尖閣諸島問題その2(72)

【国際情勢分析】安保理由に中国通信企業を排除
配信元:SANKEI EXPRESS  2012/04/06 11:06更新

 □アジアの目
 オーストラリア政府が進める全国高速通信網(NBN)整備事業について、中国通信

機器大手の華為技術ファーウェイ)社に事業への参加を拒否したことが、波紋を広げて

いる。これまでもファーウェイをめぐっては、中国人民解放軍との関係が指摘され、サイバ

ー攻撃に関係しているのではなどとされてきた。今回、オーストラリア政府が国家利益の問

題として入札排除を明言したことで、今後、各国でのファーウェイの事業展開に影響が出

るのは避けられそうもない。

 ■情報機関と密接な関係

 オーストラリアの高速通信網計画は、ギラード首相率いる労働党が先の総選挙で最大

の公約
として掲げた。2020年までに93%の家庭や企業に高速通信用の光ファイバ

を敷き、残る7%にも衛星などを使った高速通信を提供する計画で、総投資額は360億豪

ドル(約3兆1400億円)に上る。

 ギラード首相は、ファーウェイを排除した理由について、外国勢力から国の社会基盤を

守るためだとして、通信回線という重要部分を中国企業委せることはできないとの姿

勢を明確にした。

 豪経済紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビューによると、昨年12月末にオーストラリ

ア司法省高官がファーウェイ・オーストラリアの幹部に電話し、入札に参加しないよう通告

した。その際、この高官は入札しても成功しないだろうと述べ、さらにオーストラリア政府は

中国によるサイバー攻撃を知っていると語ったという。ファーウェイの最高経営責任者

(CEO)の任正非氏は人民解放軍元幹部で、情報機関とも関係が深いとされる。

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 これに対し、中国外務省報道官は、ギラード政権は中国企業のオーストラリアでの活動

を妨害しようとしているとして、中国企業を差別することなく入札を認めるよう要求した。

 しかし、オーストラリア側はあくまで認めない姿勢だ。シドニー・モーニング・ヘラルド紙に

よると、豪政府は2008年の段階でファーウェイを調査。この年、オーストラリアの通信会

社Optusがファーウェイと3G回線の設置契約を結んだ際も、ファーウェイがオーストラリア

にとって安全保障上の危険になる可能性があるとみていた。このため、NBN整備計画

には、ファーウェイだけでなく、Optusも含まれなかった。

 ■米国への参入も苦戦

 ファーウェイは携帯電話も扱っており、アジアやアフリカ、さらにヨーロッパなどで人気を博

しているが、米国ではやはり政府が安全保障上の理由から、ファーウェイによる米企業

買収
などを認めず、進出は思うように進んでいない。その意味では米国の同盟国である

オーストラリアへの進出は、ファーウェイにとっては、重要な意味があった。

 このため、今回の入札禁止に対し、ファーウェイ側は、すでに英国やニュージーランド

シンガポールやマレーシアで高速通信網整備に携わった実績を強調。さらに、ファーウェイ

・オーストラリア役員のダウナー元外相や、国会議員らへのロビー活動を強化し、ギラード

首相を翻意させようと躍起だ。

 だが、オーストラリアでの動きを受け、すでにファーウェイと高速通信回線の契約を結ん

ニュージーランドでは、政府に対し、安全保障上の危険性があるという認識が足りなかっ

たのではと批判する声が野党議員を中心にあがりはじめた。

 ファーウェイに対しては、ミャンマー新政権も、通信ネットワーク構築をめぐる契約を解除

したといい、他の国でも通信インフラを中国に握られることへの懸念は強まっている。

 今回のことをきっかけにファーウェイとの契約を避ける企業が増えるかもしれない。その

とき、責めを負うのは中国政府とファーウェイ自身だ。

 (編集委員 宮野弘之/SANKEI EXPRESS)

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/worldecon/554975/

 
 
このような事情からアメリカは、華為技術や中興通訊などの通信機器メーカーがスパイ工

作に関わっていると言う明確な証拠を、取得している。そのため米企業との取引や両社か

らの備品や業務の調達の禁止を勧告している。これだけのことが明るみに出れば、取引

禁止は当たり前のことである。

 
 

米下院特別委 中国通信大手を名指し「対米スパイ工作に関与」
配信元:産経新聞  2012/10/09 22:57

 【ワシントン=古森義久】米下院情報特別委員会は8日、中国の大手通信機器企業の活

動が米国の国家安全保障への脅威になるとする調査報告書を発表、これら企業は中国

共産党人民解放軍と密接につながり、対米スパイ工作にまでかかわるなどと指摘した。

 問題視された中国企業は、米市場でも製品などが広く流通している「華為技術」と「中興

通訊(ZTE)
」。報告書ではまず、両社の中国の党、政府、軍との特別な関係を挙げ、そ

れぞれ社内に共産党委員会が存在し、企業全体が同党の意思で動くとしている。

 そのうえで報告書は、華為技術が軍のサイバー攻撃・スパイ部隊に特別のネットワーク

サービスを秘密裏に提供していることを示す書類を、複数の元社員から入手したとして

いる。

 報告書は、中国によるサイバー作戦の技術面で華為技術やZTEが枢要の役割を果たす

との見解を提示。これら企業の製品を米側の軍や政府、民間の電力、金融などのコンピュ

ーターシステムに組み込むと、中国側の操作により、同システムに破壊や混乱を起こすこ

とが可能になるとしている。この種の情報の詳細は報告書の非公開部分に記されていると

いう。

 報告書はまた、華為技術の創業者の任正非総裁が人民解放軍の出身で軍との間に特

殊な絆があり、孫亜芳会長が公安部門とつながっている疑いが強いとした。

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記事本文の続き その結果、両社の米国に対する活動は商業的とされても米国の国家

安全保障
への脅威になるとして、米企業の両社との取引自粛や、とくに政府や軍関連機

関への調達禁止を勧告した。

 下院情報特別委は、両社に知的所有権侵害や汚職、入国管理法違反など法律違反の

行為が多いとして、米捜査当局にも刑事事件捜査の開始を要請したという。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/597580/
(続く)