ならず者国家・中国、アレコレ!(15)

浜の真砂は尽きるとも、中国に汚職の種は…

 これらの事実は反貪局による取り調べの中で李存要が供述したものであり、その供述を裏付けた重要な証拠が、李存要が克明に書き記していた『贈賄メモ』であった。なお、李存要は1審判決を不服として“昆明市中級人民法院地方裁判所)”へ上告した。その結果、201548日に下された2審判決は、1審の懲役5年は重すぎるとしてくつがえし、改めて李存要に対して懲役2年が言い渡された。これで李存要の量刑は懲役2年で確定したのだった。なお、何先亮以下6人の団結中隊の隊員たちは収賄罪により別途処罰された。

 上記の内容から分かることは、トラもハエも、それぞれが持つ権力を活かして利益を得ることに何ら疑問も持たず、当然と考えていることである。その権力の大小は別として、一度権力を握れば、その権力を大いに活用して稼ぐ、それが中国の長い歴史を通じて培われた伝統なのだ。従い、習近平がどんなに厳しく汚職撲滅運動を展開しようとも、一朝一夕に汚職が無くなることはない石川五右衛門のせりふを借りれば、「浜の真砂は尽きるとも、世に汚職の種は尽きまじ」となるが、汚職撲滅運動が一段落すれば、物影に身を潜めていた汚職役人がまたぞろ息を吹き返すに違いない。中国ではそれが自然の摂理なのだ。

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」

日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20150513/281088/?n_cid=nbpnbo_mlt&rt=nocnt


 

まあ天津大爆発の原因が明らかに人災であることがわかったことでしょう。いわゆる汚職による安全無視、金儲け主義がその根源的な原因であった。

 

中国社会では、賄賂が事を円滑に運ぶためのビタミンであり、不可欠な酵素なのである。だから法の支配なんぞは空制度であり、誰も法律なんぞは守らないし守れないのであろう。

 

と言うことは国民のために政治を行う、否人民のために政(まつりごと)を行うのではなくて、自分の懐を肥やすために政を行うことが、中国では常態化しているようである。

 

さてこの浜海新区の開発計画は、「中国のマンハッタン」を目指して鳴り物入りで進められたプロジェクトであったが、この大爆発で期せずして天津市の開発計画の頓挫、財政破綻、ゴーストタウン化などがより明らかになってしまった。

 

ちなみにこの浜海新区はその昔「塘沽(たんくー)」と呼ばれていた地区なのである。塘沽とは満州事変の終結の協定が結ばれたところである。いわゆる「塘沽停戦協定」である。この件は小生ブログ「支那事変の真相(11~15)」(2013.2.18~2.25)等でも言及しているので、参照されるとよい。


 

その天津のゴーストタウン(鬼城)の状況は、2014.5.28付けの次の論考を参照するとよい。ゴーストタウン振りがよく判る。ゴーストタウン(鬼城)は、今に始まったことではないようだ。


 

中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス
天津にゴーストタウン、5兆元が泡
始まったバブル崩壊、対策は政治改革のみ

2014528日(水)  福島 香織

 5月中旬に天津を訪れた。北京から高速鉄道30分。港湾やコンテナターミナルが集中する唐沽地区まで1時間。首都北京に一番近い直轄市であり、東京と横浜のような関係に例えられる副都心である。その天津にわざわざ出向いたのは、天津市が事実上財政破たんとなっている、というニュースがちょうど話題になっていたからだ。「中国の未来のマンハッタン」を目指して鳴り物入りで開発されていたはずの響螺湾ビジネス区の工事が軒並み停止しており、中国最大規模のゴーストタウンが現れているとか。天津市だけでも7つのゴーストタウンが出来ているとか。本当かどうか、自分の目で確かめてみようと思ったのだ。

北京至近の直轄市、「絶対こけない開発」のはずが……

 ちょうど朝から雨模様の陰気な日だった。唐沽まで高速鉄道で行き、タクシーでまずは響螺湾ビジネス区に向かう。いわゆる浜海新区センタービジネス区のハイライトとなる開発地域で面積1.1平方キロ、総建設面積560万平方メートル、ビジネス、ショッピング、金融、コンベンション、観光などの機能が一体化した浜海地区の活力地帯、といった紹介記事が201211の人民中国誌に掲載されていた。その当時は初期規模の街並みがすでにでき、一部「億元ビル」には企業誘致が始まっているということだった。

