続続・次世代エコカー・本命は?(40)

日産の「プロパイロット」搭載車に乗って思ったこと

  • 高田 隆

  • 2016/07/15 00:00

日産の「プロパイロット」搭載車に乗って思ったこと

 

1 プロパイロットを搭載したミニバン

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2 カーブした道路で先行車を追従

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3 自動運転の状態をディスプレーに表示

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 日産自動車2016713に、自動運転技術「プロパイロット」の詳細を発表しました(関連記事1。自動車専用道路の単一車線における自動運転を実現するものです。第1弾として、20168月下旬に発売する新型ミニバン「セレナ」に搭載します(図1)。

 今回発表したプロパイロットは、SAE(米自動車技術者会)が定義する「レベル2」に相当する自動運転技術です。レベル2の自動運転では加減速や操舵などの制御の主体はシステムですが、クルマ周辺の監視などの他の作業は運転者が主体で行います

三つの機能を実現

 プロパイロットを搭載したミニバンに、日産追浜工場内で試乗しました。実現する機能は1速度維持2追従・停止・停止保持3ステアリング制御──の三つです。このうち



一つめの速度維持ではアクセルを自動で制御し、運転者が設定した速度で走行します。
(加減速・アクセル操作と簡単な操舵をシステムが担当する。危険を察知して制動するわけではない。)

 二つめの先行車追従・停止・停止保持では、アクセルとブレーキを自動で制御して先行車との距離を保ちながら走行し、先行車が停止すると自車も止まります。停止時間が3秒以内であれば、先行車の再発進に合わせて動き出します。3秒以上停止した場合は、ステアリングのボタンを押すことなどで再発進します。
  (加減速と簡単な操舵、または制動と簡単な操舵。)

 三つめのステアリング制御では、自動操舵の機能によって道路の中央付近を維持しながら走行します(図2)。 (加減速と簡単な操舵。)

 プロパイロットでは、これらの機能を単眼カメラだけで実現しています。フロントウインドーの室内側に取り付けた単眼カメラで、先行車や道路の白線を読み取ります。単眼カメラで先行車との距離や車線内の自車の位置を把握し、その情報を基にアクセルやブレーキ、ステアリングを制御します。

 実際に試乗してみて、高速道路で長い渋滞にはまった時や、長時間一定の速度で運転する時に便利だと思いました。操作も簡単で、ステアリングの専用スイッチを二つ押すだけです(図3)。

運転者を過信させない工夫

 一方で、「過信は禁物」と改めて思いました。現在の自動運転技術はあくまでも、運転支援のレベルです。自動運転の状態で発生した事故などの責任は、運転者が負わなければなりません。最近も、自動運転機能を搭載したTesla Motors社の「モデルS」などが死亡事故を起こしました(関連記事2http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/070102868/?rt=nocnt&d=1493388879623

 プロパイロットには、自動運転の状態での事故を防ぐ工夫がいくつか盛り込まれています。例えば、走行中に逆光になってカメラで先行車などを検知できなくなると、警告音を鳴らすと共に自動運転の状態を解除します。雨天時にワイパーの「ローポジション」以上の状態が続くと、自動制御を「一時待機」の状態(自動復帰が可能な状態)にします。

 運転者がステアリングから長く手を離した状態を検知する機能も備えています。この場合も、自動制御を「一時待機」の状態にします。そして、運転者が危険や異常を感じてブレーキを踏むと、手動運転の状態に戻ります。このように日産のプロパイロットは、自動運転の状態であっても運転者の操作を優先するようになっています。

 同社はプロパイロットを今後、ミニバン以外の車種にも順次搭載していく計画です。運転者の過信を防ぐために、「現在の自動運転システムは“運転支援”のレベルにあること」「自動運転時の事故の責任は運転者が負うこと」などを、購入時に周知する必要がありそうです。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/198610/070800125/?P=1

 

 

この文中に次のような言葉が述べられています。

クルマ周辺の監視などの他の作業は運転者が主体で行います

 

これは自動運転のレベル区分の定義の仕方の違いによるもので、SAESociety of Automotive EngineersInternational が定義しているものである。

 

http://www.news-overseas.net/2017/01/auto-pilot-sae-nhtsa.html)によると、

 

1.ハンドル操作と、2.加速・減速

3.走行環境のモニタリング

4.運転操作のバックアップ主体

 

の四つの操作のどれをシステムが実行するかで6段階に分けています。

 

レベル0=全てドライバーが行う。

 

レベル2=1.2.が自動で、3.4.がドライバーが行う。

 

レベル3=1.2.3.が自動で、4.がドライバーが行う。ドライバーは周囲から目を離してもよい。

 

レベル4=1.2.3.4.全てが自動、運転操作のバックアップ要請でもドライバーは行わない。

 

レベル5=1.2.3.4.全てが完全自動、バックアップ要請もしない。

 

と表現されるのであるが、小生が先に示したもの(加速、操舵、制動)とほぼ同じものとみても良かろう。

 

 

またテスラの「モデルS」の死亡事故については、小生のブログ「続・次世代エコカー、本命は?(75~」(2016.7.28~)を参照願う。そこではテスラの「Autopilot」や事故の原因などにも、それなりに詳しく言及している。テスラは「Autopilot」、日産は「プロパイロット」と呼ばせているが、いずれも自動運転のレベル2のものである、と言う。

 

 

さてそれにもまして、日産は何故「セレナ」などと言うミニバンに「プロパイロット」などと言うそれなりに面白い機能を搭載したのであろうか。

 

具体的に言うと、先行車追従機能車線維持支援システムの2つの機能を合体させたものらしい。

次の記事の題名に踊らされて勇んで読んでみたが、何故「セレナ」に搭載されたのかは、小生にはよく理解出来なかった。

 

ただ、この技術を普及させたいがために、一般の家族によく使われる「セレナ」に搭載したということが、書かれている。「やっちゃいたい日産」が、いち早くこの機能を搭載したいがために、タイミングよくモデルチェンジされるのが「セレナ」だった、ということだったようにも勘ぐられる。しかも多くは家族持ちに買われているから、「プロパイロット」を実験するのには丁度良かった訳だ。

(続く)