日清戦争開始120年に考える。(22)

日清戦争から120年、中国の日本専門家に聞く 「不平等条約ではなかった」
By
Olivia Geng and William Kazer
2014 年 8 月 1 日 18:50 JST
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歌川小国政「暴行清兵を斬首する図」(1894年10月、ボストン美術館蔵) Museum of Fine Arts, Boston via Wikimedia Commons   

 いまから120年前、朝鮮半島の覇権をめぐる数カ月間の紛争を経て、日本と中国は正式

に宣戦布告をした。中国のメディアでは先月、日清戦争(第1次中日戦争)を回顧するテー

マが盛んに取り上げられた。この戦争で中国軍は完敗し、1895年には山口県下関市で行

われた講和会議で、いわゆる「不平等条約締結を余儀なくされた。この下関条約が後

清王朝の崩壊を後押しするきっかけとなった。


 ウォール・ストリート・ジャーナルは中国社会科学院日本専門家馬勇氏日清戦争

日中関係への影響、中国の改革努力について聞いた。馬氏は、将来の日中関係が歩むべ

き道のりについても語った。


 インタビュー要旨は以下の通り。


――日清戦争は中国にとって大きな後退だった。巨額の賠償金を請求され、領土の多く

を失った。中国にとって、この戦争結果をどう特徴付けるか。


 日清戦争という混乱がなければ、中国は「洋務運動」の路線を継続していただろう(これ

は1861年に始まった改革運動で、当初は軍事工業化が目的だったが、後に別の目標が付

け足された)。立憲君主制を打ち立てるために段階的に西洋の軍事技術や武器装備を吸収

していった。この「西洋から学ぶ」という動きが破壊された。中国は体系的な改革への道を

進んでいたが、日清戦争がこれを台無しにした。この戦争以降、中国ではナショナリズム

勢いを増していった。


――戦争は避けられなかったのか。


 強硬派がいなければ戦争に突入することはなかっただろう。この戦争が起こったのは、当

時の(限定された)中国の国力を理解していない勢力がいたからだ。強硬派は日本に強い

態度を取ることを主張。李鴻章(改革派の中心人物で講和会議の全権大使)は当時、戦争

に反対していた。同氏は中国の限界を理解していたのだ。


――戦争を終結させた下関条約をどう評価するか。「不平等条約」だったか。

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日本外務省に保管された下関条約の文書 World Imaging via Wikimedia Commons

 不平等条約ではなかった。日清両国とも代表を派遣して交渉のテーブルに着かせた。「不

平等条約」と言われるようになったのはもっと後のことで、改革ナショナリズムを掲げる

活動家の圧力がこうした考えを生み出した。


 条約では第1に、中国は朝鮮の独立を認めさせられた。中国が勝っていたら、間違いなく

朝鮮の併合を要求していただろう。第2に、中国は巨額の賠償金を請求された。これについ

ても、紛争の多くで敗戦国が戦費を負担させられるのは当然だった。


 第3に、中国は遼東半島台湾の主権を喪失した。台湾の割譲は大きな痛手であり、現

在まで続く重大問題だ。中国は現実的な(領土)損失を被っただけでなく、状況を非常に複

雑にしてしまった。台湾は満州国政府にそれほど敬意を払っていなかったし、こうした(似た

ような)態度は民主進歩党の中国政府に対する見方に引き継がれている。中国は遼東半

島の返還と引き換えに賠償金を積み増されたことについて適切な説明をしなかったし、台

湾について同様の条約を結ばなかったことについても説明しなかった。日清戦争がなけ

れば、台湾の独立機運は現在のような流れに発展していなかっただろう。


――日本との関係に対する影響は。


 中国は自分が先生で日本は生徒だと見なしていた。英国やフランスとの戦争に敗れるこ

とは認められても、日本に敗れることは認められなかった。


――現在の日中関係をどう見るか。両国は釣魚島(尖閣諸島の中国名)をめぐる新たな

緊張の火種を抱えている。これがどう展開すると思うか。


 民間レベルの関係を見ると何の問題もない。日本人は中国に憎しみを抱いていないし、

日本を訪れる中国人は(非常に多く)いる。(日本が中国に侵攻し、占領した)第2次世界大

戦当時と状況は全く異なる。日中間に反目はあるが、これらは過激派から出ているもので

主流ではない。


 日本と中国は歴史の新たなページを開くべきだ。日中関係の長い歴史の中で、釣魚島

非常に小さな問題にすぎない。とりあえずこの問題は脇に置き、次の世代から問題解決の

知恵を借りるべきだ。


――安倍晋三首相による日本の軍事力強化の動きをどう思うか。


 安倍首相が行っていることは、日本の普通の国にしようとする努力だ。中国は(第2次大

戦の)戦勝国として日本を支援する責任を負っている。日本は長年にわたって軍事力を抑

制し、制度改革を重ねており、戦争を開始するはずがない。日本国民の間では反戦機運が

非常に強く残っている。


――日清戦争から得られた主な教訓は何か。


 中国が発展に向けていくつかの重要な前進を見せたという事実を評価しなければならな

い。こうした成果を帳消しにする紛争は必要ないし、最初からやり直す必要もない。これが

日清戦争の経験から得た最も重要な教訓だ。私たちは平和で友好的な環境を確保する必

要がある。これが中国の進むべき道だ。

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304180804580064963762215720

 

 

この絵を見ると、日本軍は残酷だと思われる方が居るかも知れないが、小生はこの絵が何

を言おうとしているかは判らないが、それなりの理由があったものと思う。

便衣兵はいわゆるゲリラであり、正規の捕虜としての扱いは求められていなかったが、この

絵はそれなりの裁きの上での処刑ではなかったのかな。

(続く)