尖閣諸島問題その2(43)

この夏、ボストンに滞在中、私は香港紙・明報などいくつかの媒体でコメントを発表しました。

先日、ある中国本土の読者は私に尖閣問題で中国は勝利したのかと質問してきました。日本

は中国の圧力に屈し船長を釈放したのだから表面上は中国が勝者に見えます。しかし今回の

事件は、経済成長を後ろ盾とした「中国の台頭」に対する日本と国際社会の警戒心を呼び起こ

すものとなったこと、中国に対して友好的だった日本民主党政権を一気に米国へと接近させ

るものになったこと、日本の反中勢力一気に拡大させたこと、日本国民の中国に対する

信頼感
失わせ中国人を嫌いにさせたことなどの問題があるというのが、私の回答です。


その読者はもう一つ質問をしてきました。私たち中国のやり方には反省するべきところがあっ

たのでしょうか、と。私の答えはイエスです。外交では理を説くばかりではなく、実際的な効果も

考えなければなりません。その意味では2点反省すべき問題がありました。


第一に
レアアース
の対日輸出禁止という情報を広めたこと。第二に中国人船長を釈放した

あと、謝罪と賠償を求めたことです。領土主権を守るのは重要ですが、有効な手段を追求しな

ければなりません。歴史問題に起因した2005年の日中対立。中国各地では大規模な反日

モが起こり、日本領事館、日本の自動車、日本レストランを破壊する騒ぎも起きました。本来な

らば理があったはずの中国ですが、これでは国際世論の支持は得られません。ある講演会

の後、1人の日本人にこう言われました。「私は中国が好きでしたが、今はもう嫌いになりまし

た」と。問題があったとしても衝突を避け良好な関係を築くことが重要なのです。(翻訳・編集/KT)

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=46034

 
 
これまた2年前の記事にはなるが、この記事はアメリカ側から見た「中国漁船体当たり事件」

の論評である。一部ではあろうが中国国内でも「あの事件は拙(まず)かった」との論評がある

のであるから、世界では当然「中国の蛮行」が非難されて当たり前である。


このアメリカのシンクタンクの見立てでは、「中国の外交は以前の輝きを失い、中国が蛮行を行

う国家であることを示している」と言う物であり、当然勝者は「日本」である、と結論付けている。

 
 

尖閣問題>「勝者は日本」、中国の外交は以前のような賢明さを失った―米メディア
配信日時:2010年10月20日 17時56分

18日、米シンクタンク・ブルッキングス研究所のリチャード・ブッシュ北東アジア政策研究部長

は、中国の外交姿勢が以前のような賢明さを失っていると指摘した。写真は16日、四川省

成都市で行われた反日デモ
Imgout
画像ID: 264195   
http://www.recordchina.co.jp/gallery.php?gid=46290
ファイル名: 410959834-01.jpg      

2010年10月18日、米シンクタンク・ブルッキングス研究所のリチャード・ブッシュ北東アジア政

策研究部長は、中国の外交姿勢が以前のような賢明さを失っていると指摘した。米ラジオ局ボ

イス・オブ・アメリカ中国語版が伝えた。


昨今の尖閣問題について、ブッシュ部長は
勝者は日本だと語る。一見すると中国側が勝っ

たようにも見えるが、日本は米国と日米同盟の重要性を再確認し、「日本の立場を全面的に

支持する」との言葉を引き出した。日本は米国を味方につけたことで、国際社会で中国の

「蛮行」
を強調することもできたのである。これには中国問題専門家のケネス・リーバサル氏も

賛成を示した。


ブッシュ部長はまた、中国の外交姿勢について「(天安門事件のあった)1989年以降、中国は

どんな問題に対してもまずは『他国にどう思われるか』に重点を置いたため、他国との関係修

復を果たし、国際イメージの改善にも成功した」とした上で、最近はこの路線から大きく外れて

いると指摘した。


例えば、韓国の哨戒艦「天安号」事件では、調査グループが確実な証拠を出したにも関わらず

北朝鮮をかばい、改善が進んでいた米韓との関係を大きく損ねるという態度にも出た。「以前

のように慎重で周到なやり方は、少しも見られなくなった」と同部長。その理由については、

「中国の外交官が急に仕事をさぼるようになったわけでもあるまい。他の要素が絡んでいると

思われるが、はっきりとは分からない」と述べた。(翻訳・編集/NN)

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=46290

 
 

だから、反対に怖いのである。中国は本性を現し始めたのである。今後尖閣諸島問題では、

何を仕出かすかわかったものではない。


明らかに尖閣諸島は、「日本固有の領土」であることは明々白々であるにも拘らず、考えられ

るあらゆる手を使って攻めようとしている。ある意味、世界の見方なんぞはどうでもよい、と思っ

ているかもしれない。だから怖いのである。


それが今回の香港の活動家による尖閣上陸である。中国は尖閣諸島で問題を起こすことで、

反対に「日本が不法に尖閣諸島実効支配している」との宣伝に打って出ているのではな

いか。


これこそ力による外交である。中国のやり方に文句あるか、との居直りである。日本に理が

ある
わけであるから、負けてはならないのである。果たして民主党政権尖閣を守れるもの

か、心配である。


先に言及した琉球大学国際関係学部林泉忠准教授が、今回は「中国は、能ある鷹だか

爪を隠せ」と言った論評を自分のブログに載せていたことがわかった。だから中国は、今ま

での違った戦法尖閣を取りに来るものと思われる。


だから香港の反中の活動家でも、香港の実業家である中国の手先を動かして、尖閣へ送り

込んでてきたのである。


民主党よ、ゆめゆめ中国の騙されるでない。

(続く)