馬鹿な韓国、頓馬な朴槿恵(122)

いわゆる従軍慰安婦について
歴史の真実から再考するサイト

櫻井よしこ

日本を貶め続ける「河野談話」という悪霊

強制連行を認めた河野氏

九三年八月四日宮澤喜一内閣総辞職の前日に、河野洋平官房長官が発表した談話が

悪霊のように日本にとり憑いている。

中国や韓国、さらに欧米諸国で"高く"評価されるに至った河野談話は「
慰安婦の募集につ

いては、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧によ

る等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに

加担したこともあったことが明らかになった
」と明 記して、「官憲」が「強圧」によって慰安婦

を生み出したと、公に認める内容だった。


また、「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営された」「慰安所の設置、管理及び慰安

婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは問接にこれに関与した」「軍の関与の下

に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」として、軍によ る強制の意思が働いていたこ

とを強く示唆する内容だった。

また、河野氏は、直後の記者会見で次のように、より明確に強制連行を認めてい る。

(官邸記者)今回の調査結果は、強制連行の事実があったという認識でよろしいわ けでしょ

うか。

「そういう事実があったと。結構です」

氏は明快に答えたが、これだけはっきり言うからには根拠があるはずだ。その点を別の官

邸詰めの記者が質問した。

強制連行については公文書は見つからずそれで聞きとり調査をしたと理解してい ますが、

客観的資料は見つかったのですか

この問いに河野氏は次のように答えた。

「強制には、物理的な強制もあるし、精神的な強制もあるんです。精神的な強制は官憲側

の記憶に残るというものではない。しかし関係者、被害者の証言、それから加害者側の話

を聞いております。
いずれにしても、ご本人の意思に反した事例が数多くあるのは、はっき

りしておりますから」

要は、質問に出てきた客観的資料はなかったのだ。しかし、「証拠はないという事実」に反

して、河野氏は「強制」があったと断じ、それが一人歩きし始めた。

政府は、当時十六人の元韓国人慰安婦の証言を聴いており、彼女らの証言が「強 制」の

決め手になったとされた。だが、その証言内容も、証言者の姓名も、今日に圭るまで、

切明らかにされていない



公表できない調査内容


私が実際にこの問題について当事者らの取材を始めたのはそれから四年近くがす ぎてか

らだった。九七年四月から慰安婦問題が中学の歴史教科書に掲載されるこ とになり、事実

はどうなのかという疑問が再ぴ私の中で頭をもたげてきたのだ。

宮澤内閣の力を結集して集めた歴史資料は膨大な量にのぼり、その中には、日本軍によ

る強制を示す資料はただの一片もなかったとされている。にもかかわらず、なぜ、政府は強

制を認めたのか、私は考え得る当事者たち全員に取材を申し込んだ。

そして取材を一旦受けながら、直前に断ってきた宮澤首相を除き、河野氏河野氏の前に

官房長官を務めた加藤紘一氏、官房副長官の石原信雄氏、外務審議室長の谷野作太

郎氏、武藤嘉文外相、駐日韓国大使の孔魯明氏、駐韓日本大使の後藤利雄氏らの話を聞

いた。

その結果確認出来たのは、河野談話には根拠となる事実は、全く、存在せず、日韓間の

交渉の中で醸成されていったある種の期待感と河野氏自身の歴史観が色濃く反映されて

いたことだった。氏の歴史観、戦争に関する極めて、否定的な想いは、宮澤氏のそれと多く

の共通項を有してもいた。

河野談話に至る過程で重要な役割を果たしたのが、前述のように、十六名の女性たちの

"証言"
だった。十六人は韓国政府によって選ばれ、日本側から外政審議室の田中耕太郎

審議官ら四名が韓国に派遣され、一人平均二時間半をかけて聞き取りをした。報告書を読

んだ谷野外政審議室長は次のように語った。

「凄まじい内容でした。宮澤さんにお見せしたら目を背けました。読みたくないと仰った。余

程公表しようと思いましたが、出してもいうことをきかない人はきかない。余りにもオドロオド

ロしい
ので出しませんでした」

一方、石原氏は、「最後まで迷いました。第三者でなく本人の話ですから不利な事は言わ

ない、自分に有利なように言う可能性もあるわけです。それを(旧日本 軍及び政府による

強制連行有無の)判断材料として採用するしかないというのは…」と□ごもった。

氏が口ごもったのは、女性たちへの聞き取りが尋常なものではなかったからであ る。

第一に、日本側から女性たちへの反問も検証も許されなかった。加えて、韓国政府の強い

要望で実現した聞き取り調査は、日本政府が、女性たちは生活やお金のために慰安婦にな

ったのではなく、強制連行されたのだと認め、謝罪するこ とにつながるべきだと、韓国政

府が要求
していたことである。

事実、聞き取り調査の始まる前の七月十四日孔大使は日本記者クラブで会見し、元慰安

婦の名誉回復のため、強制連行だったと日本政府が認めることが第一条件だと述べて

いる。女性たちの証言は日本政府が聞き取りをすると決めた瞬間か ら旧日本軍による強

制連行の"証拠"となるべき運命だったと言える。


韓国人でも証言に疑問

ただ、石原氏も谷野氏も、温度差はあれ、証言内容に疑問を抱いてはいた。「彼 女たちの

体験を売春だったと開き直れる世界ではありません」と述べた谷野氏で さえ、女性たちの

証言を「そのまま信ずるかと言われれば疑問はあります」と答えたのだ。

女性たちの証言を信じ難いとする評価は日本人だけのものではない。韓国におい ても同

様の見方がある。九三年、二月に出版された『強制で連れて行かれた朝鮮人慰安婦

ち証言集1』(韓国挺身隊問題対策協議会・挺身隊研究会編)は、四 十余人を対象に調査

を実施した。調査に参加した安秉直・ソウル大学教授はこう書いている。

「調査を検討するにあたってとても難しかった点は、証言者の陳述が理論的に前と後ろが

合わない場合がめずらしくなかったことだ」「調査者たちをたいへん困難にさせたのは、

証言者が意図的に事実を、歪曲していると感じられるケースだ。我々はこのような場合に

備えて、調査者一人一人が証言者に人間的に密接にな ることによってそのような困難を克

服しようと努力し、大部分の場合に意図した通りの成果を上げはしたが、ある場合には調査

を中断せざるを得ないケースもあ った」(西岡力氏『闇に挑む!』徳間書店

韓国の人々の目にも疑問が残った女性たちの証言を前にして石原氏が懸念したこ とのひ

とつは、日本が強制を認めた場合、それが後々、新たな補償問題につながっていく可能性

だった。

だが、韓国政府は日本政府より一枚上手だった。彼らは日本側の懸念を見通し、日本政府

が強制を認め易くするために、日本には金銭的補償は求めない、補償の必要があれば、

韓国政府の責任において行うと明言
したのだ。こうして、懸念が取り除かれた日本政府は

強制連行を認めるべく、背中を押されていった

(続く)