シボレーBOLT EVと日産リーフ、テスラモデルSを比較する
2016/01/12 2016/11/18
シボレー BOLT EV Bolt_77484f7b s5nk
画像の出典: netcarshow.com
リーフやモデルSを越えた?
デトロイトモーターショー2016で、「シボレー・BOLT EV」が発表されました。
「VOLT」という名前のレンジエクステンダーEVも同社のラインナップに存在しますが、今回発表された「BOLT EV」は完全なEVで、内燃機関は搭載されていません。つまりは日産リーフのライバルです。
そこで先ごろマイナーチェンジされた日産リーフとシボレー・BOLT EV、そしてテスラ・モデルSの、性能差や価格などを比較してみました。
目次 [hide]
航続距離の比較
まずはEVの泣き所、航続距離を比較してみましょう。
メーカー名★ |
車名 |
バッテリー容量(kWh) |
車重(kg) |
航続距離(km) |
---|---|---|---|---|
日産 |
リーフ(30kWh) |
30 |
1460 |
280(JC08) |
シボレー |
BOLT EV |
60 |
1625 |
320(EPA) |
テスラ |
モデルS P85 |
85 |
2108 |
426(EPA) |
厄介なのが、航続距離の計測方法がそれぞれ異なることです。計測方法がもっとも厳しいのは米国EPA燃費で、航続距離はJC08の60%程度となります。
モデルS P85のkWhあたり航続距離は5.01km/kWh、BOLT EVの場合は5.33km/kWhです。モデルSはBOLT EVよりも30%重い車ですが、kWhあたりの航続距離はおよそ6%悪化しただけです。EVの場合、車重が航続距離に与える影響が小さいようです。
以上のことを踏まえた上で、日産リーフのEPA航続距離を推測してみましょう。リーフの車重はBOLT EVより10%軽いため、リーフのkWhあたりの航続距離はBOLT EVのそれよりも2%ほど良好であると考えられます。5.44kWh/kmですね。
よってリーフのEPA航続距離は163kmと推定されます。JC08モードの約58%という航続距離は、50プリウスのEPA/JC08とほぼ同じ比率なので、当たらずといえども遠からずだと思います。
2016年11月18日追記
リーフ・30kWhモデルの米国EPA燃費は172kmでした。
EVは重量増を気にせず電池をたくさん積むべきか?
上述のとおり、EVは車重増に対し航続距離の減少幅が小さいです。モーターはゼロ発進時のトルクが大きいためでしょう。つまり電池をたくさん積むテスラやシボレーのやり方は、基本的には正しいのです。
しかし電池をたくさん積むことで、コスト増という新たな問題が発生します。日産リーフのバッテリー容量が小さいのは、安価に供給することを最優先にした結果でしょう。
★バッテリーメーカー(参考)
日産 NEC、AESC・オートモーティブ・エナジー・サプライ(→最近売却を検討、LG化学製に切り替えか?)
シボレー LG化学 Landscapeタイプ
テスラ パナソニック18650
ホンダ GSYジーエス・ユアサコーポレーション、ブルーエナジー、(パナソニックとも協業している。)
三菱 GSYジーエス・ユアサコーポレーション、LEJ・リチウムエナジージャパン
画像の出典: netcarshow.com
動力性能の比較
メーカー名 |
車名 |
馬力(ps) |
トルク(kg-m) |
0-96km/h(秒) |
---|---|---|---|---|
日産 |
リーフ(24kWh) |
109 |
25.9 |
10.9 |
シボレー |
BOLT EV |
200 |
36.7 |
7.0以下 |
テスラ |
モデルS P85 |
421 |
44.8 |
4.4 |
3台の中で最も重いモデルSが最速です。大容量のバッテリーを積めば強力なモーターを使えるので、加速性能でも有利なのでしょう。
EV界のゼロヨンチャンプ、テスラモデルS モデルS8346061c
画像の出典: netcarshow.com
価格の比較
メーカー名 |
車名 |
価格(万円) |
kWh/価格(万円) |
1馬力/価格(万円) |
---|---|---|---|---|
日産 |
リーフ(30kWh) |
319.7~401.8 |
10.65~13.39 |
2.93~3.68 |
シボレー |
BOLT EV |
442.5 |
7.37 |
2.21 |
テスラ |
モデルS P85 |
1018 |
11.97 |
2.41 |
1ドル=118円で計算
リーフとモデルSはコンセプトからして対極にあるような車ですが、kWhあたりの価格はほぼ同じです。
BOLT EVは性能もそこそこ良く、kWhあたりの価格が飛び抜けて安いので、かなりの競争力があると思われます。LG製の電池がかなり安価なのかもしれません。
BOLT EVは電気自動車の新たなベンチマークだ
航続距離と性能に比して、BOLT EVは安価です。かといって車体を切り詰めて軽量化したりしているわけでもなく、室内は50プリウスと同等の広さを確保しています。
室内箇所 |
BOLT EV |
50プリウス |
---|---|---|
前席ヘッドルーム |
1009mm |
1000mm |
前席レッグルーム |
1056mm |
1097mm |
後席ヘッドルーム |
962mm |
950mm |
後席レッグルーム |
927mm |
848mm |
荷室容量 |
478L |
502L |
BOLT EVは、電気自動車のコストパフォーマンスをワンランク上のレベルに引き上げたといえます。今後発売されるEVは、BOLT EVをベンチマークにせざるを得ないでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の関連記事もぜひご覧ください。
http://syachiraku.com/archives/20160112/2994342.html
まあLGがダンピングでGMに電池を売り込んだようなので、早々にボロを出さないでもらいたいものだが、先の記事にもあるようにバッテリーの劣化が早そうなのでどんな評価となるのであろうか、心配ではある。
(続く)