続・次世代エコカー・本命は?(117)

ジュリー・ハンプ氏はGMで活躍しペプシコへ引き抜かれた(?)逸材だったので、トヨタは安易に考え大した人物評価もせずに役員への登用を決めてしまった、と言った論評もある。

 

 

トヨタ役員逮捕、不可解な容疑者擁護から一転して辞任の謎 「いい加減人事」の代償

文=河村靖史/ジャーナリスト

2015.07.07


豊田章男トヨタ社長 豊田章男post_10040_20150521 T s5nk

 麻薬を密輸した疑いで逮捕された、トヨタ自動車初の女性役員のジュリー・ハンプ常務役員が、630日付で辞任し、トヨタ社内に衝撃が広がっている。

 ハンプ氏は麻薬であるオキシコドンの錠剤を入れた小包を米国から輸入したとして、618に麻薬取締法違反容疑で警視庁逮捕された。日本を代表する大企業の現役役員が麻薬所持で逮捕されるという異例の事態を受け、逮捕翌日に東京本社で緊急記者会見した豊田章男社長は「ハンプ氏はトヨタにとってかけがえのない仲間」と、麻薬所持の容疑者を擁護したものの、水面下で捜査状況を探った結果、問題が長期化すると経営にも影響が及び、トヨタのブランドイメージ悪化は避けられないと判断。一転して辞任に追い込んだとみられる。

 ハンプ氏は米ゼネラルモーターズGM)などを経て2012年に北米トヨタの副社長に就任し、今年(2015)4トヨタ初の女性役員として広報を担当する常務役員に就任したばかり。外国人や女性の登用など人材のダイバーシティ(多様性)で遅れているとされるトヨタにとって、ハンプ氏の常務役員就任は「目玉人事」だった。特に、安倍晋三政権が「女性の活躍促進」を掲げる中で、日本を代表する企業であるトヨタが今春の役員人事で女性役員を登用することは至上命題だった。

「日本人の女性役員を登用した場合のやっかみを懸念した経営上層部が、外国人であるハンプ氏ならと安易に考え、たいして人物評価もせずに役員への起用を決めたようだ」(トヨタ関係者)

 豊田氏はハンプ氏逮捕後の記者会見で「捜査を通じて法を犯す意図がなかったことが明らかにされることを信じている」と述べて容疑者を擁護。さらに「従業員は私にとって子供のような存在。子供を守るのは親の責任」とまで述べた。ハンプ容疑者を「トカゲの尻尾切り」のように辞任させると、今後の人材多様化に影響が及ぶためだ。

問題収束のために苦渋の決断


 しかし、623日には愛知県豊田市トヨタ本社など3カ所に家宅捜索が入ったほか、新型車発表会見の中止が検討されるなど、事件をめぐる問題が経営にも影響を及び始めた。ハンプ氏は容疑を否認しており、問題の長期化による事態の深刻化を回避するため、トヨタハンプ氏を「切る」ことで問題の収束を図る苦渋の決断を選択した。

 トヨタはハンプ氏の辞任届を受理した上で、「世界のどこでも社員が安心して働き、活躍することができるよう、改善すべき点はしっかりと改善した上で、『真のグローバル企業』を目指し、国籍、性別、年齢などにかかわらず、多様性を尊重し、適材適所の考え方に基づいた人材登用を今後も進める」とのステートメントを公表した。

 それでも今回の事件を受けて、外国人や女性の起用に慎重にならざるを得なくなるのは必至。グローバル展開を加速しているトヨタだが、人材の多様化に向けて大きな試練を抱えることになった。
(文=河村靖史/ジャーナリスト

http://biz-journal.jp/2015/07/post_10633.html

 

 

ここにも書いてあるように、日本人の女性役員を登用した場合のやっかみを懸念した経営上層部が、外国人であるハンプ氏ならと安易に考え、たいして人物評価もせずに役員への起用を決めたようだ」と言う事なら、トヨタの真のグローバル化は道遠しと言った感じだ。

 

GMペプシコの関係者に確認するなどの方法もあった筈なので、そこら辺のやり方は現地では十二分に弁えた事だったのではないのかな、きっとそんなこともやっていなかったのではないのかな。

 

次の文を読めば「さもありなん」と感じるものである。

 

 

