続続・次世代エコカー・本命は?(16)

NEV規制NEVとはNew Energy Vehicleと言い、いわゆるエコカーのことである。対象となるクルマは、EVPHVFCVの3車種だけでありHVは含まれていない。中身は違うだろうが 、カリフォルニア州ZEV規制と同じ性格のものであろう。中国としては、二番煎じとなってしまうので、ZEV規制とは呼びたくなかったものと思われる。ZEVNEVと呼ばせて、悦に入っているものと思われる。まあそうは言っても、中国版のZEVゼロエミッション規制であることには間違いない。

 

もう、ぐちゃぐちゃだ。本気で中国ビジネスを考え直さなければならない」と当事者達も言っているように、中国のNEV規制は我々素人には皆目見当もつかない。

 

しかし、2018からはエコカー生産は「ライセンス制」となり、自動車取得税の減額もなくなり補助金も減額されてゆき、そのうちなくなるようだ。だから中国でどのようなエコカー戦略をとっていったらよいのか、疑心暗鬼の状態なのだろう。しかも例によってライセンス取得にはそれなりに「コネ」も必要なようで、ひょっとしたら日系企業貰い損ねるなんてこともあり得るのではないのかな。

 

それにしても2017.1.1から補助金の交付額を引き下げたようで、それまでは販売店はそれなりにもらえたものが少なくなるため、その分の値引きが難しくなり値上げに踏み切っていると言う。だからエコカーの販売も徐々に頭打ちになってゆくに違いない。

 

そうなれば、いくら中国政府の心証が良いVWと言えども、バンバンと売り上げが伸びることもなくなるのではないのかな。

 

 

【経済】【中国】エコカー値上がり、購入補助減額分を価格転嫁
2017
02121715


中国の新車販売市場でこのところ、電気自動車(EV)などのエコカーの一部車種が実質値上げされている。補制度見直しの一環として、中国政府が201711日から交付額を引き下げたため。この減額分を消費者に転嫁するメーカーが早速見られ始めた。業界関係者の間では、「エコカー値上げは必然的な流れ」との見方が大勢を占めるという。中国経済週刊が7日付で伝えた。

他社に先駆けて、比亜迪(BYD1211/HK)は実質値上げに踏み切っている。すでに補助減額分をそのまま消費者への実勢販売価格に反映。春節前に購入契約を結んだ消費者に対しては、特別キャンペーンとして50008000人民元(約8万~13万円)のキャッシュバックを自腹で用意した。しかしそれでも、昨年に比べて消費者負担は増えている。BYDEVe5」を例にとると、国からの補助金1台当たり44000人民元減額された。メーカーからキャッシュバックを受けたとしても、3人民元を超える負担増となる。消費者からは、「価格面の魅力がなくなれば、ガソリン車を買ったほうが良い」との声も聞かれるという。

半面、当面の対策として、補助減額分のすべてを自社負担するメーカーも散見される。補助減額の当局発表があった直後に、北京汽車傘下の北汽新能源汽車は「全車種を春節中は値上げしない」と宣言。補助減額分を自社で全額補う方針を打ち出した。ただ、これは春節セール期間中の限定措置。同社契約ディーラーの担当者は、「春節連休が終わったいま、必然的に値上げされるだろう」と話した。

中国政府は昨年末、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車PHV)などの新エネルギー車向けの購入補助制度を17年から見直すと発表した。補助金交付基準を引き上げると同時に、交付額を引き下げることを明らかにしている。これによって1台当たりの交付額は20%圧縮された。さらに地方政府から給付されるエコカー補助についても、中央から給付される補助金額の50%以下に抑えるよう通達されている。昨年までは「最大11」の比率が認められていた。

工業和信息化部(工業情報化部)の報告によれば、中国の新エネルギー車販売は、2年連続で世界最多を記録した。16年の通年では、生産が517000台、販売が507000台に伸びている。保有台数は100万台の大台を突破。世界全体の5割を超えた。

【亜州IR  SK   提供:フィスコ

https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201702120065

 

 

まあ情報収集力も解析能力もない小生にとっては、この中国のNEV規制の中身は解らないが、日本企業にとっても影響は大なのであろう。

 

