続続・次世代エコカー・本命は?(43)

ただ「バイオエタノールBioethanol」は、糖質やでんぷんなどを発酵させそれを蒸留して作られるアルコールである。セルロースからも出来るようだが、こちらの方はより難しいようだ。

 

だから再生可能なバイオマス生物の集合、全体)から作られるので、カーボンニュートラルともいわれているが、必ずしもそうは言えないようだ。

 

先ず元となる

糖質は、サトウキビ、甜菜

でんぷんは、トウモロコシ、米、麦など

セルロースは、木質チップ、稲わら などである。

 

そのため糖質やでんぷんは、再生可能な植物から生産でき、生成過程ではその植物が吸収したCO2を放出するだけなので、カーボンニュートラルと言われている。しかし必ずしもそうはならない。発酵させるには熱が必要となるので、化石燃料を燃やすことになり、サトウキビやトウモロコシを作るのにも、何らかの機械を使うことになり、ここにも化石燃料が必要となる。

 

だからバイオエタノールは、必ずしも環境にやさしいものでもないのである。ただ再生可能なのである意味便利である。化石燃料は、当座は再生できないのである。その点が石油に対してのメリットであろう。

 

そしてバイオエタノールは現在の技術であり、今でも普通に使える。ただ食料とのトレードオフとなり食糧問題が大きくなる。これを放っておいてよいものかどうか、きわめて深刻な問題である。

 

それと折角植物が消費したCO2をまた世の中に放出することとなるので、いくらCO2ニュートラルとはいえ、CO2の濃度はそれだけ上昇することとなり温暖化が前進してしまう。これって、いくらニュートラルだと言え、許されることなのかはなはだ疑問である。

 

現在バイオエタノールを積極的に使っているのは、アメリカとブラジルである。

 

アメリカはトウモロコシ、ブラジルはサトウキビを大量生産しているから、それが可能である。まあ、人間の食料となる食物を、エタノールに変えているのである。だから、これは問題なのである。

 

偽りの救世主!?食料エタノール

http://earthoffuture.kagennotuki.com/baio.html

 

には、この件が詳しく書かれているので参照されるとよい。

 

そしていくら再生可能なバイオマスとはいえ、天候などにも影響され、食料価格の変動は制御が難しいものになる。ただ現在の科学で、ある程度は制御できるのではないのかな。かなり古いが次のニュースを参照願いたい。

 

バイオ燃料頼みの危うさ 穀物高騰や生産効率が課題

2012/10/22 7:00
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 今年夏以降、小麦、トウモロコシなど穀物価格が高騰、高止まりが続いている。北米に始まり、中国、ロシアなどに広がった干ばつによる不作が直接的な原因だ。穀物先物市場への投機マネーの大量流入も大きな要因ではあるが、投機マネーを誘い込んだのは不作による穀物の在庫率の低下だ。

 21世紀に入って、こうした穀物の価格高騰が起きた時に必ず起きるのが「食糧対エネルギー」という議論だ。トウモロコシやサトウキビ、さらに小麦、菜種、パーム油などから生産されるバイオ燃料が人間の食べる食糧を消費し、食糧不足を招くという危機論である。

 確かに米国では毎年1億2000万トンものトウモロコシがエタノール生産に使われている。これは米国のトウモロコシ生産量の30%超にのぼる。もし、エタノールの原料となるトウモロコシが食糧として供給されれば、価格高騰は収まるという理屈は誰が考えても確かだろう。

 にもかかわらずトウモロコシをエタノール原料にする動きが止まらないのには理由がある。「E10」だ。米国では自動車用燃料のガソリンに10%の比率でバイオエタノールを混ぜることが義務付けられている。空気中の二酸化炭素(CO2)を吸収する植物を起源とするバイオエタノールは「カーボンニュートラル」であるため10%混ぜれば、その分、CO2排出削減につながるからだ。米国にとってバイオエタノールCO2排出削減の切り札にもなっている。

 逆に言えば、10%を達成するために米国ではエタノール原料のトウモロコシを食糧に回せないという事情がある。「10の罠(わな)」である。不足する分はブラジルからサトウキビを原料とするエタノールを輸入する選択肢もあるが、大量に確保することは難しい。さらに悩ましいのは、原油高でガソリン価格が上昇している時はエタノール価格も上昇、農家はトウモロコシを食糧よりもエタノールに回した方が利益を高められるという力学が働くことだ。

 結果的に原油高はエタノールを経由してトウモロコシなど穀物価格との連動性を高めている。もともと米国でトウモロコシからエタノールを生産したのは、トウモロコシの過剰生産により相場が暴落、農家の経営が立ちゆかなくなったからだ。決して、食料を犠牲にしてエネルギーを生産しようとしたわけではない。だが、現状ではエタノール生産の穀物市場への影響は年々強まっている。さらに各国が輸送用燃料に占めるバイオ燃料の比率を高め始めれば穀物や油糧種子の市場生産は大きく揺さぶられることになるだろう。

 世界には一般に言われるのと違って、穀物増産の余地がかなりある。ブラジルの乾燥地セラードはまだ大半が未利用地で灌漑(かんがい)設備を備えることで10億人分以上の食料を生産できるという試算がある。ウクライナやロシア、カナダ、東アフリカなどもそうだ。食料に影響がでないほど穀物を増産すれば、バイオ燃料と食料は完全に切り離すことができるだろう。だが、そこまで増産すれば、当然、穀物価格は暴落、世界の農民は路頭に迷いかねない。

 バイオ燃料には穀物ではないセルロース系植物を原料とする技術も開発されつつあるが、生産効率など難しさが残っている。バイオ燃料は重要な再生可能エネルギーだが、限界がある。それを突破しようとすれば、ガソリン、天然ガスバイオエタノールを随時、切り替えて燃料にできる複数燃料化やハイブリッド化を進めるしかない。トウモロコシの需給が逼迫している時にはガソリンを使ったり、プラグインハイブリッド車ではバッテリーによるモーター駆動の時間を長くしたりするという選択肢を確保することが重要になる。

 バイオ燃料のみという車やエネルギー供給構造には不安が残る。バイオ燃料はほかの選択肢を用意した複線的な利用で良さが発揮される。これは太陽光発電や風力などほかの再生可能エネルギーにも共通する。原発を廃止して再生可能エネルギーを中核にしようというエネルギー論のリスクはそこにある。

編集委員 後藤康浩)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD190M4_Z11C12A0000000/

 

 

日産はこの燃料電池システムを「e-バイオ・フューエルセル」と呼んでいるが、これが普及するにつれて、食糧問題がクローズアップされることだけは防がなくてはならない。日産はこれを2020に発売する予定だと言うが、普及するにつれて食料問題に言及されることが増えるのではないのかな。それは問題なのだが。それからCO2の濃度も上昇して以前の濃度になってゆくことになる。これも問題であろう。

(続く)