。


その「強いもの勝ち」を証明するかのように中国は、2011.6.29にはスホイ30戦闘機まで使っ

尖閣諸島の領海どころか、領空侵犯までしてきているのである。

  
 

中国軍機 尖閣・与那国に飛来 台湾紙報道 空自が緊急発進
産経新聞 2011年8月23日(火)08:00

 【台北=吉村剛史】22日付の台湾紙「蘋果日報」は、中国軍スホイ30戦闘機が今年

6月下旬、台湾海峡の中間線を越え、さらに日本の防空識別圏に侵入。台湾空軍と日本の航

自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)を行った、と報じた。中国の戦闘機がこの海域

まで飛来したのは初めてという。


 同紙によると、中国軍機は6月29日正午ごろ、中国江西省の基地を発進。同機が台湾海

峡の中間線を越えたため、台湾空軍のF16戦闘機2機が東部の花連基地から、ミラージュ

2000戦闘機2機が北西部の新竹基地から緊急発進した。


 中国軍機はさらに尖閣諸島上空から与那国島上空付近を飛行したため、沖縄の空自機

緊急発進した。中国軍機は約40分後に中国に引き返したという。


 台湾国防部(国防省に相当)はこの報道内容を否定しているが、同日前後して、別の中国軍

機2機(スホイ27)が台湾海峡を飛行中の米軍の高高度偵察機U2を追跡中、台湾海峡の中

間線を越えたため、台湾軍のF16戦闘機が緊急発進したことは、7月25日に発表している。


 日本の防衛省統合幕僚監部では「非公表」としているが、空自関係者は「6月29日、中国の

スホイ30戦闘機2機の飛来に対し、那覇からF15計4機を緊急発進させた」としている。

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20110823090.html

参考画像 Su-30
Su30mkclimbings

http://dqnchannel.blog.fc2.com/blog-entry-766.html  より。
(中国向けには、このカナードはついていないようだ。)

(続く)