次の記事を一読して、その感触をつかんで頂きたい。

 

 

中国エコカー産業の成長と日系企業の対応

みずほ銀行 国際営業部 調査役 湯 進

mizuho global news 2017 JAN&FEB vol.89

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湯調査役

 

 8年連続で自動車生産・販売の世界首位を維持した中国は、「自動車大国」から「自動車強国」への脱皮に向けて、次世代自動車分野で戦略的布陣を急いでいる。中国政府は「135カ年計画(20162020年)」で、製造業の競争力向上を国家戦略として推進し、なかでも電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車PHV)を中心とするエコカー産業が戦略的に育成分野となっている*1。こうした中長期の産業育成策にともなう市場の形成や、技術・部材の需要も日系企業には追い風になると考えられる。

 

政府主導下の産業発展

 

 中国では既存のガソリン車技術が遅れているなか、大気汚染の深刻化やガソリン輸入への過度な依存もあり、政府は2012年に「新エネルギー車産業発展計画(20122020」を発表し、エコカー産業の育成に力を入れている。2015年には「中国製造2025」および10大重点育成産業を打ち出し、「2025年までに自動車市場におけるエコカー比率が20%、自主ブランドシェアが80%」などの目標を掲げている。

 

 日本がハイブリッド車HEV)に開発の重点を置くのに対し、中国は既存特許等の参入障壁が比較的に低いとされるPHVEV分野の発展に取り組んでいる。中国では地場有力エコカー企業が立地する都市がモデル地区として指定され2010年から個人向けのエコカー補助金支給制度を始めた。また政府は、エコカー「三縦三横」*2技術の向上およびR&Dシステムの構築に急いでおり、中国版ゼロエミッション規制(ZEV)の導入や厳しい燃費規制などにより、地場企業の「エコカーシフト」も促そうとしている*3。 すなわち公的助成金によるエコカー需要の創出や基幹部品の量産が実現できれば、基幹部品・車両価格の低減が見込まれ、エコカーの普及にもつながる。こうした潮流下、中国のエコカー生産台数は2014年に7.8万台、2015年に33.1万台、2016年には40万台を超えると見込まれている(図表1)。

 

地場企業の成長と異業種参入

 

 補助金支給制度の波に乗り、多くの地場メーカーは成長を遂げている。BYD汽車、北京汽車2社が世界エコカー販売トップ10にランクインされており、中国市場でも約5割のシェアを占めている(図表2)。1995年に電池事業でスタートしたBYD汽車は、世界初の量産型PHVF3DM」の開発(2008年)、PHV「秦」の発売(2013年)など、エコカーシフトの姿勢を見せている。エコカー販売台数は2015年に6万台、2016110月には8.4万台に達し、2年連続で世界1位となっている。同社は2013年に「542戦略」と呼ばれる技術目標(0100km/hの加速が5秒、4輪駆動、100kmあたり必要燃料が2ℓ)を打ち出し、PHVシリーズの発売によりラインアップの拡充を進めている。

 

 中国では小型EVホイールベース2.3m以下)がコストパフォーマンスで好調を維持し、現在のEV販売の6割超を占めている。北京汽車が低価格小型EVEシリーズ」の好調により、2016110月期に販売台数約3.7万台で中国のEV販売首位となっている。当社はEV買替補助金を設け(最大27億円)、中古車両の買い取りや自動車ローン利子の負担などを通じて、地元市場における需要の喚起を図っている。

 

 また、異業種からの新規参入も目立っている。エアコンメーカーの格力電器は珠海銀隆(地場EVメーカー)を、自動車部品大手の万向集団がKarma Automotive(米PHVメーカー)を買収し、エコカー業界への参入を果たした。アリババ、テンセント等のネット関連企業はエコカーベンチャーを立ち上げ、EVメーカーへの委託生産に取り組んでいる。現在、中国エコカー市場では、外資系企業が関連製品を投入し始めているものの、地場メーカーが依然9割超の市場シェアを占めている。地場メーカーの攻勢を受け、世界2位のテスラ(米)は中国では苦戦しており、2016110月の販売台数が約7,000台でとどまっている。

(続く)