まあテスラ「モデルS」でも、充電時間には相当の長さになってしまう。バッテリを沢山積んでいるので、航続距離はまずまずであるが充電時間の長さは問題だ。やはり今のところサードカーとしての位置づけではないか、と言っていた論考もあったが、さもありなんとも思える。
充電時間の長さを解消するためにテスラは、バッテリー一式の交換方式を提唱している。床下からごっそりとバッテリー一式を取り外して、そこへ満充電されたバッテリー一式を取り付けると言うものであるが、これは後で言及しよう。
もう一つLCA(Life Cycle Assessment、一生涯での影響評価)的に評価する事も必要となろう。要は石油を採掘してからどんな方法で水素を作ってそれを貯蔵して運搬して車に注入して、車として動かすすべての過程でのエネルギーの使用量とかCO2の排出量などでのEV、PHEVとFCVとの比較も必要だ。
これをWell to Wheel(Well to Tank + Tank to Wheel)総合評価と言うようで、それによると(いろいろな評価の仕方があるようなのだが)現時点では、次のようになっていると言う。
『以上、水素燃料電池車のエネルギー消費量・CO2排出量を他の次世代自動車(ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド車、電気自動車)および従来型エンジン自動車と比較した標準ケースの結果を総合して、
エネルギー節減・地球環境保全への効果で見ると、水素燃料電池車はエンジン自動車よりは優れているが、ハイブリッド自動車と同程度で、プラグインハイブリッド車および電気自動車より劣る
と言えよう。』
(synthesist シンセシスト(http://hori.way-nifty.com/synthesist/)
an intellectual who synthesizes
燃料電池車はどの程度エコか? JHFCの検討結果からエネルギー消費量とCO2排出量を他の次世代自動車と比較する
http://hori.way-nifty.com/synthesist/2013/08/jhfcco2-854a.html より、
但しトヨタでの評価は、これと正反対の評価結果(FCVのほうがEV選りすぐれている)を出していると言う。
まあテスラのイーロン・マスクCEOは燃料電池車のこの水素の問題を念頭に、EVのほうが優れていると言ったものとの思うが、EVの航続距離短さと充電時間の長さ、バッテリの重さと言う自動車としてのユーティリティを阻害する要素も考慮する必要があろう。これは車が自動車としてなくてはならない基本的な機能の不足を意味しているのである。その点自動車の本来機能としてはFCV>EVだと思うが、FCVには水素の製造コストなどの改善、EVにはバッテリーの性能向上と言う課題があるのである。それをお互いに切磋琢磨してどの様に解決してゆくか、今後の見ものである。
もう一つ考慮しなければならない問題は、石油資源の枯渇だ。これはすぐさま問題になるわけでもないとは思うが、いずれにせよ石油が枯渇ないしは価格高騰してきた場合には、それに変わるエネルギー源は当然確保しておかなければならないであろう。当然水素で電気を起こすことになる。(そしてその電気で水素を作る、と言う事。)
まあこのテーマは別に譲るとして、
その「モデルS」が、2013年10月以降3件のバッテリーが原因で、車両火災を起こしている。自然発火ではない。追突したり、落下した鉄塊に乗り上げたりした為に、バッテリーに衝撃を与えたためだ。車には事故は付き物と言っても憚らないものであるので、これは一寸厄介だ。航続距離を稼ぐために、モデルSは床一面に「18650」バッテリーを敷き詰めているので、どこをぶつけてもバッテリーを痛める危険がある。ガソリン車とは少し様相が異なる。
先ず1件目は、2013.10.1に前を走るトラックから落下した金属塊に乗り上げたモデルSが、バッテリから出火し炎上した。
【ビデオ】テスラ「モデルS」が炎上事故! 株価も急落!!
(http://jp.autoblog.com/2013/10/06/tesla-model-s-fire/)
By Autoblog Japan StaffRSS feed
2013年10月06日 15時00分
今回は、米ワシントン州シアトル郊外で発生したテスラの電気自動車「モデルS」の炎上事故の話題をご紹介しよう。車両火災自体はそれほど珍しくはないが、この事故を受け、テスラの株価が急落したことが米で話題になっている。
地元当局から事故の詳細は発表されていないが、ビデオを見る限り、炎上しているのはフロント部分のみ。テスラSのモーターはリアアクスルの上に、バッテリーは床下に設置されているため、ボンネットの下はトランクになっている。このことからEVであることが今回の炎上事故に繋がったという可能性は低いが、この事故が報道された翌日に、同社の株価は6.2パーセントも急落した。
テスラはこの件について、「車両の警報システムのおかげで、ドライバーは怪我をせずに済んだ。車両火災は発生したものの、安全性の高い設計のため、幸いフロント部分が燃えただけで済んだ」と声明を発表している。
では、実際の炎上現場をビデオでご覧いただこう。
(https://www.youtube.com/watch?v=q0kjI08n4fg)
http://jp.autoblog.com/2013/10/06/tesla-model-s-fire/
なお次のURLにも解説付きで炎上事故の動画が載せられています。
http://www.47news.jp/movie/international_national/10_44/
(続く)