トヨタはFCV「ミライ」を「中長距離用途」のモビリティとしている。
これも「人とくるまのテクノロジー展2014」でのトヨタサイドが掲示したものであるが、トヨタサイドが考えるモビリティの棲み分けイメージは次のようなものだ。
FCV: 中長距離用途(Medium-to-Long-distance)、燃料は水素
HV・PHV:乗用車全般(Wide-use)、燃料はGasline,軽油、バイオ燃料、CNG、合成燃料etc
EV: 近距離用途(Short-distance)、電気
としている。
そして現在のように主として化石燃料による電気エネルギーの社会と、新たに水素を元に電気エネルギーを造りそれを使う社会とが融合して、徐々に化石燃料だけのエネルギー社会から水素など多様なエネルギーによる高度な社会(CO2フリーで脱化石燃料)へと発展して行くことになろう。長い時間は掛かるが、いわゆる「水素社会」が到来する事になる。
その端緒がトヨタが発売した燃料電池車・FCV「ミライ」である。
これも「人とくるまのテクノロジー展2014」でのトヨタサイドが掲示したものであるが、FCV「ミライ」の主要緒元を紹介しよう。
・FC昇圧コンバーター FCスタックの電圧を650Vに昇圧する、小型高効率の大容量コンバーターを新開発。昇圧コンバーター:入力電圧よりも高い電圧で出力を得るための装置。
・FCスタック トヨタ初の量産型燃料電池。小型化と世界トップレベルの出力密度を実現。
体積出力密度:3.1kW/L 最高出力:114kW(155PS)
・駆動用バッテリー 原則時に回収したエネルギーを貯蔵し加速時にはFCスタックの出力をアシストするニッケツ水素バッテリー
・パワーコントロールユニット あらゆる運転状況下でFCスタックの出力と駆動用バッテリーの放充電を最適に制御するための装置
・モーター FCスタックで作り出した電気と駆動用バッテリーからの電気で駆動するモーター。
最高出力:113kW(154PS)
最大トルク:335N・m(34.2kgf・m)
・高圧水素タンク 燃料となる水素を蓄えるタンク。公称使用圧力は高圧の70MPa(約700気圧メガバスカル)。世界トップレベルのタンク貯蔵性能を達成し、軽量・小型化。タンク貯蔵性能:5.7wt%
(ウエイト・パーセントwt%は、タンクの重量に対する貯蔵水素重量の割合、だと言う。ちなみに前方のタンクは60Lで後方のタンクは62.4Lで合計122.4Lだと言う。このタンクに700気圧で圧縮した水素を充填することになる。おおよそ7mの筒の水素を1cmに縮められた水素、と言うことになる。
水素は空気中で4%の濃度にならなければ爆発はしない。そのため床下に設置されている。たとえ漏れたとしても車内には溜まらない。
だからこの高圧水素タンクが、撃たれても爆発する事はない。”ゴルゴ13”の漫画のように狙撃されても爆発はしない。まあこんな事よりもどの様にして水素を作り出すか、の方が重要であろう。)
(続く)