戦後70年談話はヒストリーで!(1)

20153月に米国のシカゴで「アジア研究協会AAS」の定期大会が開かれた。

 

Association for Asian Studiesは米国のアジアを専門とする研究者の自称最大の学術団体で、毎年異なる都市で4日間の年次大会を開いている、とWikipediaに書かれている。今年はChicagoシカゴで開かれ、来年はSeattleシアトルで2016.3.31~4.3に開催される。

 

そこで安倍首相の「戦後70年談話」を想定して、『「日本の過去の植民地支配と侵略」について真摯に反省して、清算をするべきだ』と言う主旨の声明が作られた。

 

そこには「この問題は、日本だけでなく、韓国と中国民族主義的な暴言によっても、あまりにゆがめられてきました」との記述があり、韓国や中国の責任の一端があると言う主旨も盛り込まれているが、一見全方位的な扱いの有様を繕ってはいるが、明らかに安倍首相の発表しようとしている「戦後70年談話」への圧力を強めようとするものであった。


この声明は2015.5.4に、安倍晋三首相に送付されたと言う。

 

20153月の年次大会で議論されたものが、なぜ2カ月も遅れて送付されてきたのかと一瞬疑問を感じたが、その賛同者の数を確保するのに時間が掛かったものと納得がいった。その賛同者の数は、驚くなかれ日本の事を研究する欧米の研究者187人である。その中には馬鹿なことに日本人の名前も入っている。

 

彼らは一堂に会して議論してこの声明を作ったものではない。メールを駆使して広範な議論を行い、この声明をまとめたとも言っている。だから、数人の馬鹿な学者が、中国韓国から金を貰って、たぶん韓国から金を貰って作ったものと推定される。そのため各種の画策に相当の時間が掛かっていたのであろう。

 

先ずはその声明を読んでほしい。

 

日本研究者:欧米の187人が安倍首相に送付した「日本の歴史家を支持する声明」全文

20150512

http://mainichi.jp/feature/news/20150512mog00m040022000c.html

 欧米の日本研究者ら187人が4日、安倍晋三首相に対し、戦後70年の今年を過去の植民地支配や侵略の過ちを認める機会にするよう求める声明を送付した。声明の全文は以下の通り(原文のまま)。

     ◇

日本の歴史家を支持する声明

 下記に署名した日本研究者は、日本の多くの勇気ある歴史家が、アジアでの第二次世界大戦に対する正確で公正な歴史を求めていることに対し、心からの賛意を表明するものであります。私たちの多くにとって、日本は研究の対象であるのみならず、第二の故郷でもあります。この声明は、日本と東アジアの歴史をいかに研究し、いかに記憶していくべきなのかについて、われわれが共有する関心から発せられたものです。

 また、この声明は戦後七〇年という重要な記念の年にあたり、日本とその隣国のあいだに七〇年間守られてきた平和を祝うためのものでもあります。戦後日本が守ってきた民主主義、自衛隊への文民統制、警察権の節度ある運用と、政治的な寛容さは、日本が科学に貢献し他国に寛大な援助を行ってきたことと合わせ、全てが世界の祝福に値するものです。

 しかし、これらの成果が世界から祝福を受けるにあたっては、障害となるものがあることを認めざるをえません。それは歴史解釈の問題であります。その中でも、争いごとの原因となっている最も深刻な問題のひとつに、いわゆる慰安婦」制度の問題があります。この問題は、日本だけでなく、韓国と中国の民族主義的な暴言によっても、あまりにゆがめられてきました。そのために、政治家やジャーナリストのみならず、多くの研究者もまた、歴史学的な考察の究極の目的であるべき、人間と社会を支える基本的な条件を理解し、その向上にたえず努めるということを見失ってしまっているかのようです。

 元「慰安婦」の被害者としての苦しみがその国の民族主義的な目的のために利用されるとすれば、それは問題の国際的解決をより難しくするのみならず、被害者自身の尊厳をさらに侮辱することにもなります。しかし、同時に、彼女たちの身に起こったことを否定したり、過小なものとして無視したりすることも、また受け入れることはできません。二〇世紀に繰り広げられた数々の戦時における性的暴力と軍隊にまつわる売春のなかでも、「慰安婦」制度はその規模の大きさと、軍隊による組織的な管理が行われたという点において、そして日本の植民地と占領地から、貧しく弱い立場にいた若い女性を搾取したという点において、特筆すべきものであります。

 「正しい歴史」への簡単な道はありません。日本帝国の軍関係資料のかなりの部分は破棄されましたし、各地から女性を調達した業者の行動はそもそも記録されていなかったかもしれません。しかし、女性の移送と「慰安所」の管理に対する日本軍の関与を明らかにする資料は歴史家によって相当発掘されていますし、被害者の証言にも重要な証拠が含まれています。確かに彼女たちの証言はさまざまで、記憶もそれ自体は一貫性をもっていません。しかしその証言は全体として心に訴えるものであり、また元兵士その他の証言だけでなく、公的資料によっても裏付けられています。

 「慰安婦」の正確な数について、歴史家の意見は分かれていますが、恐らく、永久に正確な数字が確定されることはないでしょう。確かに、信用できる被害者数を見積もることも重要です。しかし、最終的に何万人であろうと何十万人であろうと、いかなる数にその判断が落ち着こうとも、日本帝国とその戦場となった地域において、女性たちがその尊厳を奪われたという歴史の事実を変えることはできません。

 歴史家の中には、日本軍が直接関与していた度合いについて、女性が「強制的」に「慰安婦」になったのかどうかという問題について、異論を唱える方もいます。しかし、大勢の女性が自己の意思に反して拘束され、恐ろしい暴力にさらされたことは、既に資料と証言が明らかにしている通りです。特定の用語に焦点をあてて狭い法律的議論を重ねることや、被害者の証言に反論するためにきわめて限定された資料にこだわることは、被害者が被った残忍な行為から目を背け、彼女たちを搾取した非人道的制度を取り巻く、より広い文脈を無視することにほかなりません


(続く)