〈新聞・テレビが報じない〉麻薬密輸で逮捕
トヨタ抜擢 米女性役員〈ジュリー・ハンプ55歳〉の素顔
稿日:2015625()082020

女性役員誕生のニュースは珍しくなくなったが、二兆円超の最終利益をあげる日本のトップ企業・トヨタで初の、しかも外国人役員となれば注目度は高い。そのジュリー・ハンプ常務の逮捕劇。罪状は麻薬取締法違反。人もうらやむエリートに何が起こったのか――。

 愛知県内の一軒家。インターホンを押すと、スラックスにランニングというリラックスした格好で、老人が姿を現した。奥田碩(ひろし)トヨタ自動車相談役(82)。トヨタ社長、日本経団連会長を歴任した財界の大立者だ。
――
ハンプさんの件について、率直な感想は?
「よくわからん。時代が変わったから、十年前と今と価値観が違う。世界も違うし、日本も違う。環境はどんどん変わってくるから」
――
豊田章男社長の会見については?
「最近は社会の事情が変わったからね。僕たちの時代とは違うからさ。謝罪してよかったんじゃないの。社会がそういう状況だから」
――
今回の事件は、外国人登用のリスクか?
「それは、どこの世界でも最近は外国人と女性を昇格させようという流れだから、それはしょうがない」
――
相談を受けたりは?
「ないですよ。聞かないから。相談役ってそんなもんですよ、ハハハ(笑)」

叩き上げでプロ経営者に

 六月十八日午前、トヨタ自動車のジュリー・ハンプ常務役員(55)が麻薬取締法違反(輸入)の疑いで、警視庁組織犯罪対策五課の捜査員に逮捕された。
「“普通のオバサン”という印象だったので、逮捕の一報を聞いて驚きました。さまざまなイベントに顔を出していましたが、ふんぞりかえって歩いていて、上司の役員より偉く見えました」(ハンプ氏と面識のある記者)

 逮捕容疑は、麻薬であるオキシコドンを含む錠剤五十七錠を密輸したというもの。警視庁担当記者が話す。
「六月八日に、ミシガン州からハンプ氏宛てに航空小口急送貨物で小包が発送された。届け先は、滞在するホテルで、内容はネックレスと記載されていた。六月十一日に成田空港の税関に到着しました。錠剤は、複数の袋やケースに分けて、荷物の底に入っていた。薬物事案にしては、認知してから摘発まで時間が短い印象です。逮捕の二日前には、株主総会がありましたが、警視庁としては、そこに配慮した上で、自信を持って、逮捕に踏み切ったのでしょう」

 捜査関係者が、その経緯を明かす。

「税関と警視庁による共同捜査の成果です。通常、税関で無作為に荷物を薬物検査し、事件を摘発することはない。それだけで摘発されるなら、悪意を持った送り先が、受取人を逮捕させることも可能になる。今回はアメリカから、日本の税関への情報提供があり、CCDという捜査手法を用いて、ハンプ氏が荷物を受け取ったのを確認して、逮捕しました」

 元東京税関長の志賀櫻弁護士が解説する。

CCDとは、クリーン・コントロールド・デリバリー。おとり捜査に似た手法で税関はよく使います。通関の段階で、情報があれば、麻薬犬もいるし、X線も通すので、麻薬が入っているかどうかはほぼ分る。認知しても、そこで摘発するのではなく、見張って(コントロールド)、受取人のところまでデリバリーさせる。その上で逮捕するのです」

 米国人のハンプ氏は、四月にトヨタ初の女性役員に抜擢されたばかり。日本を代表する企業での女性登用だけに、海外でもこの人事は報じられた。
トヨタが初めて女性を幹部に登用し、新たに自動車メーカーのガラスの天井が破られた〉(米紙「デトロイト・フリー・プレス」三月二十二日付)

 日刊自動車新聞の野元政宏氏の解説。

「四月の人事は、安倍政権が推進する女性活用方針もあり、女性の役員誕生は必須でした。日本人か、アジア人か、欧米人か、発表まで注目されていたのです」

 ハンプ氏は、米ゼネラルモーターズGM)から米ペプシコを経て、一二年六月に北米トヨタに入社した。

 昨年十月には、女性の社会進出を応援する米NPOフェミニスト・プレス」で、「自動車業界における女性経営者の草分け」に選ばれた。企業の経営陣を渡り歩くエリート女性経営者だが、その経歴をたどると別の顔が見えてくる。

 一九五九年、ハンプ氏はニューヨーク州クイーンズ地区で生まれた。ミシガン州に移り、州立大学でコミュニケーションを専攻し、同州のデトロイトに本社があるGMに入社した。

(続く)