その違いは、走りながら電気を作れるかどうか、と言うことである。FCEVは水素を補給すれば電気を作り続けることが出来るが、BEVはバッテリーの電気を消耗すれば走れなくなってしまう。その上電気の充電には数時間を要してしまうので、続けて使うことは出来ないし実用航続距離も高々数十キロ程度である。FCEVの水素補充は僅か数分で済んでしまうが、その水素を充填する設備・水素ステーションはガソリンスタンドほどあるわけではないが、現在鋭意設置中だ。しかしFCEVは600~700kmの航続距離があるので、2015年中にはそれほど不便を感じなくなるであろう。と言ったところがFCEVのEVに対する優位点である。
さて次は「間違いだらけのクルマ選び」と言う書物の話に移ろう。この共著者である徳大寺有恒氏は2014年10月に伊豆の修善寺での「ミライ」の試乗会で、試乗体験をしている。助手席からのインプレッションと断っているが、燃料電池をものにしたこともさることながら、クルマそのものの出来の良さにも、好印象を述べている。そしてこの書物の原稿を書き終えた直後の2014.11.7に、急性硬膜下血腫という病で急逝されている。74歳だという、合掌。
この書物ではEVやFCVと言う新しいパワートレインについても、一章を設けている。
この章はもう一人の共著者である島下泰久氏の担当であるが、EVやFCVは「次世代」のパワートレインではなく、「i-MIEV」「リーフ」が量販され燃料電池車「ミライ」が市販された以上、EVやFCVは「新世代」のパワートレインとすべき状況になっている、と述べている。まあ、EVやFCVがこのように市販されている以上、一般人の我々の身近になってきたことは確かである。
(9)「間違いだらけのクルマ選び」について
「間違いだらけのクルマ選び」は、1976年(昭和51年)に、故徳大寺有恒氏が株式会社草思社から発行した「クルマ評論」本が最初であり、2014年末には最新刊の「2015版間違いだらけのクルマ選び」が発行されている。
最終版として2006年(H18)版で一旦発行中止となったが、2011年に復活発行されている。2000年~2004年は年2冊の発行で、2011年6月に復活して2011年12月~2013年12月まで発行され、今回と言っても2014年12月に、「2015年版間違いだらけのクルマ選び」が発行されて、草思社のネットによると、これで41冊目となると言う。
小生の上記による計算ではどうしても40冊となってしまうので、もう一年2冊販売年があるのであろう。
小生も初回から同書籍は夢中で読んでいた記憶があるが、間が空いてからは遠ざかっていた。最近こんなブログを続けていたので、思い立って「2015年版間違いだらけのクルマ選び」を遅ればせながら今年の3月に書店で求めて、読んでみた。
さすが昔ほどの興奮は沸いてこなかったが、それなりに面白く読ませてもらった。そして巷の車がそれぞれどんな評価となっているものかと、巻末付録の車種別採点簿にも興味を引かれた。
個別評価項目の合計点と総合評価点との間には、それなりの関係性があるかと思っていたが、眺めているうちに、あながち関係があるともいえないことに気が付いた。
この総合評価は、全体的なクルマの魅力度とも考えられるが、評価項目として「魅力度」が独立しているので、そんなものでもない。また、東京地区標準価格が表示されているので、価格が馬鹿高い「モデルS」が9点と高評価になっているので、価格との関連性もない。また評価項目に「エコ性能」も独立して存在しており、「モデルS」はこれまた9点の高評価となっているので、エコ性能は価格とも関連していない。しかも同じ総合評価が9点の「ランドクルーザー70」とこの「モデルS」との評価項目点の合計は44点と66点と5割ほどの差があるのだ。そのため順位も90車種中44位と1位と相当離れている。丁度中間とトップに位置している車の総合評価が、同じ9点となっている。
総合評価が9点の「ランドクルーザー70」とこの「モデルS」とでは当然クルマの使い勝手は異なっているが、その使われ方に対してのクルマとしての評価は、両車とも9点と最高点が付けられているのならば、評価項目点の合計点に5割もの差があってはおかしいのではないのかな、と感じたのである。
順位で言うと、「ランドクルーザー70」が44位で「モデルS」が1位となっているが、それほどの差があるのはおかしくはないのかな。きっと個別評価と総合評価では、評価する基準が少し違っているのではないか、などと勘ぐってしまう。とすると少し紛らわしい。
中身を読むと「ランドクルーザー70」はヘビーデューティな使用方法の車なので「毎日使うのには骨が折れる」と言う様なことが書かれている。反対に「モデルS」では、「一度満充電にすれば400km以上を余裕で走りきる。・・・とても市販車第2段とは思えない、上質な走りを楽しめる。緊急自動ブレーキ、4輪駆動も遂に用意されたから、もはや足りないものはない。」とベタ褒めであるが、このクルマで山野を跋渉する奴はいない。飽く迄も都市型使用のクルマでの評価点であろう。