 だが、タクシー運転手に「ここが響螺湾ビジネス区」と連れてこられたのは、荒涼と静まり返った建築現場だった。小雨のけぶる向こうに、亡霊のように立ち並ぶ建設途中のビル群が見える。人の気配はなく、だだっぴろい道路は車が片手で数えられるほどしか通っていない。外見の建設が終わっているビルも、内装は未完成のまま。動いている建築現場はないかと、運転手にぐるぐるビジネス区内を走りまわってもらったが、行けども行けども、ゴーストタウン。ようやく見つけた現場作業員風の人に尋ねると、「給料をもらえないのに、作業する奴はいない。ここらあたり、もう2年くらい止まっているよ」と言い捨てた。

 中国の場合、工事が数年止まっても、しばらくしてから息を吹き返したようにプロジェクトが動き出すケースはある。資金が一時的に尽きて、23年現場放置、なんて言う事態は珍しくはないのだが、驚きは、ここが天津市浜海新区である、ということなのだ。首都北京から高速鉄道1時間以内、渤海湾に面した最高の立地にあり、温家宝前首相の故郷で、現副首相、党中央政治局常務委員という指導グループの一人である張高麗がつい1年前まで市党委書記として開発の音頭を取っていた。絶対こけない開発プロジェクト、とまで言われた天津市浜海新区であるということなのだ。

 ちなみに浜海新区は総面積2270平方キロ、東京都がすっぽりおさまる広大な開発区で、ここにできる中国初のエコシティ建設には確かスマートグリッド方面で日系企業もいくつかかかわっていたはずだ。響螺湾ビジネス区を抜けても荒涼とした風景は続いていた。浜海新区のかなりの部分が工事停止に陥っているようだった。

公費600億元が消え、大ボス官僚は自殺

 天津市響螺湾ビジネス区のゴーストタウン化を写真付きで大々的に報じたのは独立系総合経済誌・財経だ。それによると、2006年から鳴り物入りで開発のゴーサインが出た同区では、今年夏までに地方政府および中央企業の投資で完成する予定の48棟の高層ビルプロジェクトのうち、実際に完成したのは2棟だけ。いくつかのビルは30億元以上のプロジェクトだったが、基礎用の穴を掘った段階で工事が止まっている。このほか、20棟ばかりのビルがすでに竣工しているのだが、いずれも無人。管理が行き届いておらず、外壁が崩れ始めている。

 海浜新区政府の財務上の統計によれば、2007年にこの区に投じられた政府ローンだけで500億元を超え、加えて国家予算から100億元が投じられていた。つまり政府系の投資だけで600億元が投じられている。響螺湾を中心とした3.2平方キロメートルの地域への投資は07年上半期だけで300億元。天津市の他の開発区、保税区、高新区の財政収入は239.4億元、財政支出118億元。財経の見出しは「600億元投じてゴーストタウンを造った」だった。

 天津のゴーストタウン問題は数年前からちらちらと話題には出ていたが、中国メディアが特に注目するようになったのは、天津TEDA(経済技術開発区)投資信託公司の前会長で、天津市政治協商委員劉恵文氏419日に自宅で自殺した事件がきかっけだ。浜海新区開発の旗振り役であり、天津金融界の大ボス的存在の官僚だ。正式に自殺とは報道されていないが、長らくうつ病だったと伝えられていた。詳報がないものだから、新区開発の失敗、あるいは汚職の責任問題で追い詰められていたのではないかという憶測が流れた。

 ちなみに地方官僚の自殺習近平政権になって急激に増えており、昨年1月から今年4月まで不審死した官僚は54人、うち自殺は23人に上る。都市開発の資金繰りに失敗したり、汚職問題が背景にあると指摘されている。

 劉氏自殺事件に続いて、421日、「天津投資詐欺事件」が明るみに出た。全国各地、3000人の被害者が天津市の陳情局に詰めかけ、この騒動が微博などに流れたのだ。

(続く)