尖閣諸島問題その3(56)

この「海軍発展戦略」に言及する前に、この元中国国防大臣の遅浩田の「米国打倒・日本

殲滅
」論について、年代順に簡単におさらいしてみよう。

 

(1)、第一列島線第二列島線(1982年,1993年)

1982年に中国国家主席鄧小平は、自国防衛の考え方とそれに伴う中国人民解放軍

近代化計画をまとめさせた。Wikipediaによれば、これをまとめたのは中国人民解放軍

司令官劉華清だと言う。1991.12.25にソ連が崩壊している。このため中国は、ソ連

対する備えから開放されることになる。当然中国は台湾開放へと目を向けたのである。人

民解放軍の仮想敵国が、ソ連から(台湾を支援する)米国に変わったのである。そして

1993年李鵬首相(1988~1998年)は「海洋権益重視」を打ち出した。そして中国海軍の

近代化に取り掛かる。それが「海軍発展戦略」である。その中でこの第一、第二列島線

概念(2010.6.28の年央雑感NO.6参照)が、防御ラインから攻撃ラインへと変貌していく。

それが、「戦略的国境概念」である。

 

(2)、戦略的国境概念の導入(1985年頃)

地理的国境は、国家の意志や総合力で変える事が出来る。それが「戦略的国境」概念で

ある。そしてそれを維持すれば、それが新しい「地理的国境」となる。この戦略的国境を維

持する手段が軍事力である。簡単に言ってしまえば、軍事力を駆使して自国の国境は任意

に拡大できる、と言うことである。中国は国策として、侵略で国境を拡大させる、と宣言して

いるのである。だから南シナ海尖閣諸島を侵略しているのである。(2009.9.10の尖閣

島問題NO.125参照

 

(3)、海軍発展戦略を発表(1986年)

中国はこの戦略で、正式に「航空母艦」の保有を公表した。この頃人民解放軍近代化

第一段階が完了して、百万人の兵員の削減を実行している。大陸間弾道弾も完成させて

おり、原子力潜水艦の外洋航海、潜水艦発射ミサイルの発射実験も成功している。そして

中国は着々と覇権を成就させようとしている。(2009.9.10の尖閣諸島問題NO.125参照

 

(4)、領海法の制定(1992年)

中国はこの覇権を成就させるために、国内法の制定に乗り出す。「領海法」の制定である。

その中では、中国は台湾や南シナ海東シナ海の各諸島(西、南沙諸島尖閣諸島

ど)の領有権を一方的に宣言したのである。そしてその地域の防衛する権利は、中国人民

解放軍が持つと主張したのである。(2008.6.10の中国覇権主義NO.6参照

 

(5)、李鵬の「日本消滅」発言(1995年)

なぜ李鵬がそんな発言をするのか不思議に思っていた。単に、中華帝国の思想からそう

言っているのかとも思っていたが、もっと深い意味がありそうな感じがする。中国共産党

奉仕させるために日本を思うように使う(
日本開放第二期工作要綱 戦争が正に我々に

向ってやって来る
参照)ために、日本を中国に併合する意図があるのではないか、と思っ

ていたが、しかしながらそれ以上の意味がありそうだ。


李鵬の「日本消滅」発言は、日本併合と言う以上に遅浩田の言うように「米国打倒・日本

殲滅
」という発想なのである。それが「日本消滅」だったのである。なぜ李鵬がこんなことを

言えるのか。中国共産党は本気で「米国打倒・日本殲滅」に取組んでいる証拠なのであろう。

しかし李鵬は、その様にいえるだけの吃驚するほどの組織に属しているのだと言う。


よく陰の世界政府だとか、フリーメーソンだとかイルミナティだとか言われている事を聞く

が、李鵬は中国におけるその組織の一員ではないか、というものである。李鵬は、それほ

どの大物なのである。その李鵬が”日本潰し”を計画していると言うのだ。


下記のURLを参照願いたい。ここでは李鵬発言は1994年としている。

「●「日本を消滅」を予言した李鵬の正体
   2005年9月27日(火)」

http://www.h2.dion.ne.jp/~apo.2012/tsubuyaki050927.html


また李鵬発言の内容については、

先に紹介した「★総本宮★ HEX大社 2011-02-09 19:48:01 http://ameblo.jp/hex
-6/archive1-201102.html
 を参照のこと。当ブログについては下記を参照のこと。

2009.2.27バラク・フセインオバマ大統領NO.27、2009.3.16尖閣諸島問題NO.1などを

参照

 

(6)、中国海軍高官の太平洋2分割統治論(2007/5)

この件に関しては、先ず次の記事をご一読願う。

 


 

 

中国海軍、米軍に「太平洋分割管理」提案 露骨な野心
(2008年)3月12日23時10分配信 産経新聞

 【ワシントン=山本秀也】米太平洋軍(司令部ホノルル)のキーティング司令官(海軍大

将)は11日、昨年5月に中国を訪問した際、会談した中国海軍幹部から、ハワイを基点とし

て米中が太平洋の東西を「分割管理」する構想を提案されたことを明らかにした。上院軍

事委員会の公聴会で証言した。同司令官はこの「戦略構想」について、「中国は影響が及

ぶ範囲の拡大を欲している
」として警戒感を示した。

 キーティング司令官によると、この海軍幹部は、「われわれ(中国)が航空母艦を保有した

場合」として、ハワイ以東を米国が、ハワイ以西を中国が管理することで、「合意を図れな

いか」と打診したという。

 同司令官は「冗談だとしても、人民解放軍の戦略構想を示すものだ」との解釈を示し、中

国の軍事、対外政策について「きわめて注意深く監視している」と語った。また、これまでの

米中軍事交流が米側の期待を裏切るものだったことを報告。不透明な国防費の実態に対

する不満も述べ、「とてもクラブで一杯飲もうという関係ではない」と語った。

 中国軍幹部による太平洋の東西分割提案は、昨年8月米紙ワシントン・タイムズが米

軍関係者の話として報じていた。米側は提案を拒絶したとしているが、同紙は情報機関を

含む米政府内の親中派内でこの提案に前向きな姿勢を示す向きもあったとしている。

 中国海軍は、原潜を含む潜水艦の活動をここ数年、日本や台湾、米領グアムの近海など

西太平洋海域で活発化させていた。「ハワイ以西」との線引きは、中国が従来の国防圏とし

ていた沖縄以西を大きく踏み出す野心的な構想といえる。

 キーティング司令官は提案者を明らかにしていないが、司令官就任後初の訪中だった

年5月
には、中国海軍では呉勝利司令官と会談している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080312-00000989-san-int  
(続く)