トヨタ車体工場火災、原因はダクトのひび 生産あすにも一部再開
- 2017/3/23 4:00
- ニュースソース
- 日本経済新聞 電子版
トヨタ車体のいなべ工場(三重県いなべ市)で2017/3/20日に発生した火災の原因が、高温の空気を流すダクトに入ったひびだったことが分かった。同県桑名市消防本部などが22日まで実施した実況見分で明らかになった。生産は24日にも一部再開する見通しだが、老朽化が進む工場の検査や保守のあり方が課題として浮上している。
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火災では塗装した車体を乾かす乾燥炉の一部が焼損した。22日には被害を受けた設備の一部を分解して詳しく調査。塗料を乾かすためにセ氏180~210度の空気を流すダクトにひびが入っており、漏れた空気で周辺の可燃物で着火したという。
トヨタ車体は20日夕方から組み立てラインを止めている。24日未明までの停止を決めており、親会社のトヨタ自動車の高級ミニバン「アルファード」や商用車「ハイエース」などの生産が遅れる。影響台数は明らかにしていないが2000台規模にのぼる見通しだ。
消防本部やトヨタ車体幹部によると、2基ある乾燥炉のうち1基の内側の断熱材や天井、はりの一部が焼損した。ただ乾燥炉本体は被害を免れ、もう1基は影響を受けていないという。
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24日はまず被害を受けていない乾燥炉のみを使って生産を再開する方向で調整を進めており、生産台数は通常の半分となる見通しだ。さらに26日までをメドに焼損した断熱材などを交換し、27日に通常稼働を再開することを目指している。復旧作業次第で時期は遅れる可能性もある。
トヨタグループでは昨年1月に愛知製鋼の工場で爆発事故が発生し、トヨタの国内全工場で生産が停止した。同5月にはアイシン精機の子会社アドヴィックスの工場で爆発事故が起きた。直接の原因は違うが、作業者の知識が不十分などの課題が浮上した。今年、設立から80年を迎えるトヨタの設備は「老朽化が進んでいる」(首脳)との指摘もあり、対策が急務だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFD22H3D_S7A320C1CN8000/
年1回の点検では、とても間に合いそうもないことになる。それこそひび割れる前にダクト交換が必要となるわけで、定期交換のサイクルをもっと短くする必要がある。排気ダクトの耐久性にも、言及する必要があるのではないのかな。または、材質についてはそれなりに管理されていたであろうから、設備設置の際の取り扱い方なども問題となろう。
いなべの他の塗装乾燥炉やトヨタ車体の他工場の同種設備では、このような火災の発生はなさそうなので、ひび割れはこの中塗り乾燥炉だけの問題のようにも思えるが、何分ことが事なので、多面的な解析と対策が必要となろう、いなべ工場と言えば、トヨタ車体では一番新しい工場であるから尚更である。
トヨタ車体と言えば、トヨタ自動車と同じ創業基盤を持つ会社ではないのかな。それだけ由緒ある企業なのである。
トヨタ車体のホームページによると、1936年(S11年)に(株)豊田自動織機製作所内に、自動車組み立て工場を建設したことが、トヨタやトヨ車という会社の前進だという。これがいわゆる(株)豊田自動織機製作所自動車部というものである。
1933年 9月 1日 豊田自動織機製作所内に自動車制作部門を設置する。
1934年 9月 豊田自動織機製作所自動車部となる。
1935年12月14日 挙母町工場用地地鎮祭、62万坪・約200万㎡。
1936年 5月 刈谷に自動車組み立て工場を建設する。トヨタ車体工業株式会社の前身。
1936年 9 月19日 トヨタが自動車製造事業法上の許可会社に指定される。
1937年 8 月28日 トヨタ自動車工業株式会社設立。
1945年 8月31日 トヨタ車体工業株式会社設立、刈谷工場のトラック車体部門の分離独立。
1947年 荒川板金工業株式会社設立。(旧アラコ)
1953年 トヨタ車体株式会社に改称。
1964年 富士松工場操業開始。
1970年 トヨタ車体、デミング賞実施賞受賞。
1980年 トヨタ車体、日本品質管理賞受賞。
1993年 いなべ工場、操業開始。
1997年 いなべ工場、ISO14001認証取得。
1999年 いなべ工場、ISO9001認証取得。
2000年 超小型電気自動車「コムス」生産開始(アラコ)。
2004年10月 トヨタ車体、アラコ株式会社と車体組み立て事業を統合。
と言ったところがトヨタ車体の沿革であるが、トヨタ車体としては「デミング賞実施賞」や「日本品質管理賞」も受賞しており、いなべとしてもISOの環境、品質ともマネジメントシステムの認証を取得しているので、JABとしても、トヨタ車体本体の工場で、火災を起こしてもらっては困るのであろう。
(続く)