次世代エコカー・本命は?(105)

白金の使用量低減から白金の代替触媒開発、更には人口触媒発明にまで言及しているので、そのうちに白金に代わる画期的な触媒も開発されることになるであろう。これが技術革新である。日進月歩とは言うがそれほど早く開発されるほど簡単なことではない。だから燃料電池車の普及時期としては、2020年から2030年と言う。場合によっては2040年にまで伸びてしまうかもしれない。先の走行中給電の実用化も2030年頃といっていたので、白金に代わる新触媒の開発と走行中給電の実用化とは、いい勝負と言ったところか。

 

だからと言ってイーロン・マスクの言う「燃料電池は馬鹿電池」と言われるほど、馬鹿ではない。この上ない「クール電池」なのである。


水素にしても簡単な方法で、と言うよりも水の電気分解装置を小さくパッケージしたものだが、いずれにしても簡便に水から作り出せる方法も考え出されているようだ。

 

電気自動車:水素を「水」から作り出す、四畳半のステーション

» 201409221100分 更新
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1409/22/news038.html

ホンダは20149月、さいたま市岩谷産業と共同で燃料電池車に水素を供給する独自の水素ステーションを設置した。特徴は2つ。水と電気だけを用いて、その場で水素を製造できること。ステーション全体を1つの小規模な「箱」に収めたこと。水素ステーションの大量普及に備えた形だ。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 

 ホンダは20149さいたま市岩谷産業と共同で燃料電池車に水素を供給する独自のステーションを設置した(図1、図2)。「パッケージ型スマート水素ステーション」と呼ぶ。

 リース販売中のホンダの燃料電池車「FCXクラリティ」に水素を充填できる1。「当社の燃料電池車だけではなく、他社の燃料電池車にも水素を供給可能だ」(ホンダ)。


1 さいたま市見沼区と設備の設置位置

1さいたま市東部環境センター(さいたま市見沼区膝子)内に設置した。商用サービスではなく、実証実験という位置付けだ。経済産業省による燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業の対象とはなっていない(補助金を受けていない)。なお、同センターでは、ゴミ焼却の余熱を利用した廃棄物発電を実施しており、その電力で水素を製造している。

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2 パッケージ型スマート水素ステーション(左)と燃料電池FCXクラリティ 出典:ホンダ

水と電気だけで水素を製造、設備をポンと置くだけ

 特徴は大きく2つある。まず、水と電気だけを用い、その場で水素を製造できることだ。「装置に5560kWhの電力を与えると、水素を1kg製造できる。使用する水の量は公開していないものの、分子量から計算すると9kgになる」(ホンダ)。水素を外部からステーションに運び込んだり都市ガスを改質して水素を作り出す場合に比べて、設置場所を選びやすい。例えば離島でも導入可能だ。

 もう1つの特徴は、ステーション全体を図2のように1つの小規模な「箱」に収めたことだ。パッケージ型と呼ぶ。高圧水素タンクや充填ノズルなど主要構成部位を全てパッケージ型に収納したシステムは世界初だと主張する。

 ホンダは20123月、2年間の実証実験のため、さいたま県庁に「ソーラー水素ステーション」を設置している。水素を作り出す仕組みや製造能力は今回と同様だ。今回はパッケージ化(小型化)できたことが新しい(図3)。設置面積を25分の1にできた。


3 既存の水素ステーションとの比較 出典:ホンダ

 パッケージの専有面積は約2.4m×3.2m。四畳半程度の面積だ。設置場所を選びやすいことに加えて、設置工事が容易になるという利点がある。大量普及時に有利だろう。「あらかじめコンクリート土台を作り、水道管と200Vの電力線が引き込まれていれば、すぐに設置できる。パッケージを運び込んでクレーンで持ち上げ、据え付けるだけだ。今回も1日で作業が終わった」(ホンダ)。

 ホンダの水素ステーションには技術的な強みもある。

独自の高圧水電解システムが強み

 「当社が開発・製造した『高圧水電解システム」の他、複数の部品を用いて岩谷産業がパッケージを製造した」(ホンダ)。つまり、ホンダの強みは高圧水電解システムにある。水を電気分解して水素を製造する装置だ。

 特徴は常圧の水を注入して、35気圧(35MPa、メガパスカルの水素を直接得ること。製造した水素を高圧タンクに蓄積する際、コンプレッサーで圧縮する必要がない。同社が2010年に発表した研究結果によれば、太陽電池で電力を得て、加圧しない通常の水電解システムで水素を製造すると、得た電力量のうち、約20%をコンプレッサーと除湿用のヒーターで使うことが分かったという2。これは電気分解の際に無駄になる電力量よりも大きい。

2) 「ホンダのソーラー水素ステーションSHS)開発の取り組み」、水素エネルギー協会機関誌、Vol.35 No.32010)「水素ステーションの現状と課題」

(続く)