次世代エコカー・本命は?(99)

しかもこれだけの本数のバッテリを積んでいるから、何かあると火災にもなりやすい。だから早いとこ新型電池の発明が待たれるのである。

 
それに一万個にも及ぶこれだけの大量のバッテリへの充電には、相当の時間が必要となろう。そして次に説明する非接触充電方式に対しては、この「18650」バッテリには対応出来るのであろうか。


・バッテリの非接触充電システムについて

さてもうひとつの二次電池の開発方向は、充電時間の改善である。


これは現在「非接触充電システム」として開発が進められている。これについては、トヨタ2014.2月から一年間の予定で実証実験を開始している。1年間ということなので、現在はすでにその実験は終了している筈なのだが、次の記事を読む限りかなりの制約があるようだ。

 

トヨタ自動車PHVEV向け非接触充電システムの実証実験を愛知県で開始

近岡 裕=日経ものづくり

2014/02/13 17:11

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1◎トヨタ自動車が実証実験を開始する非接触充電システム

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2◎駐車支援機能。ナビ画面上に送電側コイルの位置を表示する

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 トヨタ自動車は、プラグインハイブリッド車PHEV)や電気自動車EV)など電気を使う車両向けの非接触充電システムを開発し、20142月下旬から愛知県内で実証実験を開始する(図1ニュースリリース)。実証実験の結果は、非接触充電システムの実用化に向けた技術開発に生かす計画。

 同県に住むPHEVの所有者の自宅などで3台の車両を使い、当面は実証実験を1年間続けるという。これにより、充電システムの満足度や利便性、駐車の位置ズレ量の分布、充電頻度などを検証する。

 新しい充電システムの充電方式は磁界共鳴方式。地面に設置したコイル(送電側コイル)と車両に搭載したコイル(受電側コイル)の両コイル間における磁界の共鳴現象を利用して車両側に電力を供給する。電磁波による周辺機器などへの影響を抑制するとともに、送電側コイルは車両の乗り上げに耐えられる構造とするなど、実用化を視野に入れた設計を施した。加えて、最適な車両の位置合わせをガイドするために、駐車場に設置した送電側コイルの位置をナビ画面に表示する駐車支援機能も盛り込んだ(図2)。

 使用周波数は85kHzで、入力電圧は交流(AC200V。充電電力は2kWで、充電時間は約90分。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140213/333964/?ref=RL3&n_cid=nbptec_tec00001

 

これによると送電側コイルと受電側コイルの位置合わせが必要となるようなので、走行中の充電などには難点があるように感ずるが、どうせなら走っている間に充電できれば言うことはない。高速道路などにこの送電側コイルがあり、走行中に充電が可能となればまさに御の字だがちょっと難しいのか、と思っていると置いていかれてしまうかも。

 

ワイヤレス給電を深掘りしてみよう。

  

動き出した自動車向けのワイヤレス給電(前編)過去数年の動きを振り返る

久米 秀尚

2015/03/09 11:00

 

 無線で電力を伝送するワイヤレス給電技術。既にスマートフォンなどの携帯機器では製品化済みだが、自動車でもいよいよ実用化のフェーズに突入する(関連するセミナー)。国際標準規格化の議論が大詰めを迎えており、201556にも方向性が固まるためだ。

 これにより、自動車が止まった状態でのワイヤレス給電技術を用いた充電(定点充電)機能を市販車に搭載する環境が整う。本稿では、自動車向けのワイヤレス給電技術を巡るここ数年の動きを振り返ることにする。

 201311、電動車両向けのワイヤレス給電が、実用化に向けて大きく1前進した。米自動車技術会(SAE)が電動車両向けのワイヤレス給電に用いる周波数帯域で、85kHz帯(81.38k90.00kHzを用いることで合意したと発表したのだ(図1)。ワイヤレス給電に使用する周波数帯域を巡っては、長年白熱した議論が続き、実用化を進める上でボトルネックとなっていた。

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1 米自動車技術会(SAE)が電動車両向けのワイヤレス給電で85kHz帯(81.38k90.00kHz)周波数帯域として用いると発表した資料 

 このとき合意に至った85kHz帯は、日本の自動車メーカー各社や米Qualcomm社などが主張した周波数帯域である。SAEが策定するワイヤレス給電向けの規格「SAE J2954」では、最大出力が3.7kW(一般家庭)、7.7kW(公共)、22kW(急速充電)、200kW(大型車)の4種類を規格に盛り込む方針という。

f:id:altairposeidon:20150415234732j:plain2 日産自動車2012年に公開したEVセダン「LEコンセプト」


 「2年以内に実用化する」――。日産自動車20124月に、開催された「ニューヨークオートショー」で、2年以内に発売するEVにワイヤレス給電技術を採用すると宣言している。「Infiniti」ブランドから発売予定の電気自動車EV)セダン「LEコンセプト」を世界初公開した(図2)。量産車として世界初となる電磁誘導方式のワイヤレス給電システムを標準装備するとしていた(関連記事1)。(リーフは2010.12に発売、i-MIEV2010.4に一般に発売されている。)

 日産自動車は、2011年に提携先のフランスRenault社と共に2016年度までにEVを累計150万台販売すると発表していた。だが、20143月末でのEVの累計販売台数は、日産自動車11万台とRenault社の4万台を合わせた15万台にとどまっていた。EVの販売が計画よりも大幅に下回ったこともあり、Infinitiブランドからの新型EVの投入、そしてワイヤレス給電システムの実用化が後ろ倒しになっている状況である。だが、水面下では取り組みは続いている。

(続く)