尖閣諸島問題その3(45)

中国は真剣に「軍事闘争の準備」を整えているのです。 先に説明した遅浩田の「米国打

倒、日本殲滅
演説を読めば、そのことは明らかである。


その取っ掛かりが、沖縄県尖閣諸島への侵攻なのです。尖閣諸島は明らかに日本固有

の領土にも拘らず、難癖をつけて中国のモノだと、日本に攻め入ってきているのです。日本

は毅然と、客観的な証拠を世界に示して、中国のプロパガンダと恫喝に対抗する必要があ

ります。


尖閣諸島
は明らかに日本のものなのです。2012.12.17の尖閣諸島問題その2(96)でも

紹介したように、清の地理書「大清一統志」では台湾には尖閣諸島が含まれていないの

です。次にその詳細を述べている論考を示そう。

 

infinity>国内>REPORT [WEDGE REPORT]
尖閣は中国のもの?覆す証拠ここにあり
今こそ日本に国家戦略を(拓大・下條教授)
2010年12月01日(水)下條正男

 中国が尖閣諸島の領有権を主張する根拠は、「昔から台湾の一部だった」ということで

ある。だが、その主張を根底から覆す証拠が、拓殖大学下條正男教授の調べで見つか

った。その証拠とは、中国の地理書『大清一統志』に出てくる「北至鶏籠城」という記述。

これは、台湾府の北限は「鶏籠城」までであり、尖閣諸島が台湾の領土に含まれていなか

った
ことを意味する。だが、この事実を日本の多くのメディアは報じておらず、政府からも「と

くにアプローチはない」と言う。下條教授は、こうした客観的な歴史の事実を突きつけるこ

とが、中国の尖閣諸島を巡る動きを封じる手段となり、韓国の竹島問題、ロシアの北方領

土問題にも釘を刺すチャンスと訴える。

──「尖閣諸島が台湾の一部ではなかった」ことを示す証拠を見つけられたそうですが、それについて詳しく教えてください。

Img_d39ce89997d977937d14d854c9781a9


【写真1】 『大清一統志』(光緒辛丑秋上海寶善斎石印本)巻三百三十五、「台湾府図」から。乾隆九年・1744年刊の『大清一統志』では巻二百六十に所収。
部分拡大画像を表示
 
http://wedge.ismedia.jp/mwimgs/8/a/-/img_8a39dbab6c5b5e5c94f642e7e0fa0851392760.jpg

下條正男教授(以下、下條教授):国立公文書館等には清の乾隆帝(1711~1799年)の

勅命によって編纂された『大清一統志』という地理書が所蔵されています。これは、清朝

時代に編纂され、1744年に全356巻として完成したものです。いわば、中国の中央政府

国家事業として編纂した勅撰本ですが、その巻260で、台湾(府)の北東の境を、「
北至鶏

籠城
」(北、鶏籠城に至る)と記述しているのを見つけました。鶏籠城は、台湾本島の北東

部に位置しており、現在の地名では「基隆」付近です。基隆と尖閣諸島は約200kmも離れ

ており、その間には棉花島や花瓶島といった島々も存在しますが、『大清一統志』では、そ

れらの島々さえ台湾の領土の範囲に含めていないのです。つまり、1895年に日本政府が

尖閣諸島を領土に編入したとき、そこが「無主の地」であったという
日本側の主張は正し

、ということになります。中国は、尖閣諸島を「昔から台湾の一部だった」という理由で領

有権を主張していますから、その主張を根底から覆すことができるわけです。

 現に『大清一統志』に収録されている「台湾府図」(写真1)でも、「鶏籠城界(境)」と記述さ

れていますし、同時代に地方政府が編纂した『台湾府誌』にも同様の図(写真2)と記録があ

ります。

 こうした事実は、11月4日付の産経新聞(2面)で取り上げられましたが、その後、他のメデ

ィアが報じることはありませんし、自民党の一部の国会議員の方が強い関心を示している

ものの、政府からは何のアプローチもありません。



──メディアや政府からアプローチがないのは、なぜだと思われますか?


下條教授:そもそも、日本のメディアや政治家の多くは、国家主権や領土問題に対する関

心が低いのです。尖閣の漁船衝突ビデオなどが大々的に報じられると、一見関心が高いよ

うにも見えますが、根本的な問題には目が向けられていません。今回も、いつのまにか公

務員の情報漏えい問題や中国警戒論に局限されました。私がこれまで研究してきた韓国と

竹島問題も、本来は領土問題であるはずなのに、これを漁業問題(地域の問題)に矮小

化しようとする一部勢力の動きも感じます。

Img_2222cb8d416ae3cfd74237f192340e8

【写真2】 范咸撰『重修台湾府志』(乾隆12年序)巻首「台湾府総図」

部分拡大画像を表示( 
http://wedge.ismedia.jp/mwimgs/a/1/-/img_a179e5356b2d4155ec1070dbd4813d06690734.jpg )

 また、日本にはそういった領土問題、つまり国家主権に関することを考え、
提言する機関

がない
のも事実です。韓国では島根県が「竹島の日」条例を制定すると、
(2005.4に)「東北ア

ジア歴史財団」という組織を教育科学技術部の管轄下に設置し、年間約10億円もの予算

を与えています。政府主導のもとに歴史認識問題に関する韓国の外交戦略を練っているの

ですが、中国でも、社会科学院が同じような役割を果たしています。しかし、日本では、たと

えば竹島問題であれば、外務省の北東アジア課が担当し、日本海呼称問題については海

保安庁が専管するなど、国家としての基本戦略がないままに、縦割り行政の中で迷走し

ているのが現状です。

 その結果、韓国に竹島の不法占拠を許し続け、2006年には竹島周辺の海底地名問題

を機に、韓国は排他的経済水域の基点鬱陵島から竹島に移しました。そして、今度は中国

が、「韓国の手法を見習えば尖閣諸島を奪える」と言い始めている始末です。

(続く)