(4)VWはなぜ排ガス不正に手を染めたのか?
あのVWが排ガス規制を逃れるために、ディーゼルエンジンに違法ソフトを搭載していたと言う。
折りしも2015/1~6月の世界販売台数で、VWがトヨタを抜きトップに躍り出た直後の出来事だった。
VWが504万台(0.5%減)、トヨタが502万2千台(1.5%減)と、両社とも対前年比マイナスとなっているが、VWの方がマイナス幅は少なく初めてトヨタを抜いて(上半期だけだが)トップに立ったのだった。
しかしVWのこの排ガス不正を引き起こしたことには、この拡大路線の戦略が大いに関係している様だ。
トヨタもその拡大路線の悪魔につかまって、豊田章男社長は米下院公聴会にまで呼び出されひどい目にあっている。(2010.3.17のブログ「番外編・プリウス急加速問題(2)」などを参照のこと。)
2009年にGMが経営破綻したのも、拡大路線の途上での出来事だった。
独VWに48万台リコール命令=排ガス規制を不正回避―米EPA
【ニューヨーク時事】米環境保護局(EPA)は(2015年9月)18日、排ガス規制を不正にすり抜ける車を米国で販売したとして、独フォルクスワーゲン(VW)に約48万2000台のリコール(回収・無償修理)を命じたと発表した。同社に大気浄化法違反の通知を送り、調査を開始した。
EPAによると、VWは一部の車種に、当局の排ガス試験を検知した場合のみ、排ガス低減機能を作動させるソフトウエアを搭載。通常走行時には基準の最大40倍の窒素酸化物(NOx)を排出していたという。
リコール対象となるのは、4気筒ディーゼルエンジンを搭載した2009〜15年型の「ビートル」や「ゴルフ」など5車種。
VWは調査に協力中とした上で、「対象車の所有者は現時点で何か行動する必要はない」と述べた。
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-150919X328.html
独VWが米排ガス試験を違法クリア
2015.9.19 10:05
フォルクスワーゲンが米国で販売した2015年型「ゴルフ」のディーゼル車(同社提供・共同)
米環境保護局(EPA)は18日、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)と傘下のアウディの一部ディーゼルエンジン搭載車が、排ガス規制に関する試験をクリアするために違法ソフトウエアを用いていたと発表した。米メディアによると、大気浄化の法令違反でVW側に最大約180億ドル(約2兆1600億円)の民事制裁金を科す可能性がある。
米国で販売された計約48万2千台が対象だ。EPAによると、このソフトウエアを使うと、試験時には排ガス浄化機能がフル稼働して基準を満たす一方で、実際の運転時には機能が大きく低下する。通常走行時に、窒素酸化物(NOx)が基準の最大40倍になる場合もあるという。(共同)
http://www.sankei.com/economy/news/150919/ecn1509190014-n1.html
大気浄化法違反で米国環境保護局EPA(United State Environmental Protection Agency)がVWをやり玉に挙げたのは、2015.9.18であるが、当然違反事案は一年以上前にはわかっていた。
2012年 ICCT(後述)が WV大学のCAFEE(後述)に排出基準
テストを委託この間何度も何度もテストを繰り返したうえ
↓ で、「VWの不正を確信」
2014年3月 CAFEEが サンディエゴで公開討論会、VW車の排ガス測定
2015.9.18 EPAがVWの排ガス不正を公表、違法ソフトを搭載
2008年~48.2万台。
2015.9.22 VW社声明、該当車は全世界で1,100万台。
2015.9.25 VW監査役会、ヴィンターコーン社長引責辞任
→マティアス・ミュラー氏へ
その大学は、東海岸側にあるウェストバージニア州(ワシントンD.C.の西に位置)の北部ペンシルベニア州との州境近くのモーガンタウンにあった。名前はウエストバージニア(WV)大学、州立の総合大学である(学部・院生約3万人規模)。
2014.3月にこの大学のある研究班が、一つの実験結果を公表した。それはVW社のEA 189と呼ばれるディーゼルエンジンの排気ガス性能の欠陥に関するものであった。
VWがWestVirginiaUniversity(WV)にひっくり返された、と言った表現も見られるが、ことの内容はこうだ。
東海岸の大学が西海岸のカリフォルニア州で、BMWのSUV・「X5」とVWのセダン・「ジェッタ」と「パサート」のディーゼルエンジンの3車種の排ガスに関する走行試験を実施した。ダイナモシャシー上ではなくて、一般道や高速道路を実走行して窒素酸化物NOxの排出量を計測したのである。
その結果、BMWはほゞ基準値以内であったが、VWの2車種は基準値を大幅に上回ったものであった。これにびっくりした研究班は、自分たちの計測が間違っていると思い、何度も計測しなおしたと言う。この計測試験は2013年2月に始まったと言うから、VWの排ガス不正の判明は今に始まった話ではなかったのである。
(続く)