続・戦後70年談話はヒストリーで!(32)

・・・この安倍演説は日米同盟緊密化の動因であり、結果だったと言える。

 

安倍演説についてはもう日米双方で山のような論評が述べられてきたが、この演説は日米同盟の強化と言う観点から間違いなく大成功だったと言えよう。この点で同演説は戦後日米関係史に大きな転換点を刻んだと述べても過言ではないだろう。

 

演説は、上下両院議員の大多数である500余人が着席して耳を傾ける中で四十五分にわたった。議員たちが起立して厚い拍手を送るスタンディング・オベイションは数えきれないほどだった。

 

共和党のベーナー下院議長は「演説は日米同盟の誇り高く歴史的な転機となった」と礼賛した。民主党のバイデン副大統領(上院議長)は「アジア諸国に共感を示したことに最も好感を持った」と述べた。民主党のモンデール元副大統領(元駐日大使)は「Aプラスの最高評価の演説であり、安倍首相の訪米全体が大成功だった」と絶賛した。共和党の重鎮のマケイン上院議員は「日米の歴史の共有による和解を知らしめる歴史的な演説だった」と評価した。

・・・


 

それから安倍政権が推進する「平和安保法制法案」にも、アメリカは早くから賛同していた。このことが東アジアの安定と民主主義を守ることにつながる、と考えられているのである。このことも「ウォールストリート・ジャーナル」の7/18付け社説を引用しながら、次のように述べている。


 

・・・日本が安保体制を変えねばならない切迫した理由は中国の軍事的な台頭とアジア地域での侵略的な行動であり、アメリカの国防費の削減だといえる。日本はアメリカ、フィリピンや韓国とより緊密に防衛行動を進めねばならない。

 

集団的自衛権の行使は、第2次対戦以来の日本の平和と安定の推進での模範的な実績を汚すことはない。それどころか集団的自衛権の行使容認は、日本に民主主義と規則に基づく国際秩序を防衛する責任をより多く負うことを可能にするだろう。・・・


 

この背景には当然オバマ政権の対中姿勢の変化がある。中国は、米軍を仮想敵国としてその軍備を、強烈に増強している。中国人民解放軍の専門部隊が主役のアメリカへのサイバー攻撃、更には国際規範を無視した海洋進出などは、言ってみればオバマ政権の対中姿勢の軟弱さが惹き起こしたものである。

 

遂にオバマも、中国を名指しで非難した。2015.7.1に発表した「国家軍事戦略」では、「中国の行動はアジア太平洋の緊張を高める危険なものだ」と警告し、特に「南シナ海での中国の行動や主張は国際法に反する」と非難したのである。

 

また次の三点でも、古森氏は日米同盟の緊密化を実感できる出来事であったと、結論付けている。

 

1つは2015.3.27自民党高村正彦副総裁の演説である。これはワシントンの大手研究機関、戦略国際問題研究所(CSIS)での日米安保関係のシンポジウムにおける基調演説であった。

 

高村氏の理路整然とした演説は非常に説得力があり、大きな拍手が沸き続けたという。そして日ごろ出る中国や韓国の研究者などからの文句も、ぴたりと鳴りを潜めたと言う。小森氏は、日本政府代表へのこの反応は異例だった、と述べている。

 

2つ目は2015.7.16にこの戦略国際問題研究所(CSIS)での、自衛隊の河野克俊統合幕僚長の講演であった。タイトルは「日米同盟の推移と前進」と言うものであった。大勢の米側聴衆を前に、日米同盟の強化を堂々と述べたものであった。

 

3つ目は海上自衛隊の武居智久幕僚長のワシントンでの講演であった。それは2015.7.29に、民主党系の有力研究機関「カーネギー国際平和財団」での一般向けの講演であったが、この講演も盛況であった。

 

この二つの講演では、日米の制服組がずらりと並んでいたと言う。長年のこのような緊密な交流は皆無であり、日米同盟の緊密化を示すものと森氏は実感できたと述べている。

 

米軍と自衛隊との連携の緊密化はこのように、戦後70年を過ぎて進んでいるのは、確かであろう。

 

しかしだからといってオバマが、日本固有の領土である尖閣諸島を中国の攻撃から必ず守ってくるとは限らないのである。

 

そこが問題なのである。

 

むしろ我々が失望だ。米国はちゃんと中国にものが言えないようになっている。中国への言い訳として(失望と)言ったにすぎないと指摘。「同盟関係の日本をなぜ大事にしないのか

 

日本は、アメリカとの同盟関係を強固なものだと、信頼してはいけないのだ。だから自力で自国は守ることを考える必要がある。それも早急に核武装も検討することだ。さもなくば日本は滅びてしまう。}

 

これは2015.10.5のこのブログのNO.23で述べた結論である。確かに日米同盟は緊密化している、しかしだからと言って自国の安全保障を完全に他国に委ねてしまってよいものか、考えることが必須である。


 

日米同盟が緊密化していると言っても、それは表面的なことだけではないのか。アメリカの日本に対する哲学と言うか扱い方にまで、波及してきているものとは到底実感できないのだ。

 

それは、アメリカの哲学が次のようなものであるからである。と言うことはアメリカの属国状態にある日本に対しての、アメリカの態度である、と言うことではないのか。

 

かなり古いが2009年の考察を載せてこのテーマを終えよう。(まだこのURLは生きています。)

(続く)