続・戦後70年談話はヒストリーで(31)

そしてこの「パラダイムシフト」の話は2009.3.9に終了しているが、その続きは小生の2009.3.16のブログ「尖閣諸島問題(1)」へと続けたのである。ここではその「パラダイムシフト」のまとめをしているので、頭の整理も兼ねてそれを再掲しよう。

 

先のテーマでは、日本は過去3回の「パラダイム・シフト」を成し遂げてきたことを述べた。そして現在は、アメリカの一極構造の国際情勢が崩れて多極構造化した。そしてこのアメリカの押さえが利かなくなった多極国際構造の中で、日米安保体制と言えども安泰ではなくなり、このままの状況では日本はサバイバル出来なくなってきている、と言うことを説明した。

 

このままの状況とは、アメリカの圧力に屈し続けて自主防衛能力を持てない、と言う状況のことである。日本の隣には、中国と言う屈強な共産主義国家が存在する。中国は日本を併合したくて、したくて切歯扼腕している国なのである。事実1995年に、中国の首相を務めた李鵬 がオーストラリアのポール・キーティング首相に、「日本と言う国は40年後には無くなってしまうかもわからない」とか「30年もしたら日本は大体つぶれるだろう」(だからあんまり深く日本とは付き合うな)、と述べている。もちろん「中国が日本を併合するから」である。

 

このような事態を避けるためには、日本は「第4のパラダイム・シフト」をしなければならない。日本が生き延びるためには、「日本が自主防衛する」ことが必要であり、自主防衛すると言うことは、「自主的に核抑止力を持ち、米国への依存度を減らし同盟関係を多極化する」と言うことが必要なのである。このような「第4のパラダイム・シフト」をしなければ、日本は、チベットウイグルのように中国の属国となってしまうからである。


なぜこのような「パラダイム・シフト」をしなければならないかと言うと、国際政治には四つの重要なポイントが機能しており、日本は将にそのポイントにもてあそばれているからである。


第一に「国際社会は、本質的に無政府状態であり」、強国が弱小国を占領・併合しても誰もそれを罰することが出来ないと言うことである。そのため、

 

第二には、「国家にとって生き残ることが最も大切な仕事」となるのである。そのために最も重要な仕事は国防政策となるのである。そして、そのため

 

第三には、「自分の国は自分で守る」ことが必要となる。このことは、1919年の国際連盟規約委員会におけるアメリカの裏切りにより、日本は「人種差別撤廃条項」を葬り去られ、さらには、1945年には、アメリカ・ルーズベルトとイギリス・チャーチルがそそのかし、ソ連スターリンは1941年に締結した「日ソ中立条約」を踏みにじり、日本領であった満州国及び南樺太千島列島へ奇襲攻撃を仕掛けた。そのため中国残留孤児問題、シベリヤ抑留問題、北方領土問題が発生したのであるが、このように条約や同盟関係は当てにならないのであり、日米安保条約があっても結局は、自国のサバイバルは自分で確保し保障するしかないのである。

 

現在の日本はこれらのポイントに対して、全くの無防備の状態に置かれているのであり、この状態が続いてゆけば、日本は将に中国に併合されてしまうことになってしまう。


そしてこのことに対処するには、

第四に、外交政策は、怜悧・冷徹な「バランス・オブ・パワー計算とコスト・ベネフィット計算」で決しなければならない、と言うことである。

 

アメリカと言えども永久に日本を守ることはしないし、現にアメリカは日本を永久に無防備の状態にしておこうとしている。

 

ここから日本が導き出さなければならない結論は、上述したように「第四のパラダイム・シフト」を決行して、


・自主的な核抑止力を持ち、自主防衛能力を構築することであり、さらに

同盟関係を多角化して、

軍事技術の確保も多角化することである。


と言うことを説明した。そしてこのことが如実にわかる現実が、尖閣諸島問題である。将に国際社会が無政府状態で誰も咎めることをしないことをよいことに、日本の固有の領土である尖閣諸島中国は併合しようとしているのである。否、尖閣諸島どころか、中国は、日本そのものを支配下におくつもりなのだ。その状況を以下説明してゆきたい。



 

今年2015年になって中国による南沙諸島のファイアリー・クロス礁(永暑礁)やジョンソン南礁赤瓜礁)などを埋め立てて、三千m級の滑走路まで作ってしまった。将にこのことが現実となってしまっている。

 

これもオバマの弱気のなせる業であったのであるが、以上述べてきたオバマの中国に対する態度などは2014年時点のものであるが、ここに来て(ちょっと遅きに失してはいるが)事情は少しずつ変わっていているようだ。中国へ強く当たりだしてきたいる様だ。

 

オバマ政権の間違った現状認識のために揺れ動き、弱体化していた日米同盟も、堅固さを示すようになってきているのだ。「日米同盟は強まった」とする『Voice』(PHP研究所)の2015年10月号の古森義久の論文には、そのことがつぶさに記載されている。その内容を紹介しながら、如何に「日米同盟」は強まったのかを記述してみよう。

 

先ずは今年2015.4.29(米国時間)の、アメリカ議会上下両院合同会議での安倍首相の演説である。これが大成功であった。このことを古森氏は次のように述べている。

(続く)