ワールドカップサッカー・ブラジル2014(2)

W杯コラム】「ザック・ジャパンの4年間はとても平穏だった」杉山茂樹

gooニュース20140606日(金)19:45

【W杯コラム】「ザック・ジャパンの4年間はとても平穏だった」杉山茂樹氏

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 4年前の今頃、日本代表(46)は大変な状況にあった。

 ワールドカップイヤーに入り、ベネズエラに引き分け。東アジア杯では中国に引き分け、韓国(57)には0−3で完敗した。そしてセルビア(30)の3軍チームにも0−3。壮行試合でも韓国に0−2で敗れた。さらに、南アに向かう途中に立ち寄った欧州でも、イングランド(10)コートジボワール(23)に連敗。

 岡田監督の辞める、辞めない騒動も起きた。南アワールドカップ本大会前、岡田ジャパンに期待する声は、総じて低かった。

 あるメディアが行ったネットのアンケートによれば、岡田監督を「支持する」、「支持しない」の関係は、1783まで広がっていた。

 ザッケローニの評判は、当時の岡田さんのようなことはない。5050ぐらいではないかと思う。その差はどこから来るのか。監督としてのクオリティの差だろうか。

 実は、岡田さんもワールドカップイヤーに入る前は、それなりに高い支持率を示していた。ザッケローニ同様、5050の関係にあった。急落した原因は、冒頭で述べたラスト半年の成績になる。

 一方、ザック・ジャパンのラスト半年の成績は、この原稿を書いている時点で33勝。すなわち、明日行われるザンビア戦が4試合目になる。9試合行った岡田ジャパンの半分にも達しない。2006年ドイツ大会前、2002日韓共催ワールドカップ前、1998年フランスワールドカップ前と比較しても同様。その数はおよそ半分に過ぎない。

 しかも今回の相手は、ニュージーランド(97)キプロス(142)コスタリカ(28)、そしてザンビア(76)だ。相手にとって不足ありと言いたくなる弱者ばかり。よくぞまぁ、ここまで弱い相手を探したものだと逆に感心したくなる。

 試合数わずか4。相手はすべて格下。これでは問題は顕著にならない。もっと問題なのは、その点を指摘するメディアがほぼ皆無だと言うことだ。ニュージーランド戦は「国立最後の日本代表戦」として盛り上げようとし、キプロス戦はキプロスを「仮想ギリシャ」と煽った。

 

キプロスは人口80万の島。それを仮想ギリシャ(12)とするには無理がある。ギリシャが台湾を仮想ニッポンとするようなもの。ギリシャに対して失礼だ。コロンビア8位)

 かと思うと、コスタリカを妙にリスペクトする。28位という日本より上に位置するFIFAランクをしきりに強調し、仮想コロンビアと謳う。ブックメーカーが出場32チーム中、30番台のチームとして扱っている、いわば泡沫候補である現実は伏せようとする。

 そして最終戦はザンビアだ。ラスト2試合を、イングランドコートジボワールと戦った前回と比較すれば、物足りなく感じる。

 ザッケローニの狙いはいったいどこにあるのか。そもそも、弱い相手と4試合しか戦わないというこの強化メニューに、彼自身は納得しているのか。彼が不満を漏らしたという話は聞かれない。むしろ漏れ聞こえてくるのは、これはザッケローニの希望ではないかという声だ。

 負けそうもない相手と4試合しか戦わない強化方法。これで監督の首が飛ぶことはない。メディアがそれを指摘しなければ、ファンが騒ぎ出すこともない。推定2億円と言われる年俸に見合う働きには見えなくても、だ。監督の座は安泰になる。

 ザック・ジャパンの4年間はとても平穏だった。ザッケローニに、危機らしい危機は一度も訪れなかった。しかし、だからといってザッケローニが偉大な監督に映るわけではない。何より地味だ。トルシエジーコオシム。そして岡田さんにも劣る。印象に残る言葉、語録も発していない。カリスマ性に欠けること著しい。

 イタリアというサッカー強国から、彼はいったい何を伝えるためにわざわざ日本までやってきたのか。動機不足のように見える。中盤フラット型3−4−3の採用も、説明不十分のまま、簡単に断念した。

「選手の力を信じてここまでやってきた」と、彼は言うが、実際その姿勢は、かなり選手任せだ。ゲームの戦い方に拘りがあるようには見られない。

 

 もしブラジルワールドカップ本大会で、結果が残せなくても、いまの流れでは、ザッケローニが批判の矢面に立たされることはないだろう。監督より中心選手である本田の方が、批判を浴びそうな雲行きだ。それでは、選手を守れない監督ということになる。よい監督の条件から外れることになる。

 日本代表のこの4年間の進化に、ザッケローニが深く関わっていた感じがしないのだ。進化は選手の上達分。ザッケローニによってゲーム性が向上した様子はない。ザッケローニは、自らの影響力を行使しようとする力に欠けた。その意志も弱かった。

 そして繰り返すが、ベルギーとオランダに11分の成績を残した昨年11月以降、肝心の試合さえ、積極的に組もうとしなかった。

 彼は、ワールドカップ本大会での目標も口にしない。「それは相手の力とも関係すること。相手をリスペクトする気持ちは、勝負事では大事になるので」と言って質問をかわした。リスクを負おうとする姿勢に乏しい上に、言い回しにも面白みがない。サービス精神が欠如しているところも、魅力的な人物に見えてこない大きな理由だ。

 まもなくワールドカップが開幕するというワクワク感を、いま思い切り感じている人はどれほどいるだろうか。この瞬間の熱気は、これまで日本が出場したワールドカップの中で最低を示している。

 これはザッケローニを代表監督に招いたサッカー協会の責任も大きい。非エンタメ的なザッケローニのペースに、すっかりはまってしまったメディアの責任もまた大きい。

 無味無臭、色もまったく感じられなかったザッケローニを、もしワールドカップで日本代表が成績を出しても、僕は讃える気にはなれない。その成績のほどは気になるが、限りなく退屈だったこの4年間が終わり、新しい4年に早く向かって欲しい気持ちの方が正直言って、それ以上に強いのだ。日本サッカー界にとって有益でなかった4年間。ザックジャパンを一言で総括すれば、そうなる。

http://soccer.news.goo.ne.jp/column/gooeditor_wc2014-20140606192109957

 

 

小生は、なんとなく予選リーグは敗退で終わるのではないかと言う感じがして仕方が無いのだが、この見解に小生は、賛同を覚える。強化試合の半分には、FIFAランクの上のチームを含めて欲しかった。コンフェデ杯があったじゃないか、と言われるかもしれないが、見事全敗している。上位チームと対戦させて、直近での実力を確かめる必要はなかったのか。

 

とも思われるのだか、次のような論評もある。

 

 

日本は、末尾に4がつく日に試合をすると、勝利していると言う。また、その場合には、途中出場の選手が必ずや得点していると言う。

(続く)