続・次世代エコカー・本命は?(70)

EVの基本技術で主導権を握る

社名変更発表後、記者の質問に「(資本提携までの進展が)早くて驚いた」と語った富士重・吉永社長 スバルph02

 スバルは2021EV投入を決めた。

 吉永社長は「トヨタを頼らずに、自力で開発を進める。ZEV規制においてHVが除外されてしまい、EVを出さざるを得なくなった」と話す。これまでHV開発、さらにはZEVに部分的に対応できるPHVの開発において、資本関係のあるトヨタから基本技術の供与を受けてきた。

 だが、トヨタEVを商品化していないから、技術供与を受けたくとも受けられない事情がある。

 スバルは2010年頃まで自社でEVを開発してきた過去がある。「しかし、電池のレベルが上がってしまった。当時の知見を生かしながらも、基本から取り組んでいく」と吉永社長。

 例えばだが、スバルのようなメーカーに対して、PHVHVにおけるトヨタのように、EVの基本技術を供与する役割を日産はできるはずだ。コストと時間軸との関係から、自社開発にこだわるメーカーは限定されていくことだろう。もちろん、自動車メーカー以外の、EVPHVへの新規参入をもくろむベンダーやICT企業などへの供与も視野に入るはずだ。

 長期的な技術と思われがちなEVだが、ZEVの規制強化17年後半から。もう待ったなしの状況だ。三菱自は二度にわたるリコール隠しにより、多くの技術者が会社を去ってしまった。それでも、新しく生まれる企業連合にとって今は、EVの覇権を目指して世界に打って出る大きなチャンス、ではある。

このコラムについて

永井隆のニュースもう一掘り

「ニュースを嗅ぎつける猟犬たれ」。若い頃、社会部系のベテラン記者からよく言われました。ネットも携帯もない時代、頼りになるのは自分のカンと人的なネットワーク。優秀な猟犬にはなれませんでしたが、老犬となった今、経済ニュースをもう一掘りして地下に光を当てていきます。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/111800013/051200002/?P=1

 

 

まあ日産・三菱EV連合が出来上がればそれに越したことはないのだが、果たしてそれがうまく出来上がるかが問題なのではないのかな。今の三菱自動車の内情がどんなものかは推察のしようが(小生には)ないが、きっと相当混乱している状態なのではないのかな。さらには優秀な人材は相当数すでに会社を去っているかも知れない。

 

それに日産サイドでもそれなりに問題が山積みしているようだ。

国内販売も精彩を欠いているようだし、リーフもテスラのEVに押されっぱなしのようだ。ゴーン社長兼CEOは間違いなく焦っている。だから日産問題を他に向ける意味もあり、三菱自動車との提携話を急いだのではないのか、と言った勘繰りである。

 

 

日産、嫌いな車トップ104車種選出…肝入りEV販売が壊滅的、不正疑惑で刑事告発か

2016.05.25 文=編集部 企業・業界 企業・業界

 

 


日産自動車カルロス・ゴーン社長兼CEOUPI/アフロ)  ゴーンpost_15227_nissan

 国民の間で不満のマグマがうっ積した時、為政者がどうするかというと、不満を外に向けるために戦争を起こすことがよくある。

 企業の場合は、さしずめ大型のMA合併・買収)だろう。

 日産自動車カルロス・ゴーン社長兼CEO(最高経営責任者)は心情を絶対表情には出さないが、「間違いなく焦っていた」という関係者の証言がある。

 先駆者と自負している電気自動車EV)の売れ行きが思ったように伸びず、米国ではテスラ・モーターズなどに脅かされている。このほど発売したテスラのEVモデル3予約が1週間で30万台を突破。日産のEV累計世界販売台数(20万台)を超えてしまった。これでゴーン氏の危機感はピークに達し、「三菱自動車をなんとしてでも取る」となったというのだ。

 新興国市場向けの戦略車として立ち上げた「ダットサン」ブランドの販売がインドやインドネシアで低迷している。

 ルノー・日産連合には、次々と難題が降りかかっている。ルノー・日産連合傘下のロシア自動車最大手、アフトワズのブー・アンデルソン最高経営責任者CEO)が3月に退任した。同氏はゴーン氏が送り込んだのだが、アフトワズの業績は不振を極めた。ロシアの2015年の新車販売台数は前年比で35.7%減少し、アフトワズ31%減った。アフトワズ15年の損失は740ルーブル1200億円)に達した。

 日産はブラジルなど新興国で工場を相次ぎ開設したが新興国経済が失速。固定費負担が重荷となっている。

 こんなことも起きている。日産は429日、北米を中心に世界で、乗用車「マキシマ」の新型車やEV「リーフ」など3532610台をリコールすると発表した。助手席に人が座っているかどうかを探知する装置に欠陥があり、衝突時に助手席用のエアバッグが膨らまないおそれがあるという。「今回のリコールは、タカタ製のエアバッグ問題とは関係ない」(日産の広報担当者)としている。

(続く)