テスラの場合には、バッテリーの劣化の問題は大きくないということのようで、これはテスラのバッテリーがパナソニック製の円筒形の18650であり、相当信頼性が高いものであるからだ。一方シボレー「Bolt」のバッテリーは韓国のLG化学製で「Landscape」とよばれる平らなもののようで、バッテリー、モーター、ドライブユニットはセットで仁川のLG化学の工場で製造されているとWikipediaに記載されている。
このLGのバッテリーは、8年で40% も劣化すると言う事のようだ。まあ8年も乗れば元が取れると言う物で、問題がないと言えばないのであろうが、どうも信頼性が乏しいように感じてしまう。日産リーフでもバッテリーの劣化は問題のようで、2015.2.13の「次世代エコカー、本命は?(55)」で少し言及している。
ということはこの「Bolt」の中古車の値打ちは、ほとんどないと思われかねないであろう。そのためGMはバッテリーの劣化は保証対象だと言うが、クルマもGMの経営もどんなことになるのであろうか。
シボレー・BOLT EVのバッテリー容量は、8年で40%も劣化!?
2016/12/10 2016/12/12
テスラのライバルとして注目されているシボレー・BOLT EV(PHVのVOLTの方ではない)ですが、そのBOLT EVのバッテリー容量が、8年間で最大40%減少する可能性があると、シボレー自らが認めました。
画像の出典: netcarshow.com
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BOLT EVのバッテリー劣化問題
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シボレー・BOLT EVのオーナーズマニュアルによると、8年間もしくは10万マイル(16万km)の保証期間中に、10〜40%のバッテリー容量減少が起こる可能性があると警告されています。
10%程度のバッテリー劣化ならばともかく、40%となれば大問題です。
BOLT EVの航続距離は238マイル(約380km)ですが、40%減少してしまえば142.5マイル(約228km)でしかなくなってしまいます。
もちろん保証期間中ならば、このバッテリー劣化も保証されます。
しかしBOLT EVは1台あたり9000ドルの赤字ですから、その上バッテリー保証の費用負担がのしかかってくるとなると、一体どのタイミングで黒字になるのか心配になってきます。
テスラのバッテリーは劣化しない?
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テスラの場合は、バッテリー劣化の保証はありません。
しかしイーロン・マスクCEOが明かした研究開発時のデータによると、テスラ・モデルSのバッテリーは50万マイル(80万km)走っても、バッテリーは80%の容量で動作していたとされています。
このことを裏付けるようなデータもあります。
オランダとベルギーのテスラフォーラムでは、モデルSオーナー286人が協力して、バッテリー劣化に関するデータを集計しました。
集計の結果判明したのは、
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5万マイル(8万km)で容量5%ダウン(つまり95%で動作)
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5万マイル以降はほとんど劣化が見られない
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15万マイル(24万km)で容量10%ダウン(つまり90%で動作)
ということでした。
つまりテスラ車の場合は、バッテリー劣化はほとんど気にしなくて良いということです。
シボレーは数十万kmの走行を想定したテストしなかったのか?
テスラと同様にシボレーも、数十万kmの走行を再現したバッテリーのテストを開発時に行ったはずです。
オーナーズマニュアルに記載されている「バッテリー容量の10〜40%減少」という数値も、おそらくテスト段階で明らかになったものでしょう。
保証を充実させて販売するやり方は、問題の発生確率や、想定される被害の大きさ(ハザード)が、事前の予想範囲内に収まっている場合はよいのですが、ひとたび見込み違いが起こると、会社が傾きかねない事態(例:サムスンのスマホ発火問題や、福島原発の事故など)となります。
BOLT EVのバッテリー劣化は、10〜40%とあまりにもバラつきが大きく、しかもそれが8年間という比較的短い期間内に発生するものですから、シボレーにとっては結構リスキーな内容です。
保証によるバッテリー交換が頻発すれば、シボレーの経営に大きな傷跡を残しかねません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の関連記事もぜひご覧ください。
http://syachiraku.com/archives/20161210/chevrolet-bolt-ev-battery-degradation.html
(続く)