中国共産党中央紀律検査委員会が周永康を規律違反で処罰すれば、周りの大物もひょっ
としたら次は自分かもと、習近平には逆らえなくなる。
これが狙いの第二である。元政治局常務委員の周永康を逮捕・処罰することは、他の強烈
な見せしめとなる。
さてここで中国共産党の指導組織に触れてみたい。ご承知の通り、中国では自由と民主主
義の国家圏での国民国家と言う概念はない。あるのは「共産党が国家を領導する」(中国
憲法)と言う概念である。ここで言う国家とは「人民」の集団である。
その中国共産党の最高指導機関は「全国代表大会」と言う党大会であり、通常5年に一度
の開催である。共産党の組織形態を、2012.11.8に開催された第18回党大会をもとに、偏
見と独断で紐解くと、概ね次のようになっている。(遠藤誉氏の「チャイナ・ギャップ」、
Wikipediaを参照している。)
(1)、中国共産党全国代表大会(5年に1回)、代表2,270人(全国40選挙区)、党大会
↓↓(選出する)
↓(2)、中国共産党中央紀律検査委員会、検査委員130人(候補者141人)
↓↓中紀委・書記、自動的に中央委員となる。
(3)、中国共産党中央委員会(年1回)、中央委員205人(候補者224人)
↓↓
↓ (4)、中国共産党中央軍事委員会、主席(総書記が兼務)、副主席2人、委員8人
↓ 前副主席・徐才厚は2014.6.30に汚職容疑で党籍剥奪処分されている。
(5)、中国共産党中央政治局・会議(毎月1回)、政治局委員18人(全体25人)
↓
(6)、中国共産党中央政治局常務委員会(毎週1回)、政治局常務委員7人(China7)
→中央書記処→中央政法委員会、他5組織
全国代表大会で中央委員205人を選出し、その中央委員会はそこから中央政治局委員を
25人選出する。この25人の中から政治局常務委員の7人が選出される。いわゆるChina7
である。
このChina7が、中国共産党の最高意思決定機関であり、中国と言う人民集団(国)を指導
して行くことになる。
そしてこの中国共産党中央政治局、特に常務委員(China7)の7人が、中国と言う人民集
団(国)を夫々の職権に分かれて指導して行くことになる。
その指導の組織は次のようになる。
(7)、全国人民代表大会(年1回、全人代)、いわゆる国の最高権力機関で、立法・行政・
司法。 国会に相当する機関。代表は中国共産党の指名候補者より選抜、3000人以内。
(8)、同常務委員会(全人代の常設機関)、委員はほぼ200人、委員長(1人、国会議長に
相当)、 副委員長(若干名)、秘書長(1人) 下記の国家機関を監督する。
(9)、国務院、国家中央軍事委員会、最高人民法院、最高人民検察院
China7の夫々の役割をWikipediaにより下記する。
習近平 – 序列第1位 中国共産党中央委員会総書記、中国共産党中央軍事委員会主席、
中華人民共和国主席、中華人民共和国中央軍事委員会主席
李克強 - 序列第2位 国務院総理
張徳江 - 序列第3位 全国人民代表大会常務委員長
兪正声 - 序列第4位 中国人民政治協商会議全国委員会主席
劉雲山 – 序列第5位 中国共産党中央書記処常務書記、中国共産党中央精神文明建
設指導委員会主任、中国共産党中央党校校長
王岐山 - 序列第6位 中国共産党中央規律検査委員会書記
張高麗 - 序列第7位 国務院常務副総理
(10)、中国人民政治協商会議(年1回)、共産党・同以外の党派、他の人民団体、少数民
族の代表、各界・各団体(Ex.台湾同胞、華僑など)代表などで全国委員会を構成する。
重要な政治方針の下位伝達と討議・提案を行う。全国委員会主席1人、副主席23人。
・・・・・・といったところか。
だから常務委員会とは中国共産党の最高権力機関で、China9時代の常務委員であった
周永康は、中国共産党中央政法委員会書記の任にも当たっていた。この委員会は、「公
安、検察院、裁判所、治安維持」などを司っている。
「群体事件(集団抗議)」と言う暴動が多発している中国では、これを取締るのが主な任務と
なり、当然理不尽な弾圧や拘束が多くなり、それに対する抗議運動「群体事件」が更に輪を
かけて多発する。そのため治安維持費は軍事費を上回るまでに膨れ上がった。権限の乱用
による国家予算の消費である。これなども周永康が立件される理由であった。
狙いの第三は、“虎”も“ハエ”も一緒に叩くと明言した虎は他にも沢山いる。しかし他の大
勢の虎は周永康止まりにするということで、これ以上腐敗をのさばらせないと言うことを、他
の虎たちに暗黙の内に、約束させたものであろう。
(続く)