馬鹿な韓国、頓馬な朴槿恵(25)

韓国防衛支える自衛隊

 沖縄・尖閣諸島の領有権をめぐる日中対立が激化し、今でこそ、日米同盟在日米軍

存在する意義は、中国に対する抑止力を維持することのように思われがちだが、戦後一貫

して、その主目的は朝鮮半島有事への備えである。自衛隊在日米軍の体制は、安保条

約に基づく日米同盟という枠組みの中で、米国の同盟国である韓国を防衛するために、強

力な半島有事シフトを維持している。

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 具体的には、航空自衛隊は福岡県の築城と芦屋、山口県防府北の3カ所に、1500

~2000メートル級の滑走路を保有しており、海上自衛隊の大村(長崎)、陸上自衛隊の目

達原(佐賀)、高遊原(熊本)、在日米空軍が使う板付基地(福岡空港)とあわせれば、北部

九州という極めて限定されたエリアに7カ所もの航空基地が点在している。これは万一、第

2次朝鮮戦争が発生すれば、米軍の戦闘機や輸送機が発進する拠点として活用されるの

はもとより、日本人や米国人だけでなく、韓国から避難してくる多くの民間人の受け入れ基

地としても活用されるはずだ。

 さらに、北部九州地区には、福岡病院、大分・別府病院、長崎・佐世保病院、熊本病院と

いう4つの自衛隊病院が集中している。これも韓国防衛のために傷ついた米軍や多国籍

軍の兵士らの治療を前提に整備、維持されてきたのは紛れもない事実だ。このほか、朝鮮

半島と向き合う長崎県佐世保基地は、米海軍第7艦隊の戦略拠点であり、広大な佐世

保湾の大半は、半島有事に緊急展開する米軍が占有したままだ。

 そもそも戦後、北朝鮮の侵攻で始まった朝鮮戦争を機に、自衛隊警察予備隊として発

足し、日本各地の空港や港湾は、韓国防衛のために出撃する米軍などの拠点となった。

それだけではなく、開戦当初、北朝鮮の攻勢を食い止めるため、米軍などによる仁川・元山

への上陸作戦を前に、連合国軍総司令部GHQ)の命令によって、日本は特別掃海部隊

を編成、朝鮮半島の周辺で北朝鮮が敷設した高性能ソ連製機雷の除去作業に従事した。

不幸にも活動中、1隻が触雷して沈没、乗組員1人が死亡、18人が負傷している。朝鮮戦争

では日本人も戦死しているのだ。

 にもかかわらず、休戦後も、日米同盟に基づいて、自衛隊韓国の平和と安全を支え続

けてきたという認識
が、韓国はあまりに希薄過ぎるのではないだろうか。それが証拠に、

『12年版国防白書』の中で韓国は、「朝鮮戦争で韓国を支援した国々」を特集しているが、

日本は5万ドル相当の資材を提供した国として、わずか1行だけ取り上げられているに過ぎ

ない。

 今年7月27日は、朝鮮戦争の休戦協定締結から60年という節目にあたる。もちろん、朝

鮮半島の混乱は日本の平和と安全に直結する事態であり、自衛隊在日米軍の半島有

事シフト
は日本のためでもある。しかし、韓国防衛に対する日本の献身的な貢献がきちん

と伝わっていないのだとすれば、それをしっかりと認識させることは、日本政府にとって対

韓外交の柱であっていい。


戦力増強する韓国軍と新たな基地建設


 自衛隊と韓国軍の間で狂い始めた歯車を、早急に元に戻さなければならない理由はほ

かにもある。それは近年の韓国軍の増強ぶりと新たな基地建設の動きに対し、自衛隊

不信感
を募らせているからだ。

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韓国の保有するイージス艦世宗大王(セジョンデワン)」=写真先頭 (提供:ロイター/アフロ)

 かつて韓国は、『08年版国防白書』まで、外部の軍事的脅威である北朝鮮を「主敵」と位

置づけていた。だが、10年版白書から主敵の表現が姿を消し、「北朝鮮政権と北朝鮮軍は

韓国の敵
」という表現に弱められている。呼応するように、100万を超す陸上兵力を持つ北

朝鮮軍と、38度線を挟んで対峙しているにもかかわらず、韓国では現在、陸軍と海兵隊

わせて約55万人の陸上戦力を、22年には40万人程度にまで大幅削減する方向で検討し

ており、それに代わって増強しているのが海軍力だ。

 08年以降、韓国海軍はイージス艦2隻を相次いで就役(現在、3隻目が試験運用中)させ

たほか、外洋航行に適した攻撃型潜水艦9隻を整備。駆逐艦6隻を含めた初の機動部隊を

創設している。編成の目的は「国家の対外政策の支援、海上交通路の防衛、北朝鮮に対

する抑止」を掲げているが、海上自衛隊幹部は「韓国は日本に負けたくないという思いが

強い。
あれだけの数のイージス艦と潜水艦をどこで使うのか。韓国がリムパック(環太平洋

合同演習)以外で、太平洋で訓練したことなど見たこともない」といぶかる。対潜水艦作戦

を念頭に置いたP3Cなどの哨戒機も16機保有しているが、搭載する対艦ミサイル「ハープ

ーン」
で攻撃するような水上艦は、北朝鮮軍には見当たらない。

 不可解なのはそれだけではない。1つは佐世保の西方約200キロに位置する済州島に大

規模な海軍基地
を建設していることだ。数年以内には、P3Cの航空基地も併設され、大型

揚陸艦も含め、韓国海軍は機動部隊を配備する計画を打ち出す。防衛省幹部は「済州島

は日本海と東シナ海をにらんだ前線拠点であり、将来、中国海軍が寄港するようになると

やっかいだ
」と打ち明ける。

 また、これまで韓国は、米国との取り決めで弾道ミサイルの射程を300キロに制限してき

たが、昨年10月、これを800キロに延長した。韓国南端から北朝鮮北端までの距離と説明

するが、大阪など西日本は完全に射程圏内に入る。弾道ミサイルの射程延長に併せ、韓

国は陸上発射型の巡航ミサイル(射程1500キロ)を配備し、駆逐艦や潜水艦には射程

400キロの巡航ミサイル
を搭載していることを公表した。北朝鮮を攻撃するためとしてい

るが、「仮想敵は日本だ」とみる自衛官は少なくない。

 日米同盟と米韓同盟。日韓は互いに米国を介して朝鮮半島の安定に力を注いできた。

在日米軍やその基地施設をめぐって国内が二分することがあっても、日本は戦後、多くの

資材と資金を投入し、半島有事シフトを維持してきた。しかし、韓国には日本の努力への

理解が乏しく、日本も自らが果たしてきた役割の重要性を認識していない。

 その間隙を突くように今、北朝鮮は核とミサイル開発を推し進め中国は韓国を取り込

みながら海洋進出を活発化
させ、米国を基軸とする同盟に揺さぶりをかけている。何のた

めに、日本と韓国は米国と同盟を組み、互いの同盟を基盤にしながら連携と信頼を築き上

げてきたのか。その原点を見失ったとき、この地域の平和と安定は崩壊するだろう。

[特集] 今後の日韓関係を考える

http://wedge.ismedia.jp/ud/special/50ca9f531e2ffa72b8000001

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2908?page=1
(続く)