次世代エコカー・本命は?(73)

果たして日本での販売価格は?

 それにしても、そんなe-up!の走りのテイスト全般が、びっくりするくらいに上質であることには驚かされた。

 エンジン音がしないことはもとより、ロードノイズも抑え込まれているために、期待と想像以上の静粛性を実現している。さらに、こちらはガソリンモデル同様のしなやかなフットワーク・テイストが再現されていることもあり、その乗り味はもはやこれこそが“小さな高級車”という感触であったのだ。

 EVの場合、常に議論の的となり、誰もが気になるであろう航続距離は、このモデルの場合「120km160km」とアナウンスされている。エンジン車の燃料タンクと同様、バッテリー内の電力もすべてを使い切ることができるものではないので、現実には条件がよければ100km、そうでなければ安心して使えるのは70km80kmまでという感覚か。片道換算では35km40kmくらいとなると、「それでは全然もの足りない」という声も出てくるに違いない。

 けれども、改めて振り返ると、毎日の買い物や通勤にはそれほどの距離は走らないという人は多いはず。となると、EVというのはこうした“分かり切ったパターンの中で使う場面”でこそ、もっとも威力を発揮するものではないだろうか。


 

 e-up!は日本で発売の暁には、普通充電に加えてCHAdeMO(チャデモ)規格の急速充電にも対応する予定という。が、そうであっても自分には、ロードサイドの急速充電器をあてにしながら、途中で充電を繰り返して遠くまで走って行こう、という考え方はもっともナンセンスなEVの使い方に思える

 仮に、真夏の日中に多くの人がそんな使い方をし始めたら、電力ピークは果てしなく高まってしまうはず。そもそも、この先充電器の整備が進んでいくにしても、増えつつあるプラグイン車両のすべてに対応できるほど充電プラグの数が用意できるはずなどないことは、複数の給油ノズルを用意し、1台あたりの滞留時間が5分ほどに過ぎない現在のガソリンスタンドでさえ、時と場所によっては行列ができる光景を思い浮かべて貰えれば明白だろう。

 極論すれば、「ドライバーが寝ている間に充電できる範囲内を基本とし、未知の土地には乗っては行かない」――これこそが、EVとのもっとも賢い付き合い方であるはずなのだ。そんな乗り物では実用に耐えない! と、思わず直感的にイメージしてしまいそうになるが、改めて考えれば「100kmも走れれば、日常の行動パターンすべてがカバーできる」と、そう納得できる人は多いに違いない。

 最後に残るのは価格の問題。欧州での価格を単純換算すると、e-up!は残念ながら300万円を大きく超えてしまいそう。しかし、仮にそんなプライスタグが付いてしまえば、その時点でもはや魅力的な商品とは呼べなくなってしまうことは自明の理というもの。今勢いに乗るフォルクスワーゲンが放つ初めてのEVには、この点でも何とか革命を期待したいものだ。

http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/impression/20140613_652976.html


 

充電を繰り返して遠くまで走ってはいかない」とか「知らないところへは乗って行かない」更には「300万円を超える車はコミューターではない」などと言った趣旨の言葉は、将に至言である。

 

もしもVWが「e-up!」を、いわゆるコミューターとして提案しているとすると、まだ半分もその域には達していないものと思わざるを得ない。まあ言ってみれば、近中距離型の環境車と言えるものであり、(超)近距離車(都市型コミューター)であるならば、百万円未満の価格でなければならないのであろう、と小生は勝手に考えている。

 

温室効果ガスによる地球温暖化の問題が声高に叫ばれる現在、あらゆるレンジに渡る自動車は、

すべからく環境にすこぶる優しくなくてはならなくなってきいる。そして地球に優しくするために自動車も、その夫々の特性の機能に特化したものとなって行くものと思われる。そのほうがきっと資源の無駄づかいも防ぐことが出来るものと、小生は思っている。

 

(超)近距離型移動手段、近中距離型移動手段、中長距離型移動手段と、小生は偏見と独断で、人様の行動から推測して自動車の在りようをこの三つに区分している。

 

現在の車で言えば、i-ROADCOMSなどが 近距離型モバイル、日産「リーフ」・三菱「iMEAV」などが近中距離型モバイルで、トヨタFCV「ミライ」などが中長距離型モバイルに区分されよう。鉄道などは中長距離の大量移動手段であるので、近距離型移動手段であるi-ROADと鉄道との組み合わせやFCVなどのモビリティー(交通手段、方法)で、CO2 を極力出さない交通体系が、現在では求められている状況だと思われる。

 

この近中距離型モバイルの範疇に入るEVを、トヨタは持っていないし当座は開発する気は無いようだが、車と人の関係から考えると、この手のモビリティーは意外と伸び代があるような気が、小生はしている。

 

と言うのも、いつでも一寸した買い物や何かの用足しとかでどこかへいく事は多いし、ましてや日常の通勤通学などでも、車の使用範囲は近中距離の範囲であると思われるので、一般人の日常の使い勝手からは、この近中距離型モバイル需要は多いのではないのかな。

 

もちろんCO2の排出がそれほど問題にならなければ、こんな区別をする必要はない。今の車の現状で十分に事足りているが、これほど地球温暖化による諸々の影響がこの母なる大地に降りかかっていることを考えれば、地球上のすべての車をEVFCVに置き換えなければならないのである。それに化石燃料の枯渇問題も考慮してゆかなければならないのであろう。

 

そのような技術も手段もない現状では、出来る所からCO2の削減に取り掛かってゆかなければならない。だから今の持てる知識・技術で、車のCO2フリーに取り組んでゆかなければならない、と言うこと。

今のバッテリーの性能と技術では、残念ながら、オールラウンドの車は作れない。

 

だから、近距離用、中距離用、長距離用とその用途に合わせて、車を、バッテリーを、開発してゆかなければならないのだ。それが資金と資源を有効活用する、現在の唯一の方法となろう。しかし資源のない日本で、昨年始めて燃料電池車が市販された。これは、その意味で、大化けをするかもしれない技術となる可能性のあるものの一つ、と小生は感じている。なんと言っても、水素を燃料としており、その水素は地球上至る所に存在していると言う。だから自前で資源化出来そうなエネルギーとなる可能性がある。

 

トヨタは近頃盛んにこの近距離型モバイルi-ROADで、街中でのモニター調査を行っているが、近中距離型モバイルのいわゆるEVと、どちらが先に市場に受け入れられるものかと興味を持ってみている。今まで紹介しているVWダイムラーBMW電気自動車はすべからくこの範疇にはいるEVだろうと勝手に想像しているが、当然充電施設などの社会インフラとの関係も重要な要素となるが、現状の人様(ひとさま)の生活ぶりを鑑みるに、近中距離型モバイルに軍配が上がるのではないのかな、と勘ぐっている。

 

トヨタは昨年もモニター調査を行っていたが、今年も又行うようだ。

(続く)