次世代エコカー・本命は?(31)

EVはバッテリー交換方式に期待

 上で、「EVの販売も予想を大きく裏切っている」と言ったが、その最大の理由は、航続距離の不足と充電にかかる時間の長さだ。

 幸い、この問題を解決するために、既存のバッテリーを使いながら、その運用を工夫することにより、使い勝手を飛躍的に良くする方法が提案されている。それが、バッテリー交換方式だ。

 テスラは、20136月、イーロン・マスクCEO自ら、「モデルS」のバッテリー交換方式を披露した。この時には、同時にガソリン車の給油も行い、両者を競争させた。その結果、給油には3分半ほどかかるのに対し、バッテリー交換は半分以下の130秒ほどで終わった。

 テスラは、交換ステーションを、まず、カリフォルニア州でロサンゼルスとサンフランシスコを結ぶ高速道路5号線沿いに展開し、次いで首都ワシントンからボストンへの道路にも建設する計画を発表している。それぞれの拠点で交換用バッテリー50セットを用意するという。

 201410月現在、まだこのようなステーションは完成していないが、「有限実行」のマスク氏の手腕に大いに期待したい。

 究極のエコカーバッテリー使用のEVであり、発電の主役は構造が簡単で、設置の容易な太陽光発電である。太陽光発電の不安定さを補正するためには、バッテリーが必要で、そのコスト・パフォーマンスを劇的に向上させることが必須だ。

 そういう大きな流れの中で、原発と火力発電に代わるベースロード電源として、定置型燃料電池にも期待がかかっている。

テスラ「モデルS
バッテリー交換方式にも対応(ただし、交換ステーションは未整備)

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出所:筆者撮影(車は木村理氏所有) モデルSp4 H aomt


「燃やさない文明」のビジネス戦略

 いま、大きな変革の節目を迎えようとしている。時代を突き動かしているのは、ひとつは言うまでもなく地球環境問題である。人口の増大や途上国の成長が必然だとしたら、いかに地球規模の安定を確保するかは世界共通の問題意識となった。そしてもう一つは、グローバル化する世界経済、情報が瞬時に駆け巡るフラット化した世界である。これは地球環境という世界共通の問題を巡って、世界が協調する基盤を広げるとともに、技術開発やルールづくりでは熾烈な競争を促す側面もある。

 筆者は「燃やさない文明」を提唱し、20世紀型の石油文明からの転換を訴える。このコラムではそのための歩みを企業や国、社会の変化やとるべき戦略として綴ってもらう。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141212/275070/?P=1

 

いくらバッテリー交換-方式がベストだと言っても、EVの航続距離がそれによって伸びるわけでもない。バッテリーを何回も交換しながら目的地に行かなければならないとすれば、それは遠慮したくなる。そのためには予備バッテリーや交換施設を何箇所も作っておかなくてはならない。これも問題ではないのかな。テスラーのように床一面に敷き詰めた方式であれば何とかなるかもしれないが、リーフやiミーブなどはどうであろうか。まあ床下一面に電池を積んでいるので、モデルSには火災が発生したと言う事実もある。

 

まあそんな厄介な事をしなくてもEVは近距離用のコミューターとしてみれば、大いに使い勝手が出てくるのではないのかな。

 

2014.12.15トヨタFCVミライは発売された。まだまだ街中では「ミライ」を見かける事はないが、ここで一応すでに雑誌などでも公表されているが、「ミライ」の仕様などを紐解いてみたい。と言っても新しい事はないのだが。

 

5トヨタFCV「ミライ」について

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この写真は昨年(201312月)に地方で開催されたモーターショウでのTOYOTA FCV CONCEPT車である。ここに見える両サイドにある三角形のサイドグリルは、単なる飾りのようにも見える。空気が通らないような樹脂がはめ込まれているように見えるからだ。たまたまこの時の展示では中を見せないために仮のカバーをつけていたかも知れまいが、中央のセンターグリルはそれなりに大きい。トヨタマークのあるスリットからは燃料電池用の空気は取り込まれ、センターグリルからはFCスタックやモーターの冷却用の空気が取り込まれるもののようである。

 

ポジションランプはサイドグリルの中に見える縦長のオレンジ色がそれなのだろうか。号口型(トヨタでは現行型を号口型と言っている)にあるポジションランプとは異なっている。号口型では、これをDRL(Daytime Running Lamp)と言っている。いわゆる事故防止の為に、昼間前照灯の代わりに点ける昼間点灯用ライトであり、DRL,Position Lamp,Turn signal lampの役割を持たせている。号口型の出っ張ったDRLは、空力にかなり効いたようだ。だからこの一年の改善、改良は相当なものであったのであろう。当ブログのNO.2(2014.11.26)には一年前のミライの写真が載っているし、NO.1(2014.11.25)には号口型の写真が載っているので、その変遷が見て取れる。

 

さらにはヘッドランプは両側に夫々5個のLEDランプが付いている様に見える。

 

下の写真は2014年末の「人とくるまのテクノロジー展2014」での発売直前のものであるが、先の写真と違って一年後の現行型でのサイドグリルには、横スリット状となっている。しかしスリットとして隙間のあるものは、下からの三つのスリットだけだ。

そしてヘッドランプは4個のLEDランプとなっている。内側の2個がハイビームのようだ。

 

と、このようにこの一年間での素人の小生に見えた変更点だが、実質的にはもっともっと沢山の改良点が盛り込まれて、現行型となっているのであろう。

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号口型のサイドグリル
DRL・ポジションランプ・ターンランプが付く。
            

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号口型の前照灯  

 

ちなみに水素充填口とトランクルームにあるチャデモ対応の外部へ給電するDCコンセントの写真を載せよう。

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水素充填口(3分で満充填となる)

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チャデモ対応DCコンセント(G.bag3個入るトランクR.

                         

DCコンセントから外部へ給電するためには、別売の給電器が必要となる。

(続く)