次世代エコカー・本命は?(50)

GMと提携しているホンダが20163月にもFCVを発売する予定なので、その内にGMも(ZEV規制対応も含めて)FCVEVを発売せざるを得ないものと思われる。GMはこの他にPHEVVoltと言うレンジエクステンダーEVを持っているので、75miles以上のEV走行が出来れば加州の2018年規制対応車としてZEVクレジットの計算が出来ることになる。しかし75miles以下でもZEVクレジットは減額されるが、獲得できるようだ。このような動きを眺めるに、GMEVを主としてZEV規制対応車と考えているようで、FCVは様子見のような感じがする。

 

この新型「Volt」のEV走行距離は50マイル(約80kmだと言う。これでは完全なZEV車とはならないが、ZEVクレジットは減額して与えられることになろう。従ってGMは、EVPHEVを中心として、FCVもやっていると言う形を見せながら、加州のZEV2018年規制には対応することになろう。

 

GM、次期プラグインHV車を2015年に EVで80km走行可

2015/1/15 23:00  ニュースソース  日本経済新聞 電子版

(日経テクノロジーオンライン)

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2015年後半に市場投入予定の次期「Volt

 米General MotorsGM)は、プラグインハイブリッド車PHEV)「Volt」の次世代モデルを2015年後半に市場投入すると正式発表した。Voltは米国で最も売れているPHEVとして知られる。2010年の発表以来、初めて大幅な改良を加えることで、電動車両市場での存在感の向上を図る。

 「(現行モデルから)あらゆる性能を向上させた」――。米国最大の自動車展示会「The North American International Auto ShowNAIASデトロイトモーターショー)」でGMは記者発表会を開催、同社Chief Executive OfficerCEO)のMary Barra氏は自信をのぞかせた。

 性能面での向上が大きかったのが、電池のエネルギーによってモーターのみで走れるEV走行距離を50マイル(約80kmまで延ばした点だ。現行モデルのEPA燃費ラベルに示された1充電当たりのEV走行距離は35マイル(56km)となっていた。実際のユーザーからのデータでは、「多くの所有者が35マイル以上を走行しており、約15%の運転車は40マイル(約64km)超だった」(GM)という。仮に40マイルを基準としても、次期VoltではEV走行距離を25%を延ばしたことになる。

 EV走行距離を延ばすため、GMは次期Volt1搭載するLi(リチウム)イオン2次電池の容量を増加、2駆動ユニットの高効率化、3軽量化などの改良を加えた。

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 1搭載するLiイオン2次電池の容量を増加では、容量を従来品から体積当たりで20%向上した電池セルを採用した。この電池セルは、韓国LG Chemと共同で開発したもの。電池セルはラミネート品で、192搭載する。電池はセンタートンネルと後席下に配置

 放熱性を高めるため、ラミネート型セル2枚を1組として、セルの間に放熱板を配置して「セルグループ」とした。つまり、次期Voltのセルグループを96個組み合わせて電池パックを構成したことになる。電池パックの容量は18.4kWhで、現行モデルと同様にセンタートンネルおよび後席下にT字型に配置した。

 2駆動ユニットの高効率化では、搭載する2つのモーターの効率を512%向上させた。

 3軽量化ではまず、前述のLiイオン2次電池パックで約9.8kg軽くしている。電池セル288個から192個に減らせたためだ。モーターも、性能を向上させながらも約15kg軽量化したという。

 最大航続距離は676km。発電用として使うエンジンは新開発の直列4気筒ガソリンエンジンで、排気量は1.5Lである。電池の充電時間は120Vの家庭用電源では13時間240Vの受電ステーションでは4.5時間。家庭だけでなく、外出先でも充電することを想定し、搭載するテレマティクスサービス「My Link」に、GPSを使った充電設備の検索機能を備えた。

 次期Voltの車体寸法は、全長4582mm×全幅1809mm×全高1432mmホイールベース2694mm

(日経テクノロジーオンライン 久米秀尚)

[日経テクノロジーオンライン 2015115日掲載]

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO81967230V10C15A1000000/


 

電池セルを192枚搭載していると言う事は、数では日産リーフLiイオン二次電池と同じ枚数となっているが、その一枚の大きさが小さいのであろう。リーフは192枚のセルで24kWhだと言うが「Volt」は同じ192枚のセルで18.4kWhなので、リーフの77%程度の実力の電池となっている。


 

それにしてもトヨタFCVには、見立てよりかはるかに多い注文が来ている様だ。だから年間700台程度の生産能力では、とてもじゃないがこの注文をさばき切れなくなっている。そのため早々に能増を決めたようだ。

 

もともと国内販売が主たる目的に「ミライ」を開発してきたわけでもないのだが、現在は取り合えず国内対策だ。

 

主目的はカリフォルニア州の「ZEV2018年規制」に対応させることだが、(それに向けてトヨタFCVを開発してきたのであるから)アメリカ向けを主にしなければならない。やがては、対米向けを年間少なくとも、4,5千台程度は必要となろう。だから増産が急がれるのだ。

(続く)