次世代エコカー・本命は?(23)

まあこの記事は2012.3月時点のものなので、現時点2014.12月ではEVリーフの実用航続距離228kmと初期モデルの200kmからは幾分かは伸びて、充電箇所も6,050カ所となっているが、正直言って+28kmは誤差の範囲ではないのかなと思われるが、この実用航続距離の短さが電気自動車の最大の泣き所なのである。バッテリーへの充電は、寝てる間に行えばよいと考えれば、少なくとも一日は不安なく走れる性能は必須となる。だからトヨタ電気自動車は、「短距離の移動手段」として超小型EVとしてなら存在価値があると考えて、実証試験を行っている。

 

いわゆる通勤・通学用や集配・運搬用などの決まった区域を走行する短距離移動用の超小型EVならば、夫々決まった地区間の移動や決まった範囲内の走行だけで済ませられるので、仕組み的にも実用性があろう。

 

だからトヨタは、近場は超小型EV、遠距離用は「燃料電池車」と割り切って考えている。いろいろな意味で、例えば地球温暖化CO2や大気汚染PM2などの地球環境問題石油枯渇問題などだが、たまたま今は石油価格が下落しているが、自動車の燃料がガソリンから転換しなくてはならなくなる時期が、迫ってからでは遅いのである。


だからトヨタ燃料電池車「ミライ」の発売を宣言したのである。そうすればもう一つの水素社会の課題である水素インフラの整備も、自ずとではないがその進展の刺激としようとしたのであろう。


そうでもしないとなかなか水素インフラの整備は進まないのだ。ただでさえ水物なのだから。

 

【ビジネスの裏側】“1000万円以下”究極エコカー燃料電池車」いよいよ販売も、専用燃料スタンド「水素ステーション」“全国でわずか19カ所”の落とし穴

2014.7.2 07:00

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トヨタ自動車燃料電池自動車のコンセプトカー(トヨタ自動車提供)

 水素と空気中の酸素との化学反応で発生した電気でモーターを回す燃料電池車(FCV)を、トヨタ自動車は今年度内に、ホンダは来年中に国内外の市場に投入する。ガソリン車のように排気ガスを出さず、走行中に水しか排出しないため「究極のエコカー」とも呼ばれるが、車体価格が700万~800万円と高額になるうえ、燃料の水素を補給する「水素ステーション」が全国に6月時点で19カ所しかないのが実情だ。厳しい規制高額投資がインフラ整備を遅らせる要因といい、普及の壁となっている。

 

 1千万円を切る価格

 トヨタは年度内に日米欧でセダン型のFCVを発売する計画だ。価格については「1千万円を切るレベルのめどは立った」(トヨタ広報部)と説明。700万円程度に設定すると発表したが、ガソリン車よりも割高だ。

 ホンダはすでにセダン型の「FCXクラリティ」を開発。平成20年、官公庁や自治体向けに実用化に向けた実験車として月額84万円でリース販売(3年間)をスタートしたが、1台当たりの負担は3千万円以上になる計算。来年、この実験車をベースにしたFCVを市場に投入する予定だが、「普及のためには1千万円は切っていきたい」(ホンダ広報)といい、700800万円とする考えだ。

 割高になるのは、動力源の燃料電池を高性能化するためのコストがかかるのが原因。価格を引き下げるためには、量産化によるコスト削減が必要となる。

 ネックは割高な建設費と規制

 もうひとつ、燃料電池車の普及に欠かせないのは、燃料をFCVに補給する水素ステーションの拡充だ。

 自動車メーカーやガス会社で作る任意団体「燃料電池実用化推進協議会」は平成22年、FCVの普及に向けた「シナリオ」をつくった。水素ステーションの国内整備を先行させた上で、車体価格を引き下げるためFCVの大量生産に乗りだす。そして37FCV200万台水素ステーション全国1千カ所とする青写真を描いた。これを受け、自動車メーカーやガス会社など1127水素ステーションを全国100カ所に展開する共同声明を出した。

 ところが、6月時点で設置された水素ステーション全国19カ所にすぎない。石油元売り大手のJX日鉱日石エネルギーや岩谷産業が新たな建設を表明し、計画中のものも含めると30カ所になるが、来年中でも60カ所程度にとどまる見通しだ。

 ネックは、割高な建設費や各種の規制だ。

 日本政策投資銀行の試算によると、ステーションに必要となる水素の圧縮機は欧州では8千万円程度が一般的なのに対し、国産の水素ステーションでは13千万円もかかる。もうひとつ、圧縮した水素を保管するタンクは欧州1千万円に対して国産6千万円で、コスト増大の要因となっている。

 欧州より国内の安全基準が厳格なのが背景にあり、1カ所当たりの建設費は全体で45億円。ガソリンスタンドの1億円を大きく上回る。大阪ガスの関係者は「ステーションの建設費を下げるためには、利用するFCVの普及も進まなくてはいけない。ただ、どちらも高額なので良いサイクルが生まれにくいのが現状だ」と打ち明ける。

 また、高圧ガス保安法に基づき、燃料ディスペンサー(補給器)と公道との距離は6メートル以上と定められており、4メートル以上のガソリンスタンドよりも広い敷地面積を求められる。さらに運転手が自ら水素の補給ができず、水素ステーションスタッフが補給する必要があるなど規制が多い

 一方、現在整備されているのは、将来的な普及を見越して比較的大型のステーションが大半。同行関西支店企画調査課の山下真里奈副調査役は「大型施設の整備が前例となったことで、逆に新規参入のハードルがあがったともいえる」と指摘する。

 見通せぬ将来

 普及に暗雲が漂っている現状を受け、経済産業省619日、有識者でつくる「水素・燃料電池戦略協議会」を開き、FCVを含めた水素産業を拡大させるロードマップをまとめた。それによると、FCVの車体価格は、37年ごろに、同じグレードのハイブリッド車と同程度に抑える方針を示した。

 外市でもFCVを普及させるため、安全基準を統一できるように経済産業省が各国と交渉することなどが盛り込まれている。水素ステーションについても水素の配管や保管タンクの材質や、立地の規制緩和を進める方針を示している。

 山下副調査役は「先行して取り組む業者が損をしないよう、早く規制緩和補助金の拡充などを進めることが必要だ。それでも来年の目標の達成でさえ困難な見通しなので、その先はさらに不透明だ」と指摘している。

(織田淳嗣)

http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/140702/wec14070207000001-n1.htm

(続く)