とすれば「ランドクルーザー70」の個別評価点は乗用車的観点からの採点では不公平となろう。ヘビーデューティーな採点をすれば、44点よりもっと高くなり総合評価点の9と整合したのではないのかな。反対に「モデルS」をヘビーデューティな採点をすれば、評価項目点はずっと低くなったであろう。誰もそんな評価はしない筈ではあるが。
と言う事は特殊なクルマは、使用目的に即した評価も必要だったのではないのかな。「モデルS」はまさに使用目的に即した評価の結果、最高得点だったと言う事ではなかったかな。そんな(都市型使用の)観点で「ランドクルーザー70」を100%評価した結果が評価項目点だったのではないのかな、などと考えてしまう。言い換えれば、合計点を正とするならば、総合評価が同じ9点を付けるのがおかしくなる、と言うこと。まあ、どんな目的でその車は作られているのか、と言った観点も評価には必要ではないのかな。
だから、総合評価は、いわゆる総合評価点ではないのかもしれない、と言う疑問が沸いてくるのである。
だからこの「総合評価点」は「個別評価項目」の評価の総合ではないのであろう。とすればクルマそのものの「総合評価」とは異なる評価とも思える。ひょっとしたらこの「総合評価」とは評価項目の評価の積み重ねではなくて、島下氏の生活観からくる総合的な好みと言うか、クルマの感覚的な良し悪しの度合いなのかもしれない。
と思って、この「個別評価項目」の合計点Aに総合評価Bを2倍して加えたものA+2BのTotal点を昇順に並べてみた順位も付け加えてみた。
このA昇順と(A+2B)昇順の順位が極端に異なる車種は、評価が分かれるクルマと言うことになろう。感覚的に見てその差が6点以上のものには何らかの評価差異があると勝手に判断して、該当する車種は「同左昇順」欄をピンク色にしておいた(別表参照)。
BMW・i8、アウディA3 e-tron、i-Miev、N-WGN、カムリ、プリウスPHEV、セレナ、は順位を落とし、
ハイエース・バン、プロボックス、ミラ・イース、プリウス、ランドクルーザー70が順位を上げている。この順位を上げた車種はクルマとしての実用価値が予想以上に高く、下げた車種は予想以上に低いのではないか、と島下氏は考えたと小生は勘ぐっている。
次にその評価点の一覧表を掲げるので、じっくり眺めてみてほしい。
その前に次のニュースを急遽、挿入しておく。2015.3.18のNO.78のブログでは、「トヨタのFCVの技術をスバルに提供するのではないか」などと記載しておいたが、スバルではなくてマツダに提供する様だ。マツダには既に(2010年)トヨタのHV技術を提供している。そして2012年にはマツダのメキシコ工場からトヨタ向けに小型車(デミオベース)を、2015年夏より提供することに合意している(http://jp.autoblog.com/2015/04/06/ny-2015-ia-scion-mada2-demio/)。と言うことは相当関係は親密になっていたと言うことか。
トヨタ・マツダ提携拡大で調整 燃料電池車やエンジン技術 相互に活用
2015.5.9 10:13
トヨタ自動車とマツダが提携を拡大する方向で調整していることが9日、わかった。これまでトヨタがハイブリッド車(HV)の技術をマツダに提供してきたが、燃料電池車(FCV)やエンジンの技術などに広げる。世界的に環境規制が強化され、競争も激しくなる中、お互いの得意分野を活用し、生き残りを図る。
トヨタが強みを持つFCVや充電可能なプラグインハイブリッド車(PHV)の技術などをマツダに提供。マツダは「スカイアクティブ」と呼ぶ高出力で低燃費のディーゼルエンジンやガソリンエンジンの技術供与を検討する。部品の共同調達や商用車の供給まで踏み込む可能性もある。
マツダの企業規模ではFCVなどの独自開発は難しいが、米カリフォルニア州でエコカーの販売を義務付ける規制が導入されるなど各国で環境規制が強化される見込みで、トヨタとの連携はメリットが大きい。トヨタとしても“FCV陣営”の拡大につながる。
トヨタはHVなどの環境技術を得意とし、昨年に世界で初めてFCVの量販を開始した。だが、従来型エンジンの性能向上ではマツダが先行しており、技術供与によって品ぞろえを強化できる。
両社は平成22年(2010年)にトヨタがマツダにHV技術を供与することで合意。24年(2012年)にはマツダのメキシコ工場で小型車をトヨタ向けに生産することを決め、今年から供給(2015年)する。一定の成果が出ており、関係強化に動く。
自動車業界では分野ごとの提携が加速している。トヨタは独BMWとFCVを共同開発、日産自動車・仏ルノー連合と独ダイムラーは小型車や大型車の生産で協力する。世界で事業展開し、次世代技術などの開発に巨額の資金が必要になる中、限られた経営資源を有効活用する狙いがある。
http://www.sankei.com/economy/news/150509/ecn1505090021-n2.html
次のブログも参照されるとよい。
【NYオートショー2015】マツダが作ったトヨタ車!? 「デミオ」ベースのサイオン「iA」登場!!
2015年04月06日 16時00分
http://jp.autoblog.com/2015/04/06/ny-2015-ia-scion-mada2-demio/
(続く)