そのテスラのイーロン・マスクCEOは、燃料電池車にはエコカーとしての勝ち目はない、と断言している。その理由は水素の製造や貯蔵・運搬にはそれなりのエネルギーが必要となり、反対にEVは再生可能エネルギーで発電できるので、FCVよりもかなり優位である、と言うような趣旨の発言なのだ。EVには走行距離の短さと充電時間の長さと更にはバッテリーの発火と言う問題も有り、更には株を売られた腹いせでもないとは思うが、走行距離650km・水素充填3分と言うトヨタのFCVには相当の脅威を持って眺めているのであろう。
「燃料電池車に勝ち目なし」、イーロン・マスクがのぞかせたEVへの自信
日経テクノロジーオンライン編集部
2014/09/09 18:32
米Tesla Motors社CEOのElon Musk氏は、2014年9月に日本市場で電気自動車(EV)「モデルS」の納車を開始したのに伴い東京都内で記者会見を開き、今後の投資計画やパートナー企業との関係などについて語った(関連記事)。2017年の稼働を目指す巨大電池工場「ギガファクトリー」(Gigafactory)は、投資計画が概ね固まったという。
――世界最大規模のリチウムイオン電池セル工場となるギガファクトリーの投資計画はどのような状況か。
Musk氏:総額40億~50億米ドル(約4000億~5000億円)のうち、我々が半分、パナソニックが3~4割を負担する。残りは、工場建設地となる米国ネバダ州が投資することになるだろう。
――パートナーとしてパナソニックを特別に考えているのはなぜか。
Elon Musk氏と山田喜彦氏。モデルSの納車第1号として、Musk氏から山田氏にキーが手渡された。
[画像のクリックで拡大表示]
Musk氏:パナソニック代表取締役副社長の山田喜彦氏は、テスラのファンとして個人的にモデルSを購入してくれた。我々の関係は両社にとって良い影響を与えていると思う。パナソニックがリスクを取りながら従来よりも意思決定のスピードを速めているのは、大変評価できることだ。
――中国市場の今後の計画はどうか。
Musk氏:今後、ギガファクトリー以外の工場を設けることは特に考えていない。3~5年後には必要になるかもしれないが、輸送の面でコストがかかるため、優先度を考えていく必要がある。流れとしては中国、欧州の順になるのではないか。
――トヨタ自動車との関係はどのように考えているか。
Musk氏:トヨタ自動車とは今まで素晴らしい関係を築いてきた。株主としても我々を支えてくれた大きな存在だ。間もなく提携は終わってしまうし、明確な計画があるわけではないが、2~3年以内にまた大規模な共同プロジェクトが始まったとしてもおかしくはないだろう。
――日本は燃料電池車のインフラ整備については後れを取っているが、どう思うか。
[画像のクリックで拡大表示]
Musk氏:我々は、今まで様々な技術を実験的に試してきたが、燃料電池車に向かうべきではないと考えている。燃料電池車で必要となる水素ガスを作るのに要するエネルギーは、燃料電池から得られるエネルギーよりも多いし、水素ガスの貯蔵や輸送も困難だ。信頼性の高い再生可能エネルギーで発電できるEVと比較すれば、燃料電池車にはエコカーとしての勝ち目はないと思う。
――特許についてはどのような考えをお持ちか。
Musk氏:(2014年6月に発表したように)我々はEVに関して保有しているすべての特許を解放し、オープンソース化する決断をした。これには業界全体のEV開発を加速させていくという意図がある。モデルSは決して安価なクルマとはいえないが、後発のメーカーがより手ごろな価格でEVを市場に投入できる下地をつくりたい。愚かな考えと思われるかもしれないが、EV市場の発展に貢献していきたいと考えている。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140909/375381/?n_cid=nbptec_tecml&rt=nocnt
再生可能エネルギーであれば、それを使って水を電気分解して水素を取り出せばよいだけだ。もちろんコスト的な問題はあるだろうが、自主エネルギーの確保も日本の命題の一つであるから、水素社会の達成は一考に価する事なのではないのかな。
更には汚泥処理の途中でメタンガスが発生するので、そのメタンから水素を取り出したり、苛性ソーダの生成過程では、相当量の水素が副産物で発生している。それらを体系的にまとめ上げれば、水素の供給については何らかの目途が立つのではないのかな。
何はともあれ、水素社会への道が開け始めている事は確かだ。
(続く)