もしここにあるように2017年にも日産・ルノーがこの「空気アルミニウム電池」を、搭載して売り出したとしたら、トヨタの反応はどんなものであろうか。この記事では、「場合によっては2018年ないしは2019年に遅れるかも知れない」ような書きっぷりもあったが、トヨタとしてはあわてることになろう。
それとも、トヨタのほうが早くリチウム・空気電池車を、世に出してくるのか。
また「リチウムイオン電池」でも、いろいろな改良が加えられ高性能化されたものが出でくるのかな。
2020年に向けて急加速、Liイオン電池が次世代に
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/MAG/20140929/379367/?n_cid=nbptec_tecml&rt=nocnt
久米 秀尚=日経エレクトロニクス
2014/10/02 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2014年9月29日号、pp.43-49(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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充電時のLiイオン2次電池の様子を示したイメージ図。電解液(右側)から負極(左側)へ、Li+(橙色球)が移動する。(図:東京大学)
全固体電池やLi空気2次電池など、圧倒的な性能向上が期待できる「革新的電池」。2030年の実現を目指して、世界中の電池技術者が研究開発に力を注いでいる。その一方で、2020年ごろの実用化を見据えた“次世代Liイオン2次電池”の開発が手薄になっていた。ところが最近、全く新しい電解液や材料探索技術などの登場によって、その状況が変わり始めた。自動車市場などの確実な需要を取り込むべく、電池開発が一気に加速しそうだ。
ある電池技術者は警鐘を鳴らす。「先を見すぎてしまっていて、地に足の着いた研究開発がおろそかになっている部分がある」─。電池研究者が“先”と表現しているのは2030年ごろを指す。もちろん、こうした未来を見据えた研究開発は将来の競争力の源泉になる。だが一方で、2020年ごろに確実に形成される市場で求められる“次世代Liイオン2次電池”の開発が「手薄になっている」(上述の電池技術者)のも現実だ。
Liイオン2次電池市場の成長領域として真っ先に挙がるのが、自動車市場である。調査会社の米IHS Automotiveによれば、自動車の世界販売台数は2018年には1億台を超える(図1)。しばらく市場を引っ張るのはガソリン車とハイブリッド車(HEV)である。ガソリン車では、燃費向上のために、低速時にエンジンを停止するアイドリングストップ機構(ISS:idling stop system)の採用が拡大しそうだ。HEVの存在感も着々と高まる。軽自動車にもハイブリッドシステムの適用が始まった注1)。
注1)濃度しきい値は、溶媒やリチウム塩の性質(溶媒和力、解離性、共挿入性、被膜形成能など)にも依存する。
図1 自動車で高まる次世代Liイオン2次電池への期待
2020年ごろの実用化を目指して、次世代のLiイオン2次電池の開発が加速している。特に、販売台数の大半を占めるガソリン車のアイドリング・ストップ・システム向けや、ハイブリッド車/プラグインハイブリッド車の駆動用などに向けた取り組みが進む。(グラフ:IHS Automotiveのデータ)
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今後の自動車市場をけん引するISS搭載のガソリン車やHEVにおいて、重要な役割を担うのが蓄電池である。これまでPb蓄電池やNi水素2次電池が主流だったが、小型・軽量で自己放電やメモリー効果の問題がないLiイオン2次電池への置き換えがいよいよ本格的に進みそうだ。HEVではホンダが全面的にLiイオン2次電池を採用する方針。トヨタ自動車は、現状ではNi水素2次電池を大半のHEVに使っている(「フル稼働が続くNi水素2次電池、開発の手は緩めない」参照)。だが、次期HEVへの搭載を見据え、Liイオン2次電池の量産体制の構築を進める。
電池業界に視線を移すと、確かに2030年ごろの実用化を目指した研究開発は盛んだ。国内外の電池研究者が注力する開発テーマには、「革新的電池」というキーワードが並ぶ。一方、手薄だった2020年ごろに求められる“次世代Liイオン2次電池”に照準を合わせた開発も、ここへ来て活気づいてきた(図2)。
図2 新しい要素技術が必須
次世代Liイオン2次電池に求められる性能は高い。正極/負極材料だけでなく、これまで手付かずだった電解液の革新に期待がかかる。さらに、材料を効率的に探索する技術も求められている。
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(続く)