尖閣諸島問題その2(81)

しかし尖閣諸島海戦が起こっても日本は中国に負けることは無い、との見立てもある。

本当か?

 
 
「日本は中国との海戦に勝利する」と米国外交誌が特集で分析
2012.09.03 16:00  ※週刊ポスト2012年9月14日号

〈近年の日本は軍事小国と見られているが、中国は日本と戦っても勝利が保証されるわけ

ではない。(中略)日本軍の司令官が、人的資源、装備、地政学的優位さえ活用すれば、

日本は中国との海戦に勝利するだろう〉(原文は英語、編集部訳。以下同)

 そんな衝撃的な内容の論文が米国の外交誌『フォーリン・ポリシー』(以下、FP誌)の巻

頭特集として発表された。著者はアメリカ海軍大学准教授ジェームズ・R・ホルムズ氏

である。


 産経新聞ワシントン駐在編集特別委員・論説委員古森義久氏が解説する。

「FP誌はアメリカで極めて権威があり、かつ知名度の高い外交誌です。著者はかつて戦艦

ヴィスコンシンに乗っていた元海軍将校で、実務と学究の両方に通じた第一線の研究者。

彼が所属するアメリカ海軍大学は中国の海洋戦略の研究に関してはアメリカでも随一と評

価されており、この論文の内容は非常に信頼度が高いといえます」


 ホルムズ氏は、今回の論文の主旨をこう説明する。

「米国が日本側について参戦することを想定していないなど、この論文はあくまで思考上の

実験といえますが、私がこの論文で強調したかったことは、中国海軍にとって日本の海上

自衛隊
は決してたやすい相手ではないということです」


 同レポートは、〈2010年に中国人漁師が、尖閣諸島付近で日本の海上保安庁の船舶に

漁船を体当たりさせて逮捕される事件が発生したが、その当時は日中両国の軍事衝突

は考えられなかった。しかし現在は、それが現実味をおびている〉という。


 その理由として、人民解放軍タカ派幹部尖閣諸島に100隻の中国船舶を派遣する

よう提案したことなどを挙げている。軍事評論家の潮匡人氏も、尖閣上陸事件を境にし

て、「尖閣沖海戦」の可能性が生じたと指摘する。

武力衝突で敗北した場合の政治責任を考えれば、中国の指導者は容易に戦争を決断で

きない。しかし、熱狂した中国の国民が200隻、300隻と“大漁船団”で尖閣諸島を目指

せば、日本側も自衛隊護衛艦を出さざるを得ない。仮に海上で小競り合いが起きて中

国側の人間に血が流れるようなことになり、これを放置すれば共産党政権はもたない。

当然、戦争という一線超えることを考えるはずです」


 中国国民はかなり前のめりになっている。中国の政府系国際情報紙『環球時報』による

世論調査では、実に国民の90.8%尖閣諸島問題への「軍事的手段の採用」に賛成し

ているとの結果が出た。


 折しも、8月27日には丹羽宇一郎・駐中国大使の車が襲われる事件も起きた。すでに

日中関係は戦争の“一歩手前”ともいえる緊迫した状況だということが、このレポートの前

提なのである。

http://www.news-postseven.com/archives/20120903_140787.html

 
 
しかも中国の軍事評論家さえも、同じ意見を述べている。米中の軍事の専門家が揃って

「日本の海上自衛隊が優勢」との見立てであれば、信用してもよいのであろうか。

 
 
香港メディアも「武力衝突なら中国は日本に負ける」と認める
2012.09.21 16:00  ※週刊ポスト2012年10月5日号

尖閣諸島目指して次々と出航する中国漁船。中国メディアはその数、「1000隻」と報じた。

中国当局は漁船の護衛のため漁業監視船派遣も示唆しており、日本側も海上保安庁

巡視船を現場海域に待機。尖閣を巡る緊張はかつてないほど高まっている。


 中国メディアの多くは「日本政府の尖閣国有化」を非難することで世論を煽情。万が一の

軍事衝突も辞さないとの論調だ。そんななか、香港大手メディアの蘋果日報(アップルデイ

リー)が12日付の同紙で興味深い見出しを掲げた。


砲艦外交を進める中国、武力衝突では中国に勝算なし

 その記事の核となるのが中国の軍事評論家である黄東氏のコメントである。

〈もし開戦となれば、中日両国の海軍力、空軍力の比較から、中国海軍は全く日本の相手

ではなく、空戦の場合は海戦ほど悲観的ではないものの、中国側に勝算はほとんどない


 同紙は、漁民を送りこみ尖閣実効支配を目論む当局の戦略は、「軍事行動の決行」で

はなく「対日強硬姿勢の表明」に過ぎないと分析する。再び黄東氏。

〈北京(政府)は(島に対し)ずっと有効な管理を実施できておらず、形勢上明らかに不利な

立場にある〉


 本誌(9月14日号)も、「日本の海上自衛隊にはイージス艦などの高度な電子機器を搭載

した世界最高水準のハイテク艦が揃い」「海自隊員の熟練度中国軍より高い」と報じ

たが、中国メディア自身が「勝算なし」を認める格好―中国当局にも“冷静な判断”を望む。

http://www.news-postseven.com/archives/20120921_144679.html

 
 
確かに日中関係は緊迫している。しかし日本の固有の領土を中国は盗みにきている。

侵略である。日本はそれこそ1ミリたりとも譲ることは出来ないし、譲る気も無い。こと領土

問題に対しては、日本は妥協の余地はないのである。中国が強気に出て尖閣諸島の侵略

を企てたからには、棚上げ論なんぞは過去のもので、日本は何があってはも歯を食いし

ばって、中国の侵略を排除しなければならない。南沙諸島の様にはゆかないぞ。


日中が武力衝突をしても、日本は負けない、中国は勝たないだろうなどと言う勇ましいこと

を言う論評もあるが、そんなことを信用してはならない。中国は核を持ち、人民を死なせ

ることなど
少しも恐れてはいない国であることを、思い出す必要がある。中国は強いので

ある。


次の福島香織の論考は誠に興味深い。是非読まれることをお勧めする。このくらいの

こと、と言っては失礼に当たるが、は判っていることとは思うが、是非野田佳彦にも読ませ

たいものである。

(